「いつも私ばかり」と思いがちな家事。心の負担を軽くするために今日からできること

家族・人間関係

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2022.03.22

臨床心理士・公認心理師のyukoです。家事の分担、育児の協働といわれますが、お互いに不平不満のない日々はなかなか難しい‥。共働きが当たり前になった世の中で、家事・育児・仕事というハードワークを、息つく間もなく乗り切っている方は多いですよね。外のことと、内のことをこなすのは、「当然のこと」ではありません。どんな風に気持ちを切り替えていくか、心の負担が減るかを考えていきます。

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もくじ

「できる方がやればいい」「できるだけ協力するからさ」
パートナーはもどかしい気持ちを抱えているかも
心の負担を減らすために、今日から変えられる小さなルーティン3つ
怒ったときに責めるのではなく、嬉しく感じた行動を肯定する
1日30分、1人の時間を作る
家計簿に「心の充電費用」を必要経費として組み込む。
「どうにもならない」から「なんとかなるか」へ

「できる方がやればいい」「できるだけ協力するからさ」

もっともな言葉のように思いますが、結局、できてしまう側が負担を感じ、「そもそも同等に働いているのになんで私ばかり?」と不満に思うこともありますよね。
仕事が早く終わる側が家事を担うのは、「一般的」「当然」と思われがちですが、家に帰って家事をこなす側は、当然残業代がつきません。

また、男性の育休取得が社会で話題になっていますが、厚生労働省の調査によると、男性の平均は5日から2週間、女性は8か月から12か月です。女性の育休が明けても、引き続き母親の育児負担が大きいという声もよく聞きます。
「育児をするのは言うまでもなく女性」という考えから、「男性が育児に参加する」という社会に変化してきたものの、「参加する」「協力する」という言葉が使用されること自体、女性が主体であることには変わりありません。

家事につかれる女性出典:www.photo-ac.com

パートナーはもどかしい気持ちを抱えているかも

家事や育児を主体的に担う側の不満がある一方、「サポートすることしかできない辛さ」も耳にすることが増えました。
本心から協働したいと考えていても、「参加する」「協力する」としか言えず、もどかしい気持ちを抱える方も多くなってきていると感じます。

飲み会を断ることで皮肉や嫌味を言われたり、残業や出張・転勤を避ける選択で出世コースから外れるという人事形態が、いまだに一部で残っているのも、現代の社会です。

会社ではサービス残業、上司との付き合い、空気を読んだ立ち居振る舞いなど、自分の立場に求められる暗黙ルールのをこなし、家に帰ると「普通は、他の人はもっとやっている」とパートナーから言われてしまう。息つく暇もないという感覚は、外で長時間働いている側も同じように感じているものなのかもしれません。

気を遣う、謝る男性出典:www.photo-ac.com

選択の幅が広がったからこそ、自分が選ばなかった選択をした人を羨ましく感じたり、「自分が決めたことなんだから」と責任を感じ、諦めてしまうこともあるかと思います。
そのような中で大切なのは、現状を前向きに諦め、パートナーに対する不満をどう減らしていくか、自分の気持ちをどう労わっていくか、コツをつかんでいくことだと思います。

心の負担を減らすために、今日から変えられる小さなルーティン3つ

怒ったときに責めるのではなく、嬉しく感じた行動を肯定する

例えばパートナーの帰宅が遅いときに責めてしまうと、相手は「帰ると怒られるからいやだな」「また文句を言われてしまう」と思い、早く帰らなかったり、連絡をしないなど、正反対の行動を取ってしまいます。
連絡が早めにきたとき、早く帰ってきたとき、手土産を買ってきてくれたときに、率直に喜ぶことが、よい行動の強化に繋がります。
また、手伝ってくれたときに「珍しい、雨でも降りそう」という皮肉を伝えるのでなく、率直に「ありがとう、助かった」と伝えた方が、まっすぐに気持ちが伝わり、望ましい行動を持続させやすくなります。

花をもらい喜ぶ女性出典:unsplash.com

1日30分、1人の時間を作る

小さな子どもがいたり共働きをしていると、朝起きてから寝るまで、ほっと息をついて、1日を振り返る暇なんてないという方も多いと思います。
ただ、1日20分や30分だけでも1人の時間を設け、好きなものに触れたり、自分を振り返る時間を作ることで、毎日のモチベーションがすごく変わってきます。
1人でコンビニに行く時間、リビングから離れて話しかけないでもらう時間、スマホを手放して読書や半身浴などをする時間など、1日30分、1人の時間を作ることで、感じるストレスに変化があると思います。

時計出典:unsplash.com

「あったらいいなと思う時間」ではなく、「なくてはいけない時間」として、1人の時間を大切にしていけるといいですよね。日々、誰かのために働いているからこそ、他でもない自分のための時間を設け、自分自身を大切にする必要があるのだと思います。

家計簿に「心の充電費用」を必要経費として組み込む。

家の財布を管理し、家計のことを思っているからこそ、できる限りの出費を抑え、自分のためのお金は後回しにしている方も多いかと思います。
ただ、ストレスが少しずつ蓄積されていくと、お惣菜や外食の日々が続いたり、セールで勢いよく買ってしまったり、ネットショッピングでなくてもいいものを買ってしまったりと、「不本意な出費」が増えることもありますよね。
ストレスがたまる前に、週に1度のカフェ代や、お気に入りのパン屋代、月に1度のマッサージ代など「心の充電費用」を必要経費に加えておくことで、上手なガス抜きができるようになります。

パン屋出典:unsplash.com

「どうにもならない」から「なんとかなるか」へ

  パートナーの働き方が一変することや、生活が一気によくなることを望んでも、現状は少しずつしか変わりません。
「今は仕方ない」「どうにもならない」と思い、我慢するのも大切な力ですが、心のガスを上手く抜いて、上機嫌な日々を過ごすことも、幸せな生活にとって必要なスキルです。パートナーとのコミュニケーションを変えてみたり、一息つく余裕をもつことで、「どうにもならない」から、「なんとかなるか」に切り替えられるといいですよね。

靴 向かい合わせ出典:unsplash.com

参考文献:
「夫婦・カップルのためのアサーション:自分もパートナーも大切にする自己表現」(2015)野未武義(著) 金子書房
「アサーション入門―自分も相手も大切にする自己表現法」(2012)平木典子(著) 講談社

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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