「毎日『やること』に追われるようにして過ぎてしまう」ここ数年、ぼくはずっとそう思って生きていました。
「時間が足りないんだよ」なんて自嘲気味に思うこともありますが、自分の体力や集中力を鑑みてみると1日が30時間になったところで生産性が上がるわけでもない。
増えた時間をすべて充実して過ごせるなんて希望的観測を妄想する程度だから、いまある24時間すらうまく使えないのです。
よく時間はコップに例えられます。
お金持ちだろうと、貧乏だろうと、日本人だろうとどの国に住んでいようと、1日24時間というコップの大きさはみんな同じです。違うのは、このコップの中に何を入れているのかです。
「増やさない」という習慣
ぼくは「お片付けBootCamp!」というオンラインコミュニティ型の片付けサポートを行っています。そこでは、毎日毎日120名ものメンバーが片付けに励んでいます。
メンバーはただガムシャラに片付けをがんばるのではなく、簡単な片付けのルールを意識しながら進めていきます。
片付けを習慣化させることが目的のサポートなので、そのために必要なことをちゃんと日常生活の中に取り入れていくようにしています。
その片付け習慣を身につけるためのルールとは、まずは「増やさない」ことです。
片付けをしていると、すぐに収納アイテムが欲しくなってしまいます。
インスタを見れば「あのグッズ素敵だから真似したい!」と思い、ネットを見れば「洗面室は浮かす収納がベスト!」なんて記事に出会ったりします。
それらは全部、誘惑です。
その誘惑に負けて「収納アイテムが足りないから」と100均一に行ったり、憧れのグッズを買ってしまっては片付けは進みません。
部分的に、キレイに整った風になることもあるかもしれませんが、実際は使いやすくもなっておらず、すぐにリバウンドしてしまうものです。
また、自分がどれだけ普段の生活の中で無意識に物を増やしてしまっているかに自覚的になることも大切です。買い物をすれば、買ったはずの商品だけに限らず、袋やレシート、ポイントカードや割引き券など細々と物が増えているのです。
それらを自覚するだけで、無尽蔵に増えていく物を防ぐことができる。
とにかく「増やさない」ということが片付いた生活を送るためのデフォルトOSとなるのです。
これは片付けだけの話ではありません。
1日の生活、今後の人生の過ごし方についても同じです。
とくに40代以降。無尽蔵に時間というコップの中にやりたいことを詰め込んでいくことはできません。
1日のコップはみんな同じ大きさですが、人生というコップのサイズはみんな違います。そして年齢を重ねるごとに、そのコップに注げる量は少なくなっていくのです。
だから、あれもこれも、何もかも全部を放り込んでいくと、結局何もできないままコップの要領だけが減っていってしまう。
作家の内田樹 氏は学生に向けて「君たちにはほとんど無限の可能性がある。でも、可能性はそれほど無限ではない」と言います。
これは、若者に限らずぼくたち世代にも通じるのではないでしょうか。
いくつになっても、どんなことでもチャレンジできる。だけど、ぼくたちに与えられた可能性に対して、そもそもの可能性というのはそこまで無限ではないのです。
やらないことリスト
「何もかもやろうとしない」というのは、これからの人生における大切な作法だと思います。
でも、じつはすでにぼくたちの日々のコップはもう溢れそうなほどいっぱいなのです。
コップの中に本当に自分が大切にしたいことを入れていくなら。
コップの中身を整理し、不要なものは無くさなければなりません。
それが「やらないことリスト」です。
ぼくはとくに、自分が時間を浪費してしまっている悪い習慣を書き出しました。
- 作業中はスマホをオフにする
- カフェインを取りすぎない
- 昼食は軽食程度で、食べすぎない
- 1時間以上座りっぱなしで作業しない
他にも、仕事の取捨選択に関わることや、趣味や自由時間の使い方に関することなど。
- 水曜日は働かない
- 休みの日はメールを返さない
なんてのも「やらないことリスト」に入れてあります。
ただでさえ「やること」で目一杯なコップにさらに「やりたいこと」を継ぎ足すのは現実的ではありません。まずは「やらないこと」で、コップの要領を開ける。
それから、やりたいことを少しずつ注いでいくようにしなければ、やりたくてもやれないことが、ただ溢れ出してしまうだけになってしまいます。