「メイク」をしてきた自分を嫌わなくていい
つらさを感じている女性たちは、どのような「メイク」を施しているのでしょうか。
例えば、クライアントのある女性は、世間体をとても気にする親の元で厳しく育てられました。進学も就職も順調で、超有名企業でバリバリ働くキャリアウーマンになりました。でも、「人からよく思われたい」ということを幼少期からすごく意識してきたことで、プライドが高く、人に弱いところをさらけ出せなくなったそうです。
いつしか、「いつまで頑張ればラクになれるんだろう?」と考えるようになり、未来が暗いものに思えて不安を感じるようになったといいます。
勝ち続けることで、負けることへの恐れは強烈なものになり、それは、「強い競争心」に拍車をかけます。プライドの高さからの競争心。これが、彼女を苦しめる「メイク」でした。
また別のクライアントの女性は、お母さんが精神的に弱く、いつもその相談相手となり、一方で妹や弟の面倒も見てきました。幼い頃から一人で何でもこなし、まさにしっかり者の長女でした。しかし、彼女の中での優先順位は「①お母さん②弟や妹③お父さん④自分」となっていて、いつも自分を後回しにしていたといいます。
進学や就職も、お母さんが不安がるので家から通える場所にし、結婚相手も、結婚後に実家からそれほど離れなくていいことが決め手の一つになりました。夫は自分勝手なタイプだったので、結婚後もじっと我慢する日々が続きました。そんな中、「もう自分を犠牲にして生きるのは苦しい。もっと自由になりたい」と思うようになったのです。
彼女が施していたのは、誰かのために自分を押し殺す「犠牲」という「メイク」でした。
このように、人はそれぞれの体験によって、異なる「メイク」を施しています。あなたは、どのような「メイク」をしていると思いますか?
ここで、ぜひ考えていただきたいことは、その「メイク」はあなたの人生においてどう役に立ったのか、ということです。
先ほど紹介した一例目の女性は、競争心が強く、プライドが高いという「メイク」のおかげで、周りから憧れられる、仕事ができるスーパーウーマンになれました。
二例目の女性は、自己犠牲の「メイク」のおかげで、面倒見がよく、他者を受け入れる広い心を持てました。
そこで今度は自分自身に目を向けて、
「◯◯のおかげで〜ができた」
という構文を作ってみてください。
「◯◯」に自分の欠点だと思っている要素を入れることで、今までネガティブに見えていたものをポジティブな角度で見られるようになります。
「メイク」は必要があって仕方なく心に施したものです。「メイク」によって守られたり、得られたりしたものも、じつはたくさんあります。
だから、
前提として心の「メイク」をしてきた自分を否定したり、嫌う必要はありません。
「もうそれは必要ないんだ」と、自分に教えてあげることが何より大切なのです。
次回は、いくつかのタイプ別に、「メイク」を落とし、「すっぴん」の心を認めるトレーニング法をお伝えします。
「自分らしく生きる心のトレーニング」で心がフッと楽になる!
予約3カ月待ちの人気心理カウンセラー、根本裕幸さんが、心に分厚い「メイク」をし、つらさを感じている女性が「自分らしく生きる心のトレーニング」を紹介。クライアントのさまざまな事例を通じて、肩の力を抜いて本来の輝きを発揮できる考え方・あり方・やり方を伝えます。
根本裕幸(ねもと・ひろゆき)
心理カウンセラー。1972年生まれ。2000年よりプロのカウンセラーとして、延べ20000本以上のカウンセリングと年間100本以上のセミナーを行う。2015年4月よりフリーのカウンセラー、講師、作家として活動を始める。「anan」「CLASSY.」「LEE」「美ST」などの雑誌や、新聞、テレビ、ラジオでも活躍中。著書は、『人のために頑張りすぎて疲れた時に読む本』(大和書房)、『敏感すぎるあなたが7日間で自己肯定感をあげる方法』(あさ出版)、『いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、多数。
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