仲良くしたい女性に 使ってはいけない言葉「未亡人」 #失礼な日本語

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2020.06.04

言葉は日々変化しているもの。だから、何気なく使っている日本語も、いつの間にか相手に不快感を与えてしまうワードになっていた、なんてことも。そこで、『失礼な日本語』の著者である岩佐義樹さんに、saitaPULSの読者がつい使ってしまいがちな「不快な日本語」を教えていただきました。

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「未亡人」は禁断の言葉。

「未亡人」という言葉はもうあまり耳にしないかもしれませんが、聞いたとしても「未亡人」から連想するのは、「夫に先立たれた女性」くらいではないでしょうか。
未亡人というテーマで、多くのドラマや映画、小説も作られてきたので、無意識のうちにしっとりした色気のある女性をイメージしてしまう人も多いのでは? でも、本来意味は……まるで正反対! こちらは褒めるつもりで使った言葉でも、そのせいで、相手の女性を怒らせてしまった! なんてことが起こりえる、禁断の言葉なんです。

未亡人、本来の意味

「『未亡人』の意味……ある辞書では、夫の死に後れたことを『くたばりぞこない』と自嘲した言葉となっています」(岩佐さん)。未亡人という言葉は「夫が死んだのに、妻はまだ死んでない」ことに、負い目を感じるほど、妻が夫に仕えていたという封建時代の精神が感じられます。「『夫人』という言葉もその一つです。なにしろ『夫の人』と書きますから」(岩佐さん)。未亡人は決して褒め言葉ではなく、誰に対しても使わない方がいい言葉、というのも納得です。

差別表現は差別感情から

「なのですが、さすがにひどい表現だと、先の例で出した『くたばりぞこない』とした辞書も後の版で『主人の死後も生き続けていることを謙遜している語』に修正されました。実際、『未亡人』のように、本来の意味とはかけ離れた使い方をしている言葉も多いのですが、一番大事なのは使う人の心。差別用語を使わなくても、差別感情があれば言葉の端々に表れますから』(岩佐さん)。岩佐さんは、校閲という仕事を通して、普段から大量の表記を目の当たりにしているからこそ、文字から滲み出る、無意識の空気を読み取れるのかもしれません。

教えてくれたのは   毎日新聞社校閲センター前部長 岩佐義樹さん

毎日新聞社校閲センター前部長 岩佐義樹さん

1963年、広島県呉市生まれ。早稲田大学第1文学部卒業後、毎日新聞社に校閲記者として入社。用語委員会用語幹事などを務める、日本語のスペシャリスト。毎日新聞校閲センター運営のウェブサイト「毎日ことば」や「サンデー毎日」の連載コラム「校閲至極」などにて執筆中。

『失礼な日本語』
著/岩佐 義樹
ポプラ社
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