教えてくれたのは……原邦雄さん
コンサルタント、一般財団法人の代表として、企業の職場環境を改善するための研修や、小中学生への講演、学習塾の教員への研修などを行っており、アメリカ、インド、中国、オーストラリア、シンガポールなど世界18ヵ国で自身が開発した教育メソッド「ほめ育」を伝える活動を展開している。
『ほめコミュニケーション』
著者:原邦雄
定価:1,540円(税込)
「自信を持てない自分」の存在が人間関係の悪化を招く
職場やママ友など、人間関係で悩んでいる方は多いのではないでしょうか。うまくいかなかった日の夜に、ため息まじりに「自分ってダメだな」など、過去の自分をダメだと考えていませんか?
過去の自分をダメだと決めつけてしまうと、結果的に未来の自分を「ダメな自分」として継承することになる、と原さんはおっしゃいます。
この「自信を持てない自分」の存在こそが、他人を受けいれられなかったり、人の行動や発言を許せなかったりすることにつながり、人間関係の悪化を招いているのだそうです。
未来の自分を信じる力をつけよう
人間は、昨日から今日へ毎日タスキをつないでいます。だから、マイナスな言葉、感情を癒さずに明日を迎えることは、自信喪失のマイナススパイラルにつながりかねません。
「どんな過去であっても、どんな職場であっても、一生懸命生きている自分を否定してはいけません。むしろ誇りに思うべきです」と原さん。
イヤな記憶を良い記憶に上書きするために、過去の自分を「ほめる」ことが重要とのこと。自尊心を満たすことで、明日への活力につながります。
そこで前向きな言葉を自分自身にかける「自分ほめ瞑想」をご紹介していきます。
ステップ1 今日の1日を10分で振り返ろう
最近のスマートフォンのカメラ機能の中にある「タイムラプス」を使って撮影すると、写真を連続してつなげ合わせた早送り動画のような映像になりますよね。
まさにタイムラプスのように、寝る前に頭の中で今日1日の出来事を10分程度で思い出してみましょう。朝起きてから寝るまですべてのことを洗いざらい再生させてみてください。職場の上司のことやメッセージをやりとりした友人のこと、楽しいことも、いやなことも、些細なことも振り返ります。
人によってさまざまなシチュエーションや出来事がありますが、あなたにとっての「今日1日の振り返り」をしてみましょう。原さんは「必ず自分で自分を褒められるポイントが存在します」と言います。
ステップ2 ほめポイントを見つける
次に、振り返った中で自分のほめポイントを見つけます。
ほめるポイントを探す時には「今日のMVPは何ですか?」と自分に問いかけるのが効果的。
MVPと聞くと大げさに聞こえるかもしれませんが、「道を聞かれた時に、教えてあげられた」「電車で席を譲った」「苦手な上司に自分から挨拶をした」などちょっとしたことで構わないとのこと。
思い出したときに「あれはなかなかいいことをしたな」と思えることを見つけましょう。
日本人の美徳とされる謙遜の心はいったん横に置いておいて、自分をしっかりほめてあげましょう。
ステップ3 自分を労おう
振り返りをして、MVPを見つけたら、最後は自尊心を満たす言葉で自分を労ってあげましょう。たくさん言う必要はなく、「1日1ほめ」でOK!
特定の言葉でなくても「よくやった!」「あれはナイスだった」「やるじゃん」「さすが自分」「いい選択をしたね」「かっこ良かった」など、自分に合った、言いやすいものをチョイスしましょう。そうすることで、自分自身が労われ、癒されていくそうです。
さらに応用編として、「自分ほめシート」を作るのもおすすめなんだとか。1日の振り返りの中で印象に残っていることを5つ書き残し、本日の1日1ほめを書き添え、それを選んだ理由も記録しておきましょう。毎日書くことで、自分をほめた記憶を記録として蓄積することができます。
自尊心を満たし、自分自身に自信をつける「自分ほめ瞑想」をご紹介しました。人間関係の悩みと向き合うには、まずは自分自身としっかりと向き合うことが重要だったんですね。
自分で自分をほめることは少し照れ臭いかもしれませんが、毎日実践して、自分の明日に前向きなタスキをつないでみましょう。