長寿命国・日本の秘密は健康的なライフスタイル
日本人の平均寿命は世界の中でもトップクラス。1位に輝く年も珍しくはありません。その理由として日本独自の健康的なライフスタイルが注目されており、低脂質で多様な食材が一度に摂れる一汁三菜の食事や、健康効果の高い緑茶を日常的に飲んでいること、そして世界から見ても独特な『入浴』習慣があります(1)。日本では殆どの家に浴槽が付いており、そこにお湯を溜めて浸かる習慣は他の国にはありません。日本は言わずとしれた火山大国。レジャーとして温泉を楽しんだり、地元の人達は日常的に温泉の湧く銭湯を利用したりと、昔も今も変わらない文化を守っているのです。
入浴は血管を拡張させることによって血流を改善し、身体の中にある二酸化炭素などの老廃物を排出し、体に必要な酸素を身体中に巡らせることができ、一日の疲れを癒やしてくれます。入浴習慣による健康効果は数多く報告されているのです。
週7回お風呂に入ると幸せになれる!?
皆さんは、週に何回入浴をしていますか?日本の入浴習慣を調査すると、冬は入浴(湯船に浸かること)が平均5.0回(41.2±1.2℃、12.9±9.7分)、シャワー浴が平均1.6回ですが、夏になると入浴が平均3.4回(39.4±1.4℃、9.4±8.8分)、シャワー浴が平均4.4回と、入浴回数が減る傾向があります。(1)
夏は身体が冷えていないからと、シャワーで済ませてしまう方が増えてしまうようですが、それではもったいない!静岡県の6,000人の住民を対象にした調査によると(2012年。 3,054人から回答を得て解析)、週7日間お風呂に入る習慣のある人は、それ以外の人と比較して主観的に「健康感が良い人」が1.27倍、「眠りの質がいい人」が1.41倍、「幸福度が高い人」が1.35倍と多くなっていることがわかっています。(2)
“週6以下”の中には、週6回の入浴からシャワー浴のみまで含まれますので、シャワー浴のみの人と比較すればさらに結果が顕著であることが予想されます。
別の研究では、入浴を一週間続けた人は、シャワー浴を1週間続けた人よりストレスや身体の痛みが軽減し、主観的な健康感や肌状態、鏡の中笑顔の状態が向上したという結果もあります。
入浴による幸福感アップは、温熱作用、静水圧、浮力、水の粘性など、入浴に特有のいくつかの作用による心身の健康が貢献していると考えられています。
普段とはまったく違った環境に身を置くことで日常のストレスから解放される「転地効果」や、スマートフォンやパソコンと離れてゆったりと過ごす「デジタルデトックス」により気分転換が出来る『銭湯』の利用もおすすめですよ。
毎日の入浴で「幸せ」を感じられるように!
という訳で、科学的に幸せになる方法は『毎日“浴槽”を使うこと』でした。
心と身体の健康は強く相関しています。入浴習慣は、健康な身体に導くだけでなく、温かいお湯に使った時のなんとも言えない幸福感も大きな魅力の一つです。
一日の最後には、頑張った自分にご褒美を。毎日のお風呂習慣で、小さな幸せを積み重ねてみませんか?
※参考文献※
(1)Yasuaki Goto, Shinya Hayasaka, Shigeo Kurihara, and Yosikazu Nakamura. Physical and Mental Effects of Bathing: A Randomized Intervention Study. Evid Based Complement Alternat Med. 2018; 2018: 9521086.
(2)Goto Y, Hayasaka S, Nakamura Y. Health effects of seasonal bathing in hot water, seasonal utilization of hot spring facilities, and high green tea consumption. J Jpn Soc Balneol Climatol Phys Med 2014; 77: 171-181.
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