「子どもにお金をかけられないのはかわいそう」
今回のご相談者は、「子どもにお金をかけられないのはかわいそう」と悩んでいるご様子です。相談内容を見てみましょう。
わが家は40代後半の夫婦です。小学校高学年と中学生の子どもがいますが、上の子は中学受験をして、私立中学校に通っています。下の子も中学受験をする予定で、現在塾に通っています。
わが家は共働きで、毎月の給料だけでなく、ボーナスや臨時収入があることもあり、収入が少ないわけではありません。ですので子ども2人を私立中学に入学させても、困窮してしまうわけではないと思います。
だからといって余裕があるわけではなく、生活費と子ども2人の塾の費用や学費を支払うと、きれいさっぱりお金が無くなってしまい、貯蓄という貯蓄はほとんどありません。
本当のところで言えば、もう少し節約して貯金をした方がいいのではないかと思うのですが、子どもの費用を削るという考えにはどうしても抵抗があり、子どもにお金をかけられないことをかわいそうと感じてしまいます。
私立中学なので、子どももこれから留学なども希望しており、心の中では費用の面で心配している部分もあるのですが、やはり子どもがやりたいということはできるだけ全部やらせてあげたいという考えが抜けません。
子どもがやりたいということをやらせてあげられると、親としての役目をしっかり果たした気分になり満足できる反面、このまま貯蓄がない状況を続けていいのか悩みます。
「子どもにお金をかけられないのはかわいそう」と感じてしまう時
結論からお伝えすれば、子どもの教育にお金をかけられないからといって「かわいそう」と思う必要はないのですが、投稿者さんは「どうしてもそう考えてしまう」ということで悩んでいるようです。
ここでは「子どもにできるだけお金をかける」という視点で対策を考えてみましょう。
1 子どもの教育費は重要な支出
大切なお子さんの教育に関わる支出ですから、できる限り出してあげたいと思うのは自然なことです。
現状では、塾など中学受験のための費用に、私立中学の学費、留学まで計画されていても赤字になっていないということですから、おそらく今後も大きく赤字になることは少ないのではないでしょうか。
留学などで一時的に支出が増えることも考えられますが、今と同じくらいの支出の範囲で収まれば大きな問題にまでは発展しない可能性があります。
「これから中学受験を考えている」というご家庭では、中学受験をすることで家計状況が大きく悪化してしまう場合もありますが、投稿者さんは、ほぼ私立中学校と変わらない中学受験の塾の費用を払いながら、上のお子さんを私立中学校に通わせているということですから、事情が異なります。
「子どもの教育に今後しっかりお金をかけたい」というご希望をお持ちならば、「教育費を節約しよう」と考えるよりも「今の収入を維持」または「今以上の収入を得る手段がないか」を考える方が向いているともいえるでしょう。
2 大きな出費と老後など将来の計画も合わせて立てよう
貯蓄のない状況を続けるのは不安なことと思いますが、老後など将来の計画が立てられていれば、それほど貯蓄が必要ない場合もあります。
所有している財産を処分した場合にどれだけの資金になるか、年金でどれくらいの収入があるか、老後にどれくらいの費用が必要か、老後も働ける職場の環境が整っているか、万が一働けなくなった場合の保険などへの加入が充分かなどを確認し、貯蓄とのバランスを計画しましょう。
「成人式の費用」など、お子さんが成長するに従い必要になる大きな支出なども予測しておくと、より安心した資金計画を立てることができます。
3 それでも限界はある
上記のように、将来まで含めて検討した上で、貯蓄はそれほど必要ないという判断であれば、お子さんの教育にどこまで力をいれられるのか具体的にすることができます。
投稿者さんは「子どもにお金をかけないのはかわいそう」と考えてしまう癖が抜けないということですが、それでも親が子にしてあげられることには限界があります。
私立中学校に進学することや、留学をすることなどは、できる範囲のこと、またはすこし背伸びをするだけで届きそうな範囲だからこそ「やってあげたい」と思うのです。これがどう頑張っても手が届かない範囲のことになれば、自然にあきらめがつくはずです。
収入が高い分、投稿者のママには手をのばせば届きそうと感じる範囲が、少し広いというだけにすぎません。
その範囲を少しだけ狭めて貯蓄もしつつ教育にも力を入れるのか、貯蓄は一切せずに教育だけに力を入れるのかは、考え方次第になります。
子どもを優先しすぎて、将来の自分の生活をないがしろにすることにならない範囲で選択していくことができれば、不安になることも少なくなるでしょう。
子育ての満足度をお金で計らないために
お金をかけて子どもを教育することが子育ての満足度の尺度になってしまうと、どこまでも青天井になってしまいます。
子ども自身にも、「親ができる範囲はここまでだから、これ以上のことは自分で何とかしなければ」という知恵を身につけてもらう必要があります。
貯蓄が少ないことで不安に思うのであれば、将来までの計画をしっかり立て、バランスを考えた選択をしていきましょう。