ポイント1:筋と逆に包丁の入れる
まぐろの刺身を柵で購入すると、身に白い線が斜めに入っています。これを筋と言います。この筋があると口の中に入れた時に残ったりして、舌触りがよくありません。この筋をなるべく短くして切ると食べやすい刺身に仕上がります。
筋の方向に対して、包丁を直角に入れて切ることがポイントです。
ポイント2:筋の倒れている方向を見極める
まぐろの柵を横から見てみると、筋が直角に入っているのではなく、斜めに倒れて入っているのがわかります。この筋を包丁で逆撫でしながら切ってしまうと、包丁が筋に引っかかり、身がボロボロにさけてしまったり、身割れする原因になります。
刺身を切るときは、包丁を押しながら切るのではなく、引きながら切るため、この場合はこの方向で、上から下へと引きながら切るのが正解です。
この方向で切ると筋を逆撫でせず、身に負担もかけません。筋の倒れている方向を確認するときは、柵を横から観察してみてください。
そぎ造り
そぎ造りは包丁を斜めにしてそぐように切る方法です。断面を広くすることができ、刺身の食感を生かすことができます。
刺身を引くときは包丁の刃元から刃先にかけて刃渡りを長く使いましょう。1回で切ることで、食材を痛めず、キレイな断面に仕上がります。
さらに、包丁がまな板につく1、2mm直前になったら、最後だけ包丁を直角に立てて切ることによって、刺身に角がつき、きれいに見せることができます
※そぎ造りの場合、一番最初に切る角の部分は刺身や寿司ネタで使いにくいため、鉄火巻きやユッケなど叩いて使うといいでしょう。
平造り
平造りは、手前に刃を引いて切る、最もスタンダ-ドな刺身の切り方です。
平造りもそぎ造りと同様に、刃元から刃先にかけて刃渡りを長く使い、1回で切ることで食材を痛めず、キレイな断面に仕上がります。
平造りの場合は最初に包丁を少し左に倒した状態で1、2mmほど包丁を入れたあと、包丁をまっすぐに立てて一気に切ると、刺身の角が立って断面をきれいに見せることができます。
比べてみると一目瞭然!
右側が筋の倒れている方向を見極めないで切ったもの。身が割けてしまって、見栄えがよくありません。味は同じかもしれませんが、料理は五感で楽しむことが大事。美味しそうな見た目を演出するのも料理の大切な要素なのです。
今回はまぐろの刺身をキレイに切る方法をご紹介しました。まぐろの身にある白い筋をどう攻略するかが大きなポイントです。筋の方向、筋の傾きをよく観察してください。筋に対して垂直方向を意識し、筋が短くなるように切り、筋の傾きを逆撫でしない方向へ包丁を引きながら一気に切ってみましょう。
今回教えてくれたのは、岩野上幸生さん
岩野上 幸生(いわのうえ こうせい)さん
1985年生まれ。長崎県出身。18歳から料理の修行を始め、24歳で独立。現在は東京で飲食店を複数手がける人気料理人となり、企業コンサルティングや料理の技術指導なども手掛け、マルチに活躍中。YouTubeチャンネルの「飲食店独立学校 /こうせい校長」では、さまざまな料理のテクニック、役立つ情報を発信している。