「夫婦でお金の会議」はどう切り出せばいい?
お金に無頓着な夫が家計を気にせず使いすぎている、共働きなのに思うように貯められていない、お互い忙しくてお金のことは後回しにしてきたけれど、そろそろ真面目に話し合いたい……。こんなときどうしたらいいのでしょうか。お金のことで切り出すと取り合ってくれない旦那さんに悩む方もいるかもしれませんね。
なかなか切り出せないお金の話を円満に進めるために、どんなことに気をつければよいのでしょうか。
なかなか協力してくれない夫には数字で見せる
「夫婦円満にお金の会議をするにはきっかけが大切です。いきなりお金の話を切り出しても『急にどうしたの?』と一蹴されてしまうこともありますよね。そんなときに効果的な方法が『数字を見せる』という方法です」と福島さん。
「実際のご相談でも、お相手の収入などは想像で仮にでも構わないのでキャッシュフロー表を作成して、このペースでお金を使っているといつ頃にはお金がつきることになるなど、衝撃的な結果をまず数字で見てもらうと『このままじゃまずいね』『実際はこれぐらいの収入があるから』など、具体的な話にスムーズに入りやすくなる傾向があります」
お金の話となると、夫が真剣に聞いてくれない、なかなか協力してくれないなど、夫婦間でのお金の話がうまくいかないのは、具体的な数字がかけていて、現実味がないせいなのかもしれません。具体的な数字を見せることや、うまく協力してもらう体制をつくることで、お金会議がうまくいくきっかけづくりにもなりそうですよね。
どうやって具体的な数字を出せばいいか分からないという人は、口座の残高から過去の貯金額を計算したり、インターネットでキャッシュフロー表が作成できるサイトなどを利用してみることから始めるというのも効果的なのだそうですよ。
「まずやってみる」から始める
「夫婦でお金の会議をするというのは、まさに入り口の一番ハードルが高いところだと思います」というのは江尻さん。
「おカネレコプラスという家計簿アプリでは、まさにその入り口の手助けをするということを行っています。具体的に数字を共有するために、まず家計簿アプリなどを夫婦共同で始めてみて、今月は何にいくら使ったなど夫婦で家計簿を共有してもいいと思います。それならお金会議をするというよりは『今度、家計簿アプリを始めてみようと思うんだけど、一緒に情報を共有してみない?』など、まずお金の相談することから始められます。
お金の情報を共有することが家計簿アプリを通じて自然にできるようになってくるといいですね。毎月の家計状況を、家計簿アプリを通じて共有していくうちに、キャッシュフローも自然に見えてくるようになります。年の初めの1月や年度初めの4月などは始めどきですよ」
確かに、今まで無頓着だったお金の話を、いきなり真面目にしようと思っても難しいこともありますよね。「家計簿アプリ、一緒にやってみない?」だったら相談しやすいかもしれません。家計簿アプリを続けるうちに、夫婦でお金の問題を自然に共有できるようになれば、夫婦間でのトラブルも少なくすませられそうです。
家計管理アプリを始めるにあたり、パートナー同士で共有していなかった金額の部分は「だいたい」で入れてしまうのも手だそうです。
「だいたいのお金で入れておいたから、間違いがあったら訂正しておいてくれる?」と言うのがお互いの財布を見せ合うきっかけになるかもしれません。
お互いに管理が苦手なら、家計簿アプリなどの管理してくれる仕組みを取り入れる
上記のような方法で夫婦の「お金会議」がうまくいけばよいのですが、もしうまくいかなかった場合はどうしたらよいのでしょうか。
「もしうまくいかなかったら、あきらめて何もしないのではなく、少しずつ、できることから始めましょう。まずは相手のことは置いておき、自分のことから。毎月決まった額の生活費をもらって自分で管理してもいいですね。時間をかけて少しずつ協力が得られるようにしていくということですね」と福島さん。
「自分は細かく管理したいのに相手の協力が得られないのか、お互いに管理したくないために協力が得られないのかによっても変わってくると思います。自分が細かく管理したいタイプであれば、自分でしっかり管理すればいいので比較的始めやすいですが、お互いに管理が不得意なタイプであれば、家計簿アプリなどを利用して自動的に管理してくれる仕組みを作っておく方法もあります」と江尻さん。
夫婦でお金のベクトルが違うと、お金会議がうまくいかないことも多いとのこと。どのような目的や目標を持ってお金を管理していきたいのか、あらかじめ夫婦のベクトルを合わせられるような歩み寄りが必要になりそうです。
共働き夫婦のお金会議に感情論はNG
夫婦でお金会議をする際「私ばかりこんなに頑張っているのに」「あなたも少しは協力して」と感情論で話をすると水掛け論で終わってしまいがちです。
また「これぐらいの支出は普通だよね」と『普通』や『平均』を基準にして話した場合も、実態に見合わないことから話し合いがうまくいかないこともあるそうです。
他の家の普通、世の中の平均は一旦おいておいて、「我が家の実態把握」のために「多すぎない!?」などの感情はできるだけ抑えて話し合うことがポイントのようですよ。
>>併せて読みたい:教育費かけすぎてない?貯められない共働き夫婦が陥りがちな3つのNG特徴
お話を聞いたのは:ファイナンシャルプランナー:福島えみ子さん、江尻尚平さん
福島えみ子:ファイナンシャルプランナーCFP、1級FP技能士、DCプランナー、企業年金管理士、国家資格キャリアコンサルタント。大学卒業後、都市銀行を経て、法律事務所に勤務。2010年より女性のマネープラン専門のFP会社に在籍後、独立。金融商品を販売しない中立の立場で家計、ライフプラン、資産運用、相続などの個人相談、セミナー・研修、執筆、コンテンツ作成等を行う。「マネーディアセオリー株式会社」として法人化、お金の相談所「リュクスセオリーFPサロン」を運営
江尻尚平:ファイナンシャルプランナー。上智大学理工学部卒業、大手外資系携帯電話メーカーにてサービス企画などに従事。慶應義塾大学大学院経営管理研究科にて経営学修士(MBA)を取得。2012年にスマートアイデア株式会社を創業、代表取締役に就任。現在、450万ダウンロードを達成した家計簿アプリ「おカネレコ」および家族向け家計簿「おカネレコプラス」、FPオンライン相談サービス「マネシル」などFintech分野に注力した事業を展開している。
お2人の知見を詰め込んだ共著『お金が貯まる! 世帯年収500万円から始める共働き夫婦の超効率家計簿』で無理しないでできる節約・貯金方法を伝えている。