「片づけられない」経験から、「自然と片づく」収納を考え抜いた
じつは片づけが苦手だったという水谷さん。第二子出産後、片づけサービスを受け、暮らしがラクになったことをきっかけに整理収納を学んだそうです。そして、無印良品の商品開発で培ったデザインの知識を融合し、「ものとかぞく」を起業し、片づけサービスや講座を行なっています。実際にお客さまの家に足を運ぶなかで、見た目を整えてスッキリ見せる収納は、逆に片づけにくくしてしまっているのでは? と気づいたそう。そこで、誰でも直感的にわかるように、隠さずに見せる収納を自宅で試してみたら、家族みんなが片づけられるようになったのだとか。
余計なことをしない収納4カ条
収納の目的は、ものを使いやすくすること。そのためには、ものの大事な情報や機能を損なわずに収納することが大事だそうです。片づけたいのに片づけられないのは、隠したり、きれいに並べたり、という余計なことをやりすぎていたのが原因かもしれません。では、どんな「しない」を取り入れればいいのでしょうか。水谷さんの「しない収納」について伺いました。
その1 隠さない
派手でごちゃごちゃして見える食品のパッケージ。統一感がなくなるので、隠したくなりますよね。でも扉や引き出しの中に不透明のボックスを入れてしまうと、ものを見つけにくいし、戻す場所にも迷ってしまいます。だから、ふりかけやレトルト調味料などの食品はあえて、半透明や透明のケースを選んで、中身を「見える化」しましょう。扉を開けるだけの1アクションで、量も一目瞭然だから、在庫チェックもラクですね。
その2 フタをしない
片づけにおいて、フタつき収納は面倒を増やす場合もあります。使うたびに、フタを開閉する手間がかかるからです。輪ゴムや排水溝ネット、お弁当グッズなど、毎日使うものや頻繁に補充したい消耗品は、フタなしが断然便利です。フタが必要なものは、ニオイや湿気を防ぎたいもの、劣化が心配なもの、見られたくないもの、とごくわずか。それ以外はフタなしで問題ないでしょう。
その3 詰め替えない
SNSでよく見かける、洗剤のボトルが統一された美しい収納って、憧れますよね。でも、市販品の容器は、とことん工夫されています。洗剤のキャップは使用量が分かりやすい、調味料のボトルは液だれしにくい、ラップの歯は切れ味がいい、など、使いやすさは抜群。パッケージには使用上の注意も書かれているので、詰め替えないほうが、家族みんなが分かりやすいのです。
その4 並べない
使い捨てのコンタクトレンズ、トイレブラシなどの消耗品、麦茶のパックなど、使用頻度が高いアイテム。これらはあらかじめひとつずつカットして、ボックスにポイポイと放り込んでおくだけでオーケー。そのほうが、すき間に指が入り、パッと手に取りやすいのです。きっちり並べてしまうと、逆に取り出しにくく、入れ直すのも面倒。家族にも気軽に補充を頼めるのもいいですね。
家族みんなが片づけやすい収納は、家事を分担しやすいということでもありますよね。ルールが一目でわかりやすく共有できれば、日常のささいなイライラも軽減し、きっと家族の笑顔も増えるはず。水谷さんの「片づく収納」からは、そんな家族への愛情が伝わってきます。
家族みんなが、片づけやすい、使いやすい収納のヒントが満載!
整理収納アドバイザーであり、元無印良品の商品開発担当者の水谷妙子さんによる、「余計なことをしないで」家族がラクに暮らせる心得や、実際にやっていないことなど、暮らしのヒントが詰め込まれた一冊。今回ご紹介した「しない収納」以外にも、考え抜かれた収納の使いやすさの理由を、詳しい写真でわかりやすく解説しています。
【著者プロフィール】
水谷妙子(みずたに・たえこ)
整理収納アドバイザー1級。夫と、7歳女の子、5歳&3歳男の子の5人暮らし。東京都在住。
武蔵野美術大学デザイン情報学科卒業後、無印良品で生活雑貨の商品企画&デザインを13年間務める。
手がけた商品は500点以上。調べた他社製品は5,000点以上。
2018年「家が整うと、家族も整う」というコンセプトのもと「ものとかぞく」を起業、子育て世代向けのお片づけアドバイスや講座を開催。
Instagram「@monotokazoku」
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出版社:主婦と生活社
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photo:林ひろし
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