子どもがニュースに興味津々。このまま見続けさせて大丈夫?
緊迫した様子や見慣れない映像に、釘付けになる子も多いかと思います。
子どもへの影響を心配して、テレビを消したり、関連ニュースを規制するべきなのか、迷うかもしれませんが、現在はSNSを始めとした様々なツールから情報を得られてしまうので、制限することにあまり効果はありません。興味や欲求を抑えられると、余計に関心が強くなったり、知りたいという欲求にこだわりがでてきます。
時間を区切る・テーマを設定して話し合う時間を設ける・図書館に行き一緒に調べるなど、子どもが報道と適切に向き合うためのサポートをできるとよいでしょう。
逆に、ニュースへの恐怖心から、不安気な様子で親や人形にしがみつく・悪夢を見る・おねしょ・イライラする・頭痛や腹痛などの身体症状がある場合は報道から距離を取ってあげる必要があります。報道番組をつけることをやめ、日常の当たり前をこなしていくことが大切になってきます。
夕食後はお気に入りのアニメを見たり、美味しいおやつを家族で食べる、公園で体を動かすなど、日常のルーティンや家族との温かい関わりが支えになります。
子どもの日常と報道の上手な距離の取り方
・何に興味があるのかを聞く
世界で起きていることについて知りたいと思う気持ちを尊重し、事実に基づいた情報を共有することが大切です。
家族の中で質問を共有するタイム、一緒に考えるタイム、わからないことを調査するタイムを作るのも有効だと思います。わからないことは一緒に調べながら、年齢に合わせた、子どもにわかる言葉で説明をしていくことがポイントです。
偏った意見や個人的な解釈、SNSで流される噂に惑わされず、色んな情報源から適切に学ぶ方法を教えることにもなります。
・不安や怖さなどの気持ちを受け止める
普段とは異なる状況への動揺も含めて、子どもの気持ちを聴き、不安を受け止める関わりも重要です。「戸惑う気持ちはママ(パパ)も一緒だよ」、「心配に思うのは当然だよね」という声かけが安心に繋がります。
先行きの見えない将来への不安が強い子どもに対しては、今起きている社会の問題は大人が解決すべき問題であり、責任や罪悪感を感じる必要はないことを伝えてもよいと思います。
・具体的で詳細な情報だけでなく、視野を広げて考える
破壊された建物の映像や、被害を受けた方のインタビューなど、衝撃的な映像や、感情的な内容を多く含むニュースは、共感的になり、心を揺さぶられやすいものです。
現実に起きている状況や個々のエピソードを知ることも大切ですが、抽象度を上げて、世界史そのものを学び、センシティブなニュースから距離を置いて考えることも必要です。
どんな歴史的背景があったのか、各国の特徴、世界との繋がり、思想や意見の相違など、現状から学べることはたくさんあるはずです。
・助けたいと思う気持ちを尊重する
何もできないことがもどかしい、自分にできることをしたいと思う子に対しては、思いやりを形にするお手伝いをすることも大切な関わりになります。平和を呼びかける絵を描くなど、気持ちの表現を提案するのもいいかもしれません。
もやもやした気持ちを形にすることが、安心に繋がります。
当たり前の生活を守っていくことが大切
いま世界では、大人であっても、子どもであっても、不安に思って当然の出来事が起きています。
心を揺さぶられやすい日常だからこそ、今ある当たり前に気づき、大切に振り返ることができると思います。周囲の大人が「大丈夫だよ」と声を掛け、傍にしっかりと立っていることが、子どもにとって何よりの支えになります。
無理のない範囲で、子どもとニュースの間の架け橋になれるとよいですよね。
参考文献
「災害と子どもの心」 (2012)清水將之、柳田邦男、田中究(著) 集英社
「災害時のメンタルヘルス」(2016)酒井明夫(著) 医学書院