「私は片付け係じゃない!」片付けしない人とする人
「夫(妻・子ども)が片付けが苦手で、片付けをしてもすぐに散らかしてしまうんです」
NPO法人tadaima!で行っているモヨウ替えのコンサルティングや、お片付けサポートのサービスをご利用される方で、このように家族の中で片付けしている人が偏ってしまっていて、「なんでみんな片付けないんだ!」と悩んでいる人はとても多いです。
「こうすれば片付けが苦手な家族も片付けできるようになるよ」という答えがあるわけではありません。しかし一度真剣に家族みんなが片付けと向き合うと変わるというのも真実です。片付けコンサルをした後「家族の片付けに取り組む姿勢が変わってきた」という嬉しい感想をいただくことは珍しいことではありません。
今日は、そんな「家族の片付けに取り組む姿勢」が変わった家庭の共通点をご紹介していきます。
「自分のものを片付けて」の前に「家族共有のもの」を一緒に考えると効果的
最初から家族みんなで「これから片付けをがんばっていこう!」と意思疎通ができていれば話は早いのですが、実際には家族のだれか一人が「がんばろう」と気合を入れていて、家族は少し引いた目で見ていたりするのが現実です。
「この部屋は夫の物ばかりなので、片付けられません」
「妻の衣類が多いんですが、全然減らす気がないみたいなんです」と、家族間の温度差が大きく、片付けの手が進まないこともあります。
では、どこからどう手をつけていったらいいのでしょうか。
物には3つの所有者がいます。
- 自分の物
- 自分以外の物
- 家族共有の物
この中で、家族に片付けたことのメリットを一番多く味わってもらえるのが「3家族共有の物」です。
家族共有の物とは、食器類や爪切りや共有の文房具、アウトドアグッズだったりポストから取ってきた書類関係だったり。
細かなところだと、ゴミ捨ての仕組みを整えることなんかもあります。
こうした家族共有の物が使いやすくなることで「片付けたら生活が変わりそうだな」と実感させることができるんです。
「あなたの物をとにかく片付けて欲しいの」と伝える前に「ポストから取ってきた書類とか、ここにしまえるようにしたら便利だと思うんだけどどうかな?」と話をしやすい共有の物についてから片付けの話をしてみるのがおすすめです。
自分が変わると家族も変わる、は真実
「いつの間にか、夫も自分の物を片付けはじめたんですよね」
上記の「何それ魔法?」というようなセリフを言う人たちは、とにかく「自分の物を一生懸命に片付け続けた人たち」です。
家族に「片付けて!」と耳タコなぐらい言う前に、何も言わずに黙々と自分のものを片付け続ける。そしてふと周りを見渡してみた時、いつの間にか家族も同じように片付けをはじめていたと言うのです。
そうした人たちの共通点は「自分自身が片付けによって起こった変化を心から楽しんでいる」ということ。
いやいやな気持ちで、イライラしながら、ため息をつきながら片付けをしていると、それを見ている周りの家族は絶対に片付けをしたいとは思いません。「ママがこんなにイライラして大変そうだから、手伝ってあげなくちゃ」なんて素敵なことを考えて変わるような展開はドラマの中だけです。
でも、片付けをしている人がイキイキとしていて楽しそうにしているとみんな知らず知らずのうちに影響を受けます。
「見て! わたしのクロゼットこんなにキレイになって使いやすくなったの!」
「このワークスペース、めちゃくちゃこだわったんだけど仕事はかどるんだよ!」
楽しそうに、快適そうになっていく姿を見ると「自分もそうなりたいな」と思うものです。
まさに北風と太陽のお話の通りですね。力技で相手を変えようとするよりも、まずは自分が片付けによる変化を楽しむ。するといつの間にか家族もその変化に引っ張られてしまうようです。
「こんな家にしたい」ときちんと宣言する
「家族も片付けに取り組んでくれるようになった」という人たちの中で、最終的に共通しているのがこの宣言です。
なんとなく片付けはじめて、同じように片付けてくれない家族にイライラしていても、家族にしてみれば「なんで勝手に片付けはじめて勝手にイライラしているんだろう」というだけのこと。
だけど、「自分は苦手な片付けをちゃんとできるようになりたいし、もっとみんなが快適に暮らせる家にしていきたい」ということをちゃんと家族に宣言すると。その意図は相手にちゃんと伝わります。
もちろん、宣言をしたからと言ってすぐに同じように片付けに取り組んでくれるとは限りません。
「自分は、このままでいいと思ってるし必要ないと思う」
「そんな面倒なことなんてやりたくない」
なんてことを家族から言われる人もいるかもしれません。
でも、そうやって言う人には「このままであるべき理由」があるわけではありません。
あなたが「この家をもっと暮らしやすくしたほうがいい」と思っているのに対して、そうしてはいけない理由があるのではないんです。それはただただ、面倒なだけ。
家はみんなで住んでいる場所であり、その中に改善したいと思っている人がいるのだとしたら、それは改善していく「必要」が家庭の中に生まれたということです。
無理やり論破する必要なんてありません。取り組む姿勢を見せ続けて行ってください。使いやすく快適になっていく家の素晴らしさを、家族も必ず感じてくれるようになるはずですよ!