教えてくれたのは……川本徹医師
みなと芝クリニック・院長 川本徹先生。
2010 年みなと芝クリニック開院。消化器系をメインに内科から外科一般に加え、皮膚科、整形外科、肛門外科まで、幅広い診療を行なっている。日本外科学会認定医、日本消化器外科学会認定医、日本消化器病学会専門医。
コロナ禍の盲点
コロナ禍は手洗いやうがい、マスク着用が常識。
これらは花粉症対策にもなりますが「花粉症の患者数が劇的に減ったという印象はありません」と言う川本医師。むしろ、コロナ禍で花粉症の症状が悪化しているケースもあるそうです。
ストレスで花粉により過敏な状態に!
例えば、もともと顔周りがかゆくなりやすい人は、マスクを長時間着用することによって肌が過敏になり、いつもよりかゆみがひどくなってしまうことがあります。
また、精神的なストレスから、普段より過敏になり、さらに違うアレルギーの症状を発症する例まであるのだとか。そのほかにも、腸も過敏になってしまい、便秘や下痢などを訴える人も多いそうです。
環境の変化によるストレスが影響し、複数の悩みを並行して訴えるケースがコロナ禍の花粉症の特徴でもあります。自宅での時間が増えることで、飲酒や間食の量が増えたり、食事や睡眠の時間が不規則になるなどの行動パターンの変化も影響しているようです。
マスク着用で口呼吸に
「実はあらゆるアレルギーが発症する場所は、腸だということがわかっています」と川本医師。マスクをしているとき、息苦しさを感じて口呼吸になっていませんか?
口呼吸になっていると、アレルゲンがダイレクトに体内に入ってしまい、腸でリンパ球と反応してアレルギー反応を起してしまうそうです。
免疫バランスの乱れ
コロナ禍の影響で巣ごもりやテレワーク生活が続く中、不安になったり、ストレスを感じていまんか? なかなか眠れないという人もいるのではないでしょうか。そういった症状は子どもにも多く出ているそうです。
これらは、自律神経の乱れによるもので、このような状態が続くと、免疫システムのバランスが悪くなり、花粉症などのアレルギー症状も悪化してしまうとのこと。
いろんなことに制約があり、ストレスを抱えざるえない中、花粉症に対してどのように対策をしていったらいいのでしょうか。3つの対策をご紹介します。
おすすめの対策
ストレスマネジメント
「自律神経を整えることで花粉症などのアレルギーの症状は改善します」と川本医師。それにはまず生活習慣を整えることが重要です。家にこもりがちだと思ったら、意識的に体を動かしましょう。そして、できる範囲で人と会話をするなどのストレスマネジメントを心がけてみてください。
自律神経が整ってくると、睡眠の質もよくなるので免疫バランスも整ってくるそうです。
口から花粉を吸い込まない
アレルギーの元となる花粉を、なるべく吸い込まないようにすることが花粉症対策の基本です。換気の時も必ずマスクをしっかり着用し、なるべく口から吸い込まないよう鼻呼吸を意識しましょう。
また、花粉症対策は症状が出てからではなく、早くから取り組みましょう。食事管理、睡眠、運動といった年間を通じて行うことに加え、症状を抑えるために、早めに薬を飲み始めるなどの対策を併用しましょう。
腸を整える食事を!
アレルギーの原因は腸内で作られるため、腸内環境を整える食事を心がけることは、花粉症対策として重要なんだとか。腸に良い働きをする菌(プロバイオティクス)をヨーグルトなどの発酵食品でとり、それらの働きを助ける食品も一緒にとるように心がけましょう。水溶性食物繊維の多いオクラ、山芋、海藻、ごぼうや、善玉菌を増やす作用のあるフラクトオリゴ糖が含まれる新玉ねぎ、トマト、バナナなどがおすすめです。
今年は例年より花粉の飛散が多く、これまで以上に徹底した花粉症対策がマスト。手洗いやマスクは継続しつつ、まずは、食事を見直してみましょう。そして、適度な運動や、人とのコミュニケーションを意識的に増やして、コロナ禍で抱えがちなストレスをためないようにすることも花粉症対策になるそうです。ぜひ実践してみてくださいね。