論破では絶対に得られない「価値」がある。夫婦で教育感が違うときの“対話術”

家族・人間関係

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 論破では絶対に得られない「価値」がある。夫婦で教育感が違うときの“対話術”

2022.12.11

夫婦で子育ての意見が真逆になってしまうことってあります。 つい先日、家事シェアの講座でこの「すれ違い」について扱ったときのことです。 「夫婦で教育観がまったく違ったとしたら、どうしますか?」を考えてもらったのです。 その時意外と多かったのが「子どもに聞いてみる」でした。 今日は、夫婦のすれ違いと子どもに聞くことについて考えてみたいと思います。

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子どもに聞いても、決めさせない

「子どもに聞くのは絶対に必要なことだけど、子どもに決めさせるのはちょっと待った!」と、講義内でお伝えしました。

もちろんお子さんの年齢や、性格や家庭の事情によって正解はそれぞれです。
でも、決められる責任の範囲を知らず識らず逸脱してしまうと、家族にとって良い判断とはならないと思っています。

大切なのは、AかBかという結論自体ではなく、結論までの対話のプロセスなのです。

夫婦がすれ違う子育て3大事案

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たくさんのご家庭の話を聞いていると、子育てで教育観の違いでモメやすいのは以下の3つだと感じます。

  1. 受験問題:進学、受験、学校などをどうするか
  2. 習い事問題:塾やスポーツなど習い事をどうするか
  3. IT問題:ゲームやスマホをどうするか

これらは、夫婦で価値観が近ければスムーズですが、違ったときに「ゆずれない!」となりやすい。
だから、なかなか折り合いが付かずモメやすいのです。

そして、じつはどの結論であっても「正解」があるわけじゃないことも、モメやすい原因のひとつです。

小さい頃からバリバリ受験勉強をがんばって、進学に全力をそそぐことがいいと思っている夫(妻)。
受験に向けて進み続けるよりも、自然に触れることや好きに遊ぶ時間こそが大切だと考えている妻(夫)。

どちらが正しいかは、それぞれの価値観の違いであって、良い悪いの問題ではないのです。
こうした問題に無理やり白黒をつけて、どちらが正しいか合戦になるから、モメていきます。

そして「それじゃあ、子どもに聞いてみよう。だってこの子自身のことだから」となってしまう。
これはあまりにも、子どもにとっては負荷が大き過ぎると思うのです。
大人がふたり、顔を突き合わせても答えが出ない問題の答えを、子どもに委ねてしまうのはいかがなものでしょうか。

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以前書いた「子どもに「どうしたい?」と聞くのは、実は“不適切なのではないか”というおはなし。」でも、「どうしたい?」と聞くときには3つのケースがあるよとご紹介しました。

そこでも書いたように、ただ子どもに責任を負わせるだけではいけないと思っています。

では、こうして意見が割れてしまったときはどうやって対話を進めたらいいのでしょうか。

お互いの意見に寄り添い合うことができるオススメの方法をご紹介します。
実際にわが家では、夫婦で意見がモメたときにこれをすることで、対話がかなり滑らかになっています。

相手の意見のいいところを10個以上探して逆プレゼンする

自分の意見に確信があるときって、自分の正しさと相手の間違っているところばかりに目が行きます。
そこで、論破するために「自分の意見を補強する情報」をさらに集めていくと思うのです。

でも、これは全く逆じゃなきゃいけません。
人は見たい情報しか見ない傾向があると言われています。これを「確証バイアス」と言います。

つまり、どんどん視野が狭くなって違う意見を受け入れることができなくなってしまうのですね。

対話とは「歩み寄り」です。「どっちが論破するかの勝負」ではありません。とくに夫婦や家族においては。

歩み寄るためには、相手の意見の良いところを知らなければなりません。

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だから、お互いに相手の意見の良いところを10個以上探すのです。
1個や2個じゃダメです。表面的な「これなら論破できる」的なものしか見ようとしないからです。
でも10個以上となると、真剣に調べる必要が出てきます。

ネットに転がってる情報だけじゃなく、そこから深く読み取ったり感じたり、自分の言葉に置き換えたりする必要が出てきます。
真剣に、相手を説得するつもりで10個以上の良いところを探しましょう。

そして、実際に相手にプレゼンをします。
「受験パリバリ派のパパ」が「自然でのびのび子育て」のプレゼンを真剣にするのです。

ここまでして、ようやくお互いの意見に対してフラットになれるのです。

子どもも一緒に対話

こうした対話のプロセスは、ぜひ子どもにも見せてあげましょう。そして、子どもに決めさせるのではなく「意見」を聞きます。
それが決め手になることもあるし、子どもの希望通りにはならないこともあるでしょう。
でも、対話に参加することで子どもにとっても「勝手に決められたこと」ではなくなります。

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さいごに。大事なことなのでもう一度。
大切なのは、AかBかという結論自体ではなく、結論までの対話のプロセスなのです。

プロセスが健全であれば、どんな結論であっても助け合うことができるようになります。
それが論破では絶対に得られない、対話の価値です。

ぜひ、意見が割れたときには相手の意見の良いところを探してみて下さい。

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