教えてくれたのは……立花佳代さん
単身で飛び込んだインドで、出会ったアクセサリーに惚れ込み、日本にその唯一無二の技術を届けたいという一心で株式会社スプリングを起業。最新著書に『やりたいこと、全部やりたい。』がある。
『やりたいこと、全部やりたい。』(アスコム)
著者:立花佳代
価格:1,430円(税込)
目の前のものを楽しむことが大切
立花さんは、必ずしも「自分の好きなことにこだわらなくてもいい」といいます。というのも、立花さん自身もファッション自体に元から興味はあったとはいえ、そこまで熱烈に好きというわけではなかったんだとか。実際に仕事をしていくうちに、やってみたいことが増えて、さらに仕事が楽しくなってきたんだそう。
そのような経験からも言えるのは、好きなことを見つけてから何かを始めることより、「今やっていることや、目の前にあること」の中から好きなことを探してみると、思いのほか楽しいことが見つかるかもしれないと立花さんは言います。
恋愛や仕事も似ていて、始めはそこまで好きでなくてもどんどん魅力にはまって、好きな気持ちが高まっていくことは珍しくありません。無理に好きなことを探すより、目の前にあるものを楽しめた方が、きっと人生だって楽しめるはずです。
「やりたいこと」が「やるべきこと」にならないように、初心に戻る
忙しい毎日を過ごしていると、やるべきことが優先されてしまい、やりたいことを忘れてしまうこともあります。「そんなときは過去を振り返り、原点に戻るとやりたいことが明確になる」と、立花さんは言います。
振り返るといっても、過去の失敗の原因を追求しくよくよと悔やむわけではありません。自分が過去にやってきたことを、ときに振り返って「なんでこの仕事を始めたのか」という原点を思い返すことが大切。そうすると、また新しい道が見えて、わくわくした気持ちが戻ってくるはずです。忙しくしているときこそ怠ってしまいがちですが、この原点を忘れずいつでも初心に戻れることがとても大切です。
「やめる」ことは失うことではなく「自由」になること
「目の前の仕事を楽しむことが大切」だと言う立花さんですが、がむしゃらに目の前の仕事に打ち込むことを勧めているわけではありません。
むしろ「どうしても合わない」と感じるような仕事はやめてしまっていいと言います。数多くのそうした経験の中でも、強く記憶に残ってるという、起業して数年のまだ駆け出しだったころの出来事が著書の中で紹介されています。
取引先の大手企業担当者から、立花さんの大切な社員がひどいいじめを受けていたことを理由に、なんと大手企業との契約を自分から断ってしまったんだそう。当時、売上の多くを占めていた大切な契約だったそうですが、その決断をしたことで新しい取引先との出会いがあったと振り返っています。
この経験から、何かをやめることは、決して失うことではなく自由になることであり、心から正しいと思える選択であれば、結果的に捨てたとしても、同等のものが後からやってくると立花さんは言います。
やめる決断はときに大変かもしれませんが、自分の信じるものでなければ勇気を出してやめるべきときが人生にはあるのです。それもまた、やりたいことをやり続けるためには大切なことだと後に気付くはずです。