教えてくれたのは……抗菌博士 梶浦義浩さん
1985年、株式会社シナネンゼオミックに入社。以来抗菌剤「ゼオミック」の研究・開発に従事。現在は同社プロジェクト担当として、市場開拓も担当。抗菌試験管理士、臭気判定士の資格も有する。コロナ禍で抗菌博士として講師を務める。
使った後のまな板、食器用洗剤で洗うだけで大丈夫?
まな板を食器用洗剤で洗うことで、表面についた菌類(細菌、酵母、カビ)の除菌効果があります。
まな板についた傷の中までは除菌することが出来ませんが、食中毒などは一定数以上の菌がいないと発生しません。
まな板を丁寧に洗い、乾燥した状態で使うのであれば大丈夫です。
※洗剤に含まれる界面活性剤は抗菌作用(表面に菌がつかなくなる)が期待出来る成分を含むものもありますが、あくまで除菌(表面から菌を取り除く)効果と考えるようにしましょう。
熱湯消毒の抗菌効果は?
まな板に熱湯をかけると、菌が無くなるイメージがありますよね。
実は、除菌効果はありますが菌が完全に無くなるわけではないんです。より高い殺菌効果を得るためには熱湯中で数分間の煮沸をすることが大切です。
一度の煮沸で殺菌できない「芽胞菌」にはご注意を!
菌の中には一度の煮沸で完璧に殺菌することが出来ない「芽胞菌」という菌があります。
この菌は環境が悪くなると芽胞を作り、環境が良好になった時に芽胞(膜のようなもの)を割って増殖し食中毒を引き起こすので注意が必要です。
加熱食材と生食用食材でまな板の使い分けを!
肉や魚(=加熱食材)は菌の栄養源として理想的な食べ物ですが、まな板で切ったあと調理時に加熱殺菌されるため食材が腐敗などしていない限り食中毒などの心配はありません。
ただし、加熱工程がない生食用食材(サラダ用の野菜など)をと加熱食材と同じまな板を使うと、生食用食材に菌が移り増えてしまいます。
その菌が付着している生食用食材を食べてしまうと、食中毒などを引き起こす事もあるので同じまな板を使わないようにしましょう。
これが、まな板の抗菌対策完全版!
理想のまな板のお手入れ方法は……
- 使用後のまな板は必ず食器用洗剤で洗う。
- 塩素系漂白剤などで殺菌処理を行う。
- 表面を乾燥させる。
- 落下菌がかからないように、食器棚などで保管する。
普段から気をつけたい、まな板のお手入れポイント!
理想のお手入れといっても、日々の生活でまな板を使う度に殺菌処理を行うのは大変ですよね。
日常では「洗剤で洗った後にしっかり乾燥させてから保管する」ことを心掛けましょう。
せっかく綺麗に洗っても水に濡れた状態では菌が付着しやすく、増えてしまうリスクが高くなるからです。
まな板を乾燥させる方法はこちら!
- 洗ったまな板を乾いた清潔な布巾で水分を拭き取り、風通しの良い場所で十分乾かす。
- 日光に当てて紫外線による消毒も効果的。
- 食器洗浄乾燥機は熱風によって乾かすのでオススメ。
使用前にはまな板を洗うのがベスト
保管している間に、空気中に漂う菌が落ちてくる事(落下菌)もあるので使う前はまな板を洗うことを心掛けましょう。
※食器棚に保管するなど、保管方法によっては洗う必要がない場合もあります。
購入する時は、抗菌加工のまな板をチョイス!
抗菌加工のまな板は、菌による被害を少しでも小さくすることが出来ます。まな板を購入する時は抗菌加工してあるものを選ぶようにしましょう。