教えてくれたのは……鈴木 光代さん
創業50年ビルメンテナンス会社3代目。清掃に携わること28年。日本の技術を活かした製品を海外へ発信する324ecoブランドを展開。日本の伝統工芸品を海外へ紹介するRMYサイト運営。
なぜ年末に大掃除をするのか
掃除の文化の始まりは、なんと飛鳥時代と言われています。
元々、宮中の貴族層に広まっていたものが、平安時代に庶民にまで広まりました。この時期に、大掃除の起源である「煤(すす)払い」が宮中での大切な正月を迎えるための行事になったと言われています。
年末年始にまつわる各種の行事や慣習は「新年を司る年神様を迎える神聖な清めの行事」であり、「煤払い」の“払う”には、“一年で溜まった煤や埃を落とす=その年の厄や穢れを払う“という意味も持っています。そのため、いまでも神社仏閣では毎年、煤払い行事が行われているのです。
現代では大掃除は年末に行う人が多く、本来の時期などを改めて考える方は少ないかもしれませんね。
大掃除は「正月事始め(お正月に向けて準備を始める)」と言われている12月13日から始めるのが良いとされています。
12月13日は「鬼宿日」と言い、婚礼以外はすべて大吉とされています。“鬼が宿に居て、鬼に邪魔をされず何事をするにも良い吉日”なのです。
年末に大掃除をするメリット
大掃除は神事に由縁があり「けじめの一つ」と考えられています。また正月は「魂を更新する重要な時」とも考えられていました。
そのため、清めの意味合いもある大掃除で様々な穢れ(けがれ)や厄を落とし隅々まできれいにすると、普段のお掃除をした時よりもすっきり気持ちのよい、何か一区切りついた気分になります。
知らず知らずのうちに、大掃除に込められた意味合いを心が感じ、パワーチャージできているのではないでしょうか。
昔から、家族の食=命を支えるキッチン、健康を保持すると考えられている水回り(キッチン、浴室、トイレ)は特に大事とされています。
キッチンは「かまど神が宿る場所」とも言われており、キッチンが汚いと生命力が落ちやすく、その家の運も逃げてしまうとも考えられています。年に1回、お清めの意味を込めて念入りに掃除をして「良い運」を招き入れる準備をしましょう。
大掃除で、終わりよければすべてよし!の2021年に
皆さんはどのような一年を過ごしましたか?それぞれの2021年がどのような年であったとしても、心身ともにスッキリした状態で新年を迎えたいところです。
そのためには環境を変えるのが最も手っ取り早いのですが、大掃除となると気負ってしまい腰が重くなりますよね。普段のお掃除に加え、気になっていた箇所をプラスで少し掃除するだけでも、個人的には立派な「大掃除」だと思っています。
普段よりもキレイなおうちで新年を迎えられたら、それで良し。"終わりよければすべてよし"です。普段からお掃除のやる気スイッチが入らない方ほど、大掃除の慣習を利用して動き始めましょう!ゆとりのある年末年始を迎えるため、少しずつ進めていきたいものですね。