「自分から声をかけてみたら?」ではダメだった。友達のいない子どもに親ができること

家族・人間関係

2022.06.28

臨床心理士・公認心理師のyukoです。新学期が始まり、学校に馴染めてきた子もいれば、上手く馴染めず困っている子も多いのではないでしょうか。勉強や運動と一緒で、友達との付き合い方にも得意・苦手はあります。友達作りに悩む子について考えていきます。

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もくじ

友達作りの難しさ
仲間に入ろうとしない
輪に入る方法がわからない
仲間から避けられる
友達を上手く作れない子への対応
上手くいかないを背景を探る
同年代と関わる機会を作る
一歩離れて見守る
笑顔の時間を増やしていく

友達作りの難しさ

大人になっても、人との関係を良好に維持するのは難しいですよね。
ママ友トラブルや職場での人間関係など、コミュニケーションの悩みは尽きません。

子どもの世界でも、友達が作れない、関係を維持できない理由は様々。
どうして友達作りが上手くいかないのでしょうか。

仲間に入ろうとしない

「仲間に入ろうとしない子」は、一見、一人遊びが好きで人と関わりたくないようにも見えます。
大人(親や先生)と離れるのが不安、体力や気力が不足している、友達に傷つけられた経験がある、などの要因もあるかもしれません。

子ども 一人出典:www.photo-ac.com

仲間に入るためのフォローが得られないと、「友達なんかいなくてもいい、必要ない」という考えが膨らんでいくことも。

友達をちらっと見ていたり、友達の輪を気にかけている子には、「友達と楽しく遊ぶ経験」をさせてあげるのが大切です。

輪に入る方法がわからない

友達から声をかけられたときに、行動を起こす勇気が出ずもじもじしてしまう。
どうやって答えてよいか、迷っている間に友達が離れていってしまう。

仲間に「入りたくても入れない子」もいます。

1人で遊ぶ子出典:www.photo-ac.com

子どもは、自分のアプローチに対して、積極的に反応してくれる子を好む傾向があります。
また、積極的にアプローチできる子は、相手からもアプローチされやすくなるんです。
アプローチをする・されるの成功体験が重なると、友達との関わりが好きになり、さらに積極性が増していくもの。

一方、その循環に入り損ねると、取り残されてしまう子もでてきますよね。

親や先生とロールプレイをしたり、ままごとの中で練習をして、実践につなげられるとよいでしょう。

仲間から避けられる

友達への関心はあるし、自分から話しかけられても、避けられてしまう子もいます。

悪気はなくても人の嫌がることを口にする。
昨日と今日で違うことを言う。約束を守らない、秘密をばらす、悪口を言う。
デメリットの大きい行動をしてしまうのが原因になりえます。

自分勝手な行動が多かったり、なんでも「自分が一番」の子も友達が作りにくいです。

ケンカする子ども出典:stock.adobe.com

周囲の大人が、「相手を傷つけない方法」や「されて嫌なこと」をしっかりと伝えていく必要があります。

友達を上手く作れない子への対応

上手くいかないを背景を探る

「友達がいない」=「いじめられているか、コミュ障」で終わらせてしまうと、解決には繋がりません。
どの段階でつまずいているのかによって介入の仕方は異なるので、”1人でいる理由”を見極め、個別に対応を考えるのが必要。

友人を作るのが難しいのか、維持するのが難しいのか。
話しかけられる機会はあるのか、少ないのか。

本人の話に耳を傾けるのはもちろん、担任や習い事の先生、祖父母など、周囲の大人から見た本人も参考にしながら、理解していくのが大切です。

同年代と関わる機会を作る

学校で友人がいないみたい、友達とクラスが離れてしまってから寂しそう、家に帰ってもゲームばかり。

そんな子に対して「頑張って話しかけておいで!」、「自分からいかないと!」、と声をかける人は多いです。
ただ、子どもは、「それが難しいから困っている」んです。

習い事の機会を設ける、ママ友の友達と遊ぶ機会を作る、同年齢のいとこと繋げる。

親子出典:stock.adobe.com

本人だけで現状を変えるのが難しそうな子には、一歩踏み出せる機会を作ってあげるのも大切です。
親や兄弟が繋いでくれた場所や人の中でトライしてみて、徐々に1人で歩けるようになっていきます。

一歩離れて見守る

誰かと仲良くなれそうな兆しが見えてきたら、一歩ひいて見守る関わりが大切です。
今まで家で過ごす時間が多かった子は、友人との時間をどのように増やしていけばいいのかわからないときも。

ですが、得たチャンスは逃さないよう、外の世界に背中を押してみてください。

笑顔の時間を増やしていく

友人関係が苦手でも、1人で生きていく術を身に着けている方はいるし、大人になってから力や機会を見つけていく人も多いです。
”1人でいたい”と思う本人の意志を尊重するのもひとつかもしれません。

ただ、自分ではどうすることもできず固まっている子に対しては、周囲がサポートしていくのも大切です。

親子出典:stock.adobe.com

家でも外でも両方、笑顔でいられる時間を増やしていけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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