教えてくれたのは……岩野上 幸生(いわのうえ こうせい)さん
東京で飲食店を複数手がける人気料理人。YouTubeチャンネルの「飲食店独立学校 /こうせい校長」では、さまざまな料理のテクニック、役立つ情報を発信。著書に『プロのコツでいつものごはんが100倍おいしくなるレシピ』(KADOKAWA)。
板前のふわっふわな卵焼きの作り方
お寿司屋さんで食べる卵焼き。ふわっふわで分厚くて滑らかでおいしいですよね。実はおうちで再現できるんです! 秘訣は「卵を混ぜるときに泡立てない」「海老と大和芋を入れる」です。
普通の卵焼きより手間はかかりますが、本当においしい卵焼きができるのでぜひお時間があるときに作ってみてくださいね。
材料
- バナメイ海老 60g
- 大和芋 60g
- 卵 6個
- 砂糖 25g
- 塩 4g
- かつおだし 5g
- 水 50g
- みりん 10g
- 薄口醤油 4g
ポイント1:エビの下処理をする
1.エビの殻をむきます。しっぽにも身がつまっているので、しっぽの先をつまんで、殻をひっぱるようにしてむきます。
2.エビの背筋をのばすようにして、包丁を入れます。中心から少しずらして、2~3mm包丁を入れ、エビを寝かせた状態で、包丁で背ワタを取り除いていきます。
3.エビを塩を使って洗います。塩を使うことで、塩の摩擦でぬめりや汚れ、細菌などが取れて、塩の浸透圧によって水分が出るときに、一緒に臭みを取ることができます。
水でしっかり洗い、キッチンペーパーなどでエビの水分を拭き取り、ざく切りにします。
ポイント2:大和芋は事前にすりおろす
4.長芋より粘りの強い大和芋を使います。皮をスプーンで削るようにしてむきます。使う部分だけむくことで、皮があるところを持ってすりおろしやすいし、保存するさいに、いたみにくくなります。
5.大和芋をすりおろします。大和芋は後でミキサーにかけますが、事前にすりおろしておくことで、食感にばらつきが出るのを防ぐことができます。
ポイント3:卵は黄身と白身をしっかり混ぜ合わせる
6.卵をボウルに割り入れ、ホイッパーで混ぜます。ホイッパーで上から黄身をつぶし、ホイッパーをボウルの底にあてながら左右に泡立てないよう動かします。黄身と白身が完全に一体化するまで混ぜ合わせます。黄身と白身をしっかり混ぜ合わせておかないと、固まり方にムラが出て、食感、見た目も悪くなってしまいます。
7.砂糖、塩、かつおだしを加えて混ぜ合わせ、殻や混ぜ残しの調味料がないように、ザルでこします。
ポイント4:エビと山芋はすり鉢で細かくすりおろす
8.エビ、大和いも、水、みりん、薄口しょうゆを一緒にミキサーにかけます。
9.すり鉢で10分ほどすりおろし、さらに細かくしていきます。すり鉢がない場合は、この工程をスキップしても構いませんが、すり鉢で細かくすりおろすことで、ほどよく空気が入り、均等に膨らんで食感がフワフワになり、見た目もきれいになります。
10.卵と山芋を3回くらいに分けて、すり鉢で混ぜ合わせます。すり鉢を使って混ぜることで、エビや大和芋を細かくすりおろしつつ、空気の入りすぎを防ぐことができます。最後に全体が一体化するように、ゴムベラで泡立てないように混ぜ合わせます。
ポイント5:最小の弱火でアルミホイルを使って蒸し焼きに
11.家庭用の巻き鍋で巻いていきます。サラダ油を塗り、火にかけます。火力は最小の弱火にします。
まずは、卵液を半分くらい入れます。鍋を2、3回たたきつけて、大きい泡をなくしてから焼いていきます。
アルミホイルに軽くサラダ油をぬります。
油をぬった面を下にしてかぶせ、卵を蒸し焼きにしていきます。アルミホイルをかぶせないと、上の部分が固まる前に下のほうが焦げてしまうので、ご注意を。
この状態で、12分火を通したら、卵焼きをまな板の上に返しておきます。
12.先ほどと同じように、鍋に薄く油をぬり、最小の弱火にかけ、残りの卵液を流し入れます。すぐに、焼いた卵焼きを上にのせます。
焼きたての卵焼きは熱々なので、心配な方は火傷などをしないように、手袋などをして作業してくださいね。再度アルミホイルをかぶせて、10分間火を通すと、こんな感じで、卵焼きが膨らみます。
ポイント6:包丁の切っ先を使って切り分ける
13.卵焼きを裏返して切っていきます。まず、端っこの部分を落としてから、断面を見せるようにして切り分けます。
包丁の切っ先を使うことで、卵焼きがくっつきにくく、切り分けやすいです。
完成です!
この見た目から、別名「カステラ卵焼き」とも呼ばれます。
まわりが香ばしくて、中がフワフワ。
最強の卵焼きができました。
冷めてもおいしいので、お弁当にもぴったり。
表面は香ばしく、中身はふわふわジューシーで舌触りなめらか。一度に2つの食感を楽しむことができて、最高においしいです!
いかがでしたか? ポイントをおさえれば、家庭用の巻き鍋を使って、プロのような卵焼きが作れるとは、驚きです! たまにはいつもより少しだけ手間をかけて、自分のための料理を楽しんでみてはいかがですか?