「人に迷惑をかけるな」と言って子どもを育ててはいけないワケ #「ビリギャル」の著者に聞いた

家族・人間関係

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2021.10.18

子どもを育てる中で言いがちな言葉はたくさんありますが、中でも「人に迷惑をかけないように」と子どもに伝えている方はいないでしょうか? 「ビリギャル」の生みの親である坪田信貴さんに「子どものため」と思って使っているけれど、実は逆効果になっている言葉について、詳しく教えていただきました。

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教えてくれるのは……坪田信貴(つぼた・のぶたか)さん

坪田塾塾長。心理学を駆使した学習法により、これまでに1300人以上の子どもたちを「子別指導」、多くの生徒の偏差値を急激に上げてきた。著書はベストセラーとなった『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(KADOKAWA)のほか多数あり。

フィア・アピール(恐怖アピール)を知っていますか?

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「フィア・アピール」という言葉を知っていますか?
これは人に行動させたり、逆に行動を制限したりするのに有効な心理的手法のことをいいます。
例をあげてみます。こんな広告を目にしたことはありませんか?

「赤ちゃんの肌は非常にデリケートです。一般のスキンケア製品では大変なことになりますよ」
「あなたが事故にあって、もしもの事態に家族はどうなるでしょうか」
「今からしっかり貯蓄をしないと将来は大変なことになるかもしれません」

など、恐怖や不安を与え、消費行動につなげる手法です。
これは親が子どもに対して声かけをするときにも使ってしまいがちな手法です。

子どものワクワク感を引き出す声かけを

「子どもに対して、恐怖感を与えてやろう自己肯定感を下げてやろうと思っている親はどこにもいません。しかし、『英語くらい話せないとこれからの時代は活躍できないよ』など、ワクワク感をまったく与えられないフィア・アピールをしがちです。
そこで『英語が話せるようになったら世界中の人と友達になれるよ』と、声かけしてみたらどうでしょうか? リスクばかりを伝えるのではなく、その先の明るい未来を想像させるような言葉があれば、子どもたちの目はきっとキラキラと輝くと思います」

世の中にはびこるフィア・アピール。
つい自分も子育てで使ってしまっていることに気が付いた方もいるのではないでしょうか?

「人に迷惑をかけるな」。こんな無理難題を子どもに言っていませんか?

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他にも、子どもを育てる上で言いがちな言葉があります。それは「人に迷惑をかけるな」ということ。でもまずは考えて欲しいのです。私たち大人も、ここまでの人生で誰にも迷惑をかけずに生きてこられたでしょうか。例えばこんなことはなかったですか?

・ホームから線路にスマホを落とし、車掌さんに取ってもらったこと
・診察時間終了間際の病院で、無理を言って診てもらったこと
・搭乗時間を間違え、飛行機の離陸を遅らせてしまったこと

3つ目は少し大ごとなのでここまでの失敗はないかもしれませんが、誰しも社会生活を送るうえで迷惑というものはかけてしまうものです。坪田さんも「迷惑をかけないで生きる」ということは、「生きていない」のと同じだと思うといいます。

「生きていればいろいろな失敗をすることはあります。また、生活をしていればゴミも出すし、水も使います。二酸化炭素だって吐き出しているのです。他人に迷惑をかけるなんて当たり前。完全になくすなんて無理な話です」

なぜ子どもに「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけないのか

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「『人に迷惑をかけるな』と言ってしまいがちですが、人間誰しも周りの人に助けられながら生きています。それならば『人に迷惑をかけて助けてもらった分、誰かにお返しをしていこう』と考え方を教えるほうが健全です。
『人に迷惑をかけてはいけない』と思い込んでしまうと、いざというときに『人に助けを求められなくなる』ことがあります。相談できずに1人で苦しんだり、「迷惑な人」と 思われたくなくて失敗を隠蔽しようとしたり......。素直に相談すれば簡単に解決できたことが、大きな問題に発展してしまうこともあるのです」
人に迷惑をかけるのは、生きていれば当たり前。困ったときはお互いに助け合うということが自然とできる社会になれば素晴らしいことですね。

***

「早くしなさい」や「勉強しなさい」などどうしても親は子どものためにと思って言ってしまいますが、その言葉は本当に子どものためでしょうか? 本書にはなぜその言葉がいけないのか、その言葉の言い換え例が詳しく載っています。

最後に坪田さんは、親だって「不完全」なものでいい。もっと子どもを頼りましょうというメッセージもくれていますよ。子育てにちょっぴり疲れたお父さん、お母さんを勇気づけてくれる言葉がたくさん載っているので、ぜひ参考にしてみてください。

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