相談:「嫁いだんだから、夫の実家を優先に」と言われました
結婚して12年目になる共働き夫婦です。子どもはいません。夫は同い年、友人の紹介だったので、付き合っているときから「平等」な感じでした。お互いの実家には電車で1時間ほどの距離です。
昨年暮れに父が亡くなり、母が一人になりました。母もさみしいかな、と思い、予定がない週末や、平日も仕事帰りに寄ったりしていました。しかしコロナの影響で私は完全にテレワークになりました。自粛期間中、私は実家で1週間テレワーク、自宅で1週間テレワーク、という日々を送りました。
夫も私がいないときは自分の実家に行くなど、子どもがいないからこそ各自で好きなようにしつつ、2人の時間も確保していたつもりです。ところが、夫の実家から「今度からはドードーさん(私)にも一緒に帰ってきて」と言われました。
たまには顔が見たいのかと、一緒に週末顔を出すと、義母から「実家に良く帰っているそうだけど、こっちには顔を出さないし、嫁いだのに実家にそんなに帰るなら、こっちにも顔を出して。嫁いだんだから、そんなに実家に帰るものではない。私たちのことを優先して会いにきてほしい」と言われて面食らっています。
そんなことを言うような義両親だとは思っていなかったのと、今時「嫁いだから」って……昭和の時代のようなお話しに聞こえます。しかし、夫に話したところ「結婚ってそうゆうことなんじゃない」といわれた上に「おれらは子どもナシでも許してもらえているんだから、ありがたいと思わない?」と言われ、悔しくて涙が出そうです。子どももいないし、離婚も考えてしまいますが、離婚するほどのことではないですか?
(神奈川県・ドードー・45歳・正社員)
小田桐あさぎさんからアドバイス:人間関係の問題の90%以上は「話し合い不足」から起こる
3000人以上の人間関係のお悩みにお答えしてきました。そこで見えてきたのは、人間関係の問題の90%以上は「話し合い不足」から起きているということです。今回のケースも、話し合いが必要なのではと感じました。
話し合いにはステップがあります。
- お互いの正直な気持ちを全部出す
- お互いに譲歩したり合意できる点をすり合わせる
- どうしても合意できない場合は第3の手を考える
順番に解説しますね。
話し合い第1ステップ:お互いの正直な気持ちを全部出す
まず人が自分の意にそぐわない提案や要求をしてきた場合、一番最初にとるべき対応は「自分の正直な気持ちを、素直に相手に伝えること」です。今回は夫に対して「私は夫婦平等だと思ってやってきた」「母もさみしいだろうと思い気になる」「子どもを持つか持たないかは親のことと関係がないのではないか」などです。
もちろん、それで相手がそのまま「はい、そうですか」となるとは限りません。しかし、相手に自分の気持ちが伝わるまで、伝え続ける以外に方法はないのです。
ここで注意すべきは、「今時そんなのおかしい」などと、「普通」や「常識」を盾に「相手が間違っている」という前提で話さないことです。あくまでも「自分はこうしたい」という自分の気持ちで伝えること。そして例え相手が常識を盾に話をしてきても、そこではなく相手の気持ちで話してもらうことがポイントです。お互いの相反する常識や正義どうしで戦っていても、お互いに「相手が間違っている」となるだけで、議論はずっと平行線になってしまいます。
今回のケースだとお義母さんの「嫁いだんだから」とか旦那さんの「結婚ってそういうこと」などが「常識を盾に話してきている」内容に当たりますので、そうではなく「あなたはどう思うのですか?」と「相手自身の気持ち」を聞いてみてください。
そのうえで、ドードーさんがご自分の気持ちを全て正直に伝えてください。こうしてお互いの気持ちが全てテーブルに上がると、やっと話し合いがスタートできるのです。
話し合い第2ステップ:お互いに譲歩したり合意できる点をすり合わせる
一通り自分も相手も正直な気持ちや、相手への要求を全て出し切ってもらったら、お互いが譲歩できる点、譲れない点などをすり合わせていきましょう。ドードーさんも何も「二度と義実家にはいきたくない」と思ってるわけではないのでしょうから、この程度なら会ってもいい、母のことはこうしたい、などを適宜すり合わせていくのです。
話し合い第3ステップ:どうしても合意できない場合は第3の手を考える
どんなにすり合わせても、どうしても合意点に至らない場合。
その場合は「それならば離婚も視野に入る」ということも含めてはっきりと伝えましょう。相手側が「離婚するくらいならドードーさんの希望を受け入れる」になるのか「それなら離婚してもいい」になるのかはわかりません。ここでもし相手側も「それなら離婚も仕方がない」となったときに初めて、離婚という選択肢を現実的に検討してみればよいのです。
「顔を出さないのはダメだけど離婚も嫌だ」と言われるパターンもありますが、「ここまでは譲れる」「ここは譲れない」という明確なラインを、自分自身で引くことが大切です。
ちなみに「離婚するほどのことではないですか?」というご質問ですが、離婚するほどのことかどうかを決めるのは他人ではありません。自分が離婚するほどのことだと思えばどんな些細なことでも離婚すれば良いし、逆にいくら他人に「そんなひどい人とは離婚した方がいい」などと言われようが、自分が気にならないなら離婚する必要なんてありません。
話し合う方法について書いてみましたが、話し合うのには労力がかかります。その労力をかけたくないと思うなら離婚を選ぶのもありでしょう。
まずは「常識」「普通は」などに囚われない正直な自分の気持ちを整理してみてください。応援しています。
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イラスト:村澤綾香
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