入院準備から手術、退院まで…平常心で治療生活を乗り切るために乳がんサバイバーくま子さんが実践したことは?

カルチャー

2021.08.15

くま子さんが「乳がん」と診断されたのは、2020年の夏の終わりのことでした。その宣告の2日後から始まった8回にも及ぶ抗がん剤治療は、副作用に苦しみながらも「子育ての日常は変わりませんよ」と、平常心で無事完走!その後は腫瘍を取り除くための手術に挑むことになりました。

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手術前検査でうっかり?!

チョコレートケーキ術前検査の前にチョコレートケーキでほっこり!ところがこの後に…!

ーー抗がん剤の治療では、ブログにも書かれている通りさまざまな副作用があったようですが、それも無事に乗り越えて、次は手術へ……という治療の流れになったんですね?

くま子:はい、抗がん剤治療のおかげで腫瘍が小さくなったことを画像で確認できたときには、ホッとしました。次のステップである手術に臨めるので。

ーー手術前にCTやマンモグラフィーで腫瘍の位置確認などの細かい術前検査をされましたが、その時にまさかの?(笑)

くま子:チョコケーキを検査前に食べてしまっていて(笑)検尿があると聞かされたときにドキッ!もちろん看護師さんに食べてしまったことは伝えましたが、これで検査が先送りになったらどうしよう……と心配になりました。血液検査や尿検査がある場合には、食事の制限の有無を確認すると安心ですね。

予定通りの部分切除に

手術前治療は信頼できる担当医のもと、順調な流れで「抗がん剤」「手術」「放射線治療」へと…
【写真提供:荒川明彦さん】

ーー乳がんの患者さんが一番不安に思われるのは、手術のことだと思うのですが、術前の検査で腫瘍が小さくなっていたこともあり、告知当初の予定通りの部分切除になったんですね。

くま子:発見が早ければ手術の規模を小さくできることに繋がると思います。明らかに手で触って確認できるという状態と、マンモやエコーで見つかる数ミリのサイズのものとでは、治療時の負担が異なってくると思うんですね。乳房の切除だけでなく、他の治療のこともあるので改めて検査の大切さを伝えたいです。

入院準備あれこれ

スリッポン入院準備で「探し回った」のは、かかとのあるタイプの室内履き。

ーーまず最初に取り掛かった入院準備は?

くま子:まずケジュールの確認ですね。娘の幼稚園のお弁当の日、お迎えの時間、それにゴミ出しの日程を、予定の入院日数より長めにカレンダーに書き込みました。お弁当は、夫の母にお願いしたんですが直前になって「お父さんに作ってもらいたい」と娘がリクエストして(笑)それ以外はハンバーグを作り置きしたくらいで「あとは頼んだよ!」と(笑)。

ーーなるほど(笑)予定通りにいかないこともあるので「あとは頼んだよ」という心持ちでいることは大切ですね。では、具体的に「これはよかった」というものは?

くま子:病院の指定でスリッパではなく「かかとのあるタイプの室内履き」という指定があって新しく買うことにしました。でも、入院以外では履かないと思ったので、安いものがいいなと思っていたら「しまむら」にちょうどいいスリッポンがあって、これはよかったなと思いました。あとは肌着を全てユニクロのコットンのもので新調しました。パジャマや洗面用具などは病院の基本セットでお願いすることにしたので、持ち込む必要もなく、当日の荷物も少なくて済みました。

自分目線での準備も大切

ーーでは「特にマストアイテムでは無いけど、これがあってよかったよ」という、くま子さん目線でのオススメ入院グッズは?

くま子:とにかく時間はありますが、wifi環境などは病院や病室によっても違うので、あまり期待せず……相部屋の場合はテレビもイヤホンが必要だったりするので、便利とは言えません。なので、私は本をひたすら読んでいました。あとは冬の入院生活ということもあり、火を使わないお灸を持ち込みました。シートパックもたくさん持ち込んで毎日朝晩使っていました。必要なものだけでなく、自分が気分よく過ごすためのものも、何かしらあると落ち着きます

入院から手術、退院まで…

虹手術の日は大雨の後に虹が!

 

ーー入院は5日間で最短だったそうですが、入院日はバレンタインデーで午前中はチョコレートを作ってから、ひとりでタクシーで入院したんですね。

くま子:娘と一緒に無印のハートの小さなケーキに飾りつけをして、ランチはピザをテイクアウトしました。その午後に入院したんですが、今思えばこの時にお風呂に入っておけばよかったな、と。

ーー直前まで「いつもどおり」の生活で、入院も「ひとりで」というのは、くま子さんらしいです(笑)。そして次の日の朝から手術が行われて、夕方にはもう歩く練習をされたんですね。

くま子:術後の夕方はトイレの時にナースコールをして見守ってはもらいますが、歩いていました。経過は順調で、次の日はもう心電図や点滴もはずれて動ける状態になりました。傷や術後の経過はとても良かったのですが、私がこの時に戦っていたのは便秘で(笑)お水を飲んではトイレまで歩く……を繰り返しました。無事に5日目の朝に退院して、帰宅後ゆっくりしようとも思いましたが、自分でチャーハンを作って家族と食べたりして(笑)自由に何かができる嬉しさとか「誰かのために何かをしてあげること」の喜びを感じました。

放射線治療スタート

タリーズカフェへの寄り道が治療中の励みに。
どんなときにも「いつもの私」を見失わないのがメンタルを整える秘訣!

ーー術後、2か月後くらいから放射線治療がスタートしましたね。こちらは手術をしたのとは別の病院でカフェによく行かれて(笑)ブログにはおいしそうな写真が見られます。

くま子:25回の放射線治療を近くの病院で受けることになりました。ウォーキングにちょうどいい距離で体力づくりになりました。そう、カフェに寄り道をしたり(笑)それが楽しみでもありましたね。副作用は身体がとにかくだるいときがあって、あとは放射線が当たるところの皮膚の変色も少しありましたが、抗がん剤ほどの辛さもありませんでした。ただ回数が25回と多いので、病院が遠いと少し大変かもしれませんね。ウチの場合は娘が小学校に入ったので、送り迎えが無くなったのが楽でしたね。

ーー1番初めの記事にも書きましたが「放射線治療は受付から会計まで20分」というのに驚きました。回数だけを聞くと負担に思いますが、所要時間の情報はあまりなくて、くま子さんのブログはいつも「欲しい情報に手が届く」内容が満載です。

くま子:放射線治療中は普通の生活をできていたので、心身共に元気を取り戻しつつある時期でした。ヨガに出会ってインストラクターを目指そうと決めたのもこの時期です。治療はこの放射線で終わって、あとは定期検査は夏までありません。病気になったことは辛いことでしたが、それまで気づかなかったことにたくさん気づけたし、これから先の生活、子育て、生き方に関しても「より充実させていきたい」という思いが強くなりました。

次回でこの連載も最終回。最後にお伺いするのは気になる「お金の話」です。検査や治療にかかる費用と保険の話など、こちらも病気と闘うための「乳がんのリアル」の大切な情報としてお伝えします。

くま子さんプロフィール

プロフィール出典:www.photo-ac.com

ショートヘア(ウィッグ!)が似合う、キュートな笑顔と真っすぐな瞳が印象的な1女のママ。
1980年生まれ 東京都出身 神奈川在住 2011年に結婚、2015年には長女を出産。
夫とともに鍼灸院を経営 趣味は朝ランニング、料理、食べる事。フットケアセラピスト、ネイリスト、食育アドバイザー、スポーツフードアドバイザーなどの資格を持つ傍ら、ヨガインストラクターになるべく現在勉強中!
がん治療のあれこれを綴ったブログには、子育て中のエピソードや家族の話題、大好きな「おいしいもの」の写真がずらりと並ぶ。

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著者

みやむらけいこ

みやむらけいこ

ライター歴20年。「あなたに逢いに行きます」取材ではなく出会い、インタビューではなく会話。わかりやすい言葉で丁寧に「ひと」を伝えます。好きなものは、サーフィンと歌舞伎、主食はチョコレート。#人生はチョコレート

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