「安さ」のために手間を惜しむべからず!
【大手キャリアからの乗換方法】
- 通信容量の把握
- 新規事業者・プランの決定
- 大手キャリアでMNP予約番号を発行
- 端末の確認(購入or引き継ぐ→使えるか確認・SIMロック解除)
- オンラインにて新規事業者で契約
- SIMカードの入れ替え・APN設定・MNP転入切替などの初期設定
越えるべき壁1【毎月の通信容量の把握】
ケイタイジャーナリスト石野純也さんは、「プラン選びの決め手となる毎月の通信容量を知ることから始めなくてはなりません」と言いきります。自分の通信量を知るには、各サイトのマイページから簡単に知ることができます。最低でも6ヵ月前後の通信量を見て、自分に必要な通信容量を把握しましょう。マイページの確認ができない人は、各キャリアの店頭でも知ることができます。
越えるべき壁2【通信事業者・プラン選び】
安い通信事業者やプランに乗り換えるためには、自分自身でしっかり比較・リサーチできるかがカギになります。店舗に行って、お店のスタッフに相談するといった大手キャリアのようなサービスはありません。各サイトで打ち出しているプラン内容が自分に合っているプランかどうかを吟味しましょう。サブブランド、大手キャリア、キャリアのオンライン専用プラン、格安スマホと選択肢は膨大に広がりますが、根気よく比較検討してみてください。
石野さんによると、毎月の通信容量が2GB前後だとしたら、2GBプランを選ぶのではなくて、3GBや5GBのプランを検討するのがおすすめとのこと。「容量を使い切り、追加でデータ容量を買うと高くつくので、少し余裕を持った容量プランを選ぶ方が安くつきまます」。
越えるべき壁3【移行手続きのわずらわしさ】
通信事業者・プランが決まったら、大手キャリアからの乗換のための手続きが始まります。乗換後も同じ電話番号を使いたい場合はMNP(ナンバーポータビリティ)予約番号を現在契約している事業者に発行してもらう必要があります。これは、店頭での発行も可能ですが、オンラインでも手軽に発行できるのでおすすめです。
また、2019年10月以降に契約したプランからは解約金が最大1000円と改善されていますが、それ以前に契約した2年縛りプランでは10000円近い解約金がある場合もあるので、解約のタイミングを見計らったほうがいいパターンも考えられます。違約金がかからず、比較的移行が簡単な大手キャリアのサブブランドやオンライン専用プランを選択するといいかもしれません。
越えるべき壁4【端末が使えるかどうかの確認】
今現在使っている端末を乗換先でもそのまま使用したい場合は、乗換先の回線を確認する必要があります。例えば、ドコモからドコモ回線を使用している事業者に乗り換える場合はほとんどの場合、端末はSIMカードの入替を行うだけで問題なく使えます。
しかし、別の回線を使用している事業者に乗換える場合は、端末の確認が必要です。新しい端末ではキャリアで購入していてもSIMロックが解除されているケースも増えてきましたが、最新ではない端末などではそのキャリアでしか使えないSIMロックがかかっている場合も多いので、まずはSIMロックの解除をしていきましょう。この乗換を機にSIMフリースマホを購入する場合はこの手続きはいりません。SIMロック解除はキャリアの店頭スタッフに対応してもらうことができますが、手数料3,000円(税抜)がかかります。ただし、購入と同時に解除するなどすれば、無料になる場合もあります。また、各サイトのマイページから手続きをすると手数料が無料になるので、可能であれば、こちらをおすすめします。
自分の端末がSIMロックされているかどうか確認する方法
【iPhoneの場合】
設定アプリ→一般→情報→SIMロック←ここで確認
【Androidの場合】
※Android端末は機種によって違いがあり、確認方法が違う場合もあります。
(例)設定アプリ→デバイス情報→SIMカードステータス←ここで確認
※※要注意※※
・2015年4月以前に発売された機種はSIMロック解除ができない仕様になっているので、回線違いの事業者に移る場合は、買い替えが必要です。
・SIMロック解除しても端末そのものがが別キャリアの回線の周波数に対応していない場合があるので、事前の下調べが必要です。その他、事業者によっては対応機種が限定されているケースもあるので、持っている端末が乗換先で対応しているかどうかは、各公式サイトの「動作確認済み端末の一覧」を確認しましょう。
これらの確認や作業が難しいと感じる人は「乗換先の周波数や回線に合わせた端末を新規契約先で新しく購入するのが安心かもしれません」と石野さん。端末を引き継ぎたい人はしっかり持っている端末と乗換先のサイトをチェックしましょう。
超えるべき壁5【オンラインでの手続き】
MNP予約番号を手に入れ、端末の確認もできたら、新しい事業者との契約です。必要事項を入力、確認書類の添付など多くの場合はオンライン完結型の手続きとなります。
ここまでを振り返ると、マイページでの通信容量の確認、MNP予約番号の発行、SIMロック解除手続きは、大手キャリアの店頭でも対応してもらえますが、新規契約先のリサーチ、新規契約先のサイトでの端末確認、乗換先の事業者との契約などは、オンラインでの手続きが多くなります(家電量販店などで手続きが可能なケースもあります)。支払い方法もクレジットカート決済のみであるところが多いので注意が必要です。
超えるべき壁6【初期設定という難題】
ここまでの壁を乗り越えたどり着いた人の中でもこの初期設定でつまづく人が多いのだとか。でも、落ち着いて同封のマニュアルを読めば、乗り越えられるはずなのでがんばりましょう。
1.申し込みから数日でSIMカードが届きます。SIMカードとは、スマートフォンの中に入っている小さいチップのことで、このSIMを差し替えることで通信事業者を変えることができます。まずはSIMカードを入れ替えてみましょう。
2.契約したサイトからMNP転入切替をすることで、携帯電話番号を使えるようになります。回線切替が完了するまでは約30分~1時間程度と言われています。その間、転出元の回線は利用可能です。
3.【APN設定】
次に必要なのが、構成プロファイル「APN」の設定です。APNとはスマホにインターネットの接続先を認識させる重要な設定です。大手キャリアの場合は、初めからAPNが設定されていますが、格安スマホの場合は、APNの初期設定を行わなくてはなりません。
・iPhoneの場合(Wi-Fiに接続しておく必要があります)
- あらかじめWi-Fiに接続した状態で「safari」(ブラウザ)を開きます。
- 契約した事業者のサイトで「構成プロファイル」というデータをダウンロードし、インストールします。
(検索エンジンで「(キャリア名) 構成プロファイル」と検索すると見つけやすい)
・Androidの場合(端末によって仕様が違う場合があります)
- スマホ画面にある「設定アプリ」を開き「無線とネットワーク」を選択
- その中の「モバイルネットワーク」を選択し、「アクセスポイント名」をタップ
- メニューから「新しいAPN」を選択し、アクセスポイントの編集画面に必要な情報を入力します。
(契約したSIMカードに同封されているマニュアルに案内があるので、そのどおりに入力)
乗換前にチェックしたいポイント
・キャリアメールは使えなくなる
大手キャリアで作られた「@docomo.ne.jp」「@ezweb.ne.jp」「@softbank.ne.jp」といったキャリアメールは使えなくなるため、端末でのe-mailが必要な人はGmailやYahoo!メール、icloudメールなどの無料で設定できるアドレスを作って、各所変更するのがいいでしょう。
・キャリア決済も使えない
キャリア決済とは、「ドコモのケータイ払い」「auかんたん決済」「ソフトバンクまとめて支払い」のこと。商品やサービスの代金を支払いを自分が契約している携帯電話の料金と合算して支払いうことができる大手キャリアならではのサービスです。大手キャリアを離れるとこちらのサービスは使えなくなるので、支払い方法の変更を前もって手続しておきましょう。毎月決まって引き落とされているものは特に要注意です。
・決済サービスの還元率優遇がなくなる
d払いやauペイ、paypayなど大手キャリアと提携した決済サービスを利用していた場合、優遇されていたポイント還元率が大幅に下がってしまうことも。
・SIMカードは3種類あることを知っておこう
【データ通信SIM】とは、携帯電話回線を利用してモバイルデータ通信ができるSIMカードのことです。Wi-Fi環境でなくても、ネットに接続できるようになります。ネットを介したアプリ電話は使えますが、携帯電話回線を利用した通話はできません。その分、音声通話SIMよりも安い価格なのが特徴です。
「タブレットに使いたい人」「モバイルルーターに格安SIMを使う人」「通話をすべてLINEなどのコミュニケーションアプリで行う人」「2台目以降のサブ機として使う人」「一時的にスマホが必要な人」はデータ通信SIMがおすすめです。
【データ通信+SMS】は、データ通信にプラスして「電話番号」を知っている相手にショートメッセージを送る機能をつけたもの。手軽にテキストをやり取りできるだけでなく、本人確認やアカウントの保護を強化するツールとしても多様されています。SMS認証でアプリとスマホの連携をすることも多いため、スマホを使う上でとても重要な機能といえるかもしれません。SMSのための番号はありますが、電話番号を使った通話はできないため、通話をしないタブレットや2台目のスマホとして使うのに適しています。
【音声通話SIM】は携帯電話回線を利用して通話ができるSIMカードです。固定電話、スマホ(携帯電話を含む)、公衆電話はもちろん、IP電話(050)とも相手の電話番号を指定して相互に通話ができるようになります。それに加えて、データSIMの機能も持っているため、モバイルデータ通信を使ってネットに接続することもできます。SMSの送受信も可能です。
今ではアプリを使った通話も当たり前になってきましたが、これだけではスマホ以外の固定電話などの通話に対応できないため、携帯電話として使う端末には必ず音声通話SIMが必要になってきます。
どうしてもオンラインが苦手な人は…
サブブランドも格安スマホも基本的にはオンライン完結ですが、都市部などに店舗を構えている会社もあります。手続きに困ったら、実店舗に出向くのも手段の1つ。
そして、携帯電話ショップや家電量販店で対面で格安スマホを契約する方法もあります。ラインナップが限られますが、ネットでは分からないことを直接聞くことができるなどメリットがあり、MNP予約番号を発行してからお店に出向けば、その場で契約でき、初期設定のサポートをしてくれる場合もあるとか。(店舗によるので確認を!)
今回教えてくれたのは…
石野純也さん
ケータイジャーナリスト
慶応義塾大学総合政策学部卒業後、出版社の宝島社に入社。IT関連雑誌、書籍の編集を経て、数々の携帯電話関連のムック編集に携わる。05年に独立してジャーナリスト/ライターに転身後は、通信事業者、携帯電話メーカー、コンテンツプロバイダーなどモバイルに関する幅広い企業を取材。webや雑誌などを中心に執筆している。主な著書は『ケータイチルドレン』(ソフトバンク)、『モバゲータウンがすごい理由』(マイナビ)。業界動向を記したビジネス書から、端末の解説書まで著書も多い。
今春、各社新プランを打ち出し、値下げの嵐が巻き起こっているスマホ料金プラン。大手キャリアから格安スマホなどに乗換えるときに気をつけたいポイントなどをご紹介しました。根気よく比較検討したり、各種手続きのわずらわしさや初期設定の壁を乗り越えた人が「安さ」をてにいれることができるとも言えます。今回ご紹介した段取りやポイントを抑えれば、きっと乗り越えられるはず。次回の第2弾は詳しい料金プランの選び方前編などをご紹介します。