子どもにスマホ、いつから持たせるのが正解?
子どもがスマホを持つきっかけ、多いのは「進学」と「友人」
- 習い事などのために、親との連絡手段が必要になった
- 中学進学や高校進学
- 友達がみんな持ち出したから(友達とLINEがしたい) など
各家庭の方針や家族構成、用途などによって子どものスマホが必要になる年齢は異なり、「小学校高学年になるとひとりで塾へ行く」「電車に乗って友達と出かけることがある」といった理由で小学生からキッズ携帯を早くから持たせる家庭もあります。上の兄弟がスマホを持ち始めれば、必然的に下の兄弟も欲しくなり、早くからスマホを持たせることになるケースも。タイミングとしては、小学校を卒業し、中学へ進学する節目に買い与える家庭が多く、中学校でのグループLINEに参加したいといった理由もよく聞かれます。
スマホを持たせる適切な時期というのは、明確にはありません。家族にとって必要になったとき、家族が納得して決めましょう。しかし、小学生以下のスマホ利用には一部注意が必要だと鈴木さんは呼びかけます。「各SNSの規約で年齢制限があり13歳以上でないと利用することはできません。スマホを与えるときにSNSは利用できないことを理解させ、その点を徹底しましょう」
スマホを手に入れるということは、ネットの世界ともつながるということを意味します。
前回の記事でもご紹介した通り、子どもにスマホを持たせるときは必ず親子で確認する最低限の約束事を確認してからにしましょう。
家族や学校の友人との比較的限定された世界で生活していた子どもたちにとって、新しい世界に触れる大きな変化となることでしょう。最初のうちは保護者の指導やアドバイス、ペアレンタルコントロール(スマホの利用を親が監視して制限する取り組み)が必要となります。
フィルタリングは親の義務
スマホはインターネットにつながり、さまざまなアプリをダウンロードして生活を便利にしてくれます。その一方で犯罪被害のきっかけになることもしばしば。子どもたちがそういったトラブルに巻き込まれないよう、はじめから子どもにとって有害なアプリを使えなくしたり、危険なサイトへはアクセスできないように制限するのが大切です。「大人に比べて未熟で判断力も成長過程にある子どもだからこそ、少なくとも中学生までは親は子どものスマホを管理する必要がある」と鈴木さんは言います。
【保護者の責務】
- ネットを利用するうえで有害情報があることを認識しておくこと
- フィルタリングを活用して子どものネット利用を適切に管理・監視し、子どもの年令や発達段階に合わせた安全な使い方を教えること
- 18歳未満の子どもにスマホを使用させる場合は、事業者に申告すること
フィルタリングサービスとは「青少年を違法・有害情報との接触から守り、安心して安全にインターネットを利用する手助けをする(総務省HPから抜粋)」サービスのことで18歳未満がスマホを契約・使用するには、フィルタリングを導入することが「青少年インターネット環境整備法」という法律で義務付けられているため、加入しないという選択肢はありません。
- 有害サイトへのアクセス制限 (アダルト・出会い系・暴力・殺人・自殺など)
- アプリの利用制限
- 子どもが利用できる時間の設定
- 閲覧履歴の確認
- 有料アプリの購入禁止制限
- 課金ができないようにする設定 など
あんしんフィルター
ドコモ、au、ソフトバンク、そのオンライン専用プランであるahamo、povo、LINEMO、サブブランドのUQモバイル、Y! モバイルなどの大手系であれば、「あんしんフィルター」を無料でつけることが可能。格安スマホの中ではめずらしくJ:COMモバイルがこのあんしんフィルターに加入できます。
小学生、中学生、高校生、高校生プラスという4種類のモードが設定されていて、それぞれ子どもに応じて個別カスタマイズも可能です。
i-フィルター
i-フィルターは、スマホにアプリをダウンロードしてフィルタリングを有効にするソフトです。第4のキャリアである楽天モバイルや格安スマホの多くは、このi-フィルターを推奨しています。スマホだけでなくWindowsパソコンにも使用可能で複数台まとめての契約もあるため、こどもたちのスマホ、家庭のパソコンなどまとめて契約するとお得になります。
このほかの有料フィルタリングサービスを導入している格安スマホもあり、新規契約前に確認するのをおすすめします。
TONEモバイル
子どもに持たせる格安スマホとして確固たる地位を築きつつあるのがトーンモバイル。フィルタリングそのものではなく、格安スマホの携帯事業者です。こちらで契約することで、子どもに特化して作られた専用スマホと優秀な制限機能・フィルタリングを利用することができます。徹底的に子どもの安心安全のために配慮された機能とその料金の安さが魅力です。
【ポイント】
- 不適切な情報から守るフィルタリング
- 親が設定できるアプリ利用制限+利用時間制限
- 居場所確認
- よく使用しているアプリやサイト、よく行くエリアを確認
- 歩きスマホを検知
- 学校への持ち込みにアプリを制限
- 自画撮り制限(裸の写真を流出させない機能) など
※料金プラン 1,100円~1,650円/月+SMSオプション(任意加入)110円/月
※通信速度中速で無制限(動画視聴やダウンロード時はチケット制)
※専用スマホの同時購入かiPhone端末が必要
スマホ本体でもペアレンタルコントロール!
携帯事業者が推奨するフィルタリングサービス以外にも、スマホ端末そのものに制限を加えることでペアレンタルコントロールができます。
iPhoneならスクリーンタイム必須!
iPhoneの設定アプリの中にある「スクリーンタイム」と「ファミリー共有」機能を組み合わせると、次のようなペアレンタルコントロールができます。子どものiPhoneの使える機能を制限したり、対象年齢外のアプリの利用やインストールを制限。端末を子どもに渡す前に保護者が機能の制限、アプリの制限などをするといいでしょう。
・利用時間を管理
・コンテンツとプライバシーの制限
・iTunes StoreやApp Storeでの購入、アプリ内課金を制限
・使用できるアプリの制限
・不適切なコンテンツや年齢制限のあるコンテンツのブロック
・見せたくないWebコンテンツを制限
・ゲームの使用やゲーム上の機能の使用を制限 など
iOSのデバイスやmacOSを使うことで、位置情報の確認も可能です。
android端末ならファミリーリンク
android端末の場合は、Googleが提供する「ファミリーリンク」アプリをダウンロードすれば、スマホの利用ルールを設定できます。「ファミリーリンク」はiPhone用もあるので、親子でOSが違ってもペアレンタルコントロールがしやすいのが魅力です。保護者のスマートフォンでお子さまのGoogleアカウントを作成し、ファミリーグループに設定しましょう。
・子どものアプリ利用状況を確認
・使用できるアプリを管理
・特定のアプリを使いすぎないようにする
・Google Playストア、アプリ内課金の制限
・スマホの利用時間を管理
・位置情報の確認
・リモートロック など
フィルタリングは万能ではない
これらのペアレンタルコントロールをしていたとしても、有害なものをすべて遮断してくれるわけではありません。アプリ内ブラウザで飛んだページなどはフィルタリングがかからず、普通に表示されることがほとんどとのこと。例えば、TwitterなどのSNSアプリなどに投稿にリンクされたページにアクセスした場合、これらにフィルタリングはかかりません。
子どもは面白がって、SNSで流れてきたショッキングなものを友達と共有したがり、有害なものでもどんどん拡散されていってしまうことも。「フィルタリングしたからOKではありません。万能ではないのでどうしてもSNSを介して有害なものに触れてしまうことは絶対にあります」と鈴木さん。だからこそ大事になってくるのが家庭での教育です。「責任がとれない子どもには危険すぎる」「ショッキングな動画などを晒すことで閲覧回数やいいね! を稼ぎ、商売にしている人がいる」「我が家の方針として見せたくない」などを子どもにしっかり伝えましょう。
今回教えてくれたのは…鈴木朋子さん
鈴木 朋子 さん
ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザー
メーカー系SIerのシステムエンジニアを経て、フリーライターに転身。SNSなどスマートフォンを主軸にしたIT関連記事を多く手がける。デジタルカルチャーを追い続け、スマホネイティブと呼ばれる10代のIT文化に詳しい。子どもの安全なIT活用をサポートする「スマホ安全アドバイザー」としても活動中。著作は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)など、著書は監修を含め、20冊を超える。
「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ)、「スッキリ!」(日本テレビ)、「ゴゴスマ」(CBCテレビ)、「ビーバップ!ハイヒール」(ABCテレビ)、「マサカメTV」(NHK総合)、などテレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのメディアにも出演。
おすすめ書籍
「親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本」
子どもにはじめてスマホを買い与える人は必見!
「親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本」
スマホやタブレットを使う子どもが増え、子どもがインターネットの悪影響を受けないか、ネット犯罪の被害にあわないか心配する親が増えています。本書は子どもが安全にインターネットを利用するために、親はどうすればよいかを実例を交えて解説します。気軽に読めるやさしいページ構成で、子どもが安全にインターネットを使うための方法を考えます。
「親が知らない子どものスマホ」
「親が知らない子どものスマホ」
入学前にSNSでつながる中高生。心の内はLINEの「ステメ」に書く。今はLINEで行われる「不幸の手紙」。「自画撮り被害」に潜むネットの闇。Instagramが新たないじめの温床に? “エアドロ痴漢”にご用心! 入学直前、夏休み、文化祭……危ないのはいつ? トラブルの「兆し」を見逃さない! 学校生活“要注意”イベントカレンダー付き。10代のスマホライフを理解するための用語収録。
この春の進学や進級といった新生活スタートのタイミングや、誕生日などのお祝い事をきっかけに、子どもにスマホデビューさせる人は、必ず子どもが安全にかつ安心してスマホを使いこなせるよう、フィルタリングには万全を期したいものです。フィルタリングは親の義務! これを肝に銘じて、子どもたちが踏み入れるスマホの世界の地ならしをしてあげてください。