子どもが「嘘」をついたとき、すぐに怒っていませんか?怒るよりも重要。“子どもに聞いてほしいこと”とは

家族・人間関係

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2023.01.15

「子どもが嘘をついた」その瞬間を目の当たりにすると、ちょっと戸惑います。 でも、嘘をつくのには何か理由があるはず。簡単に理由がわかるわけでも、嘘を付く習慣がなくなるわけでもないかもしれません。 それでも大人が、その嘘をついてしまう理由と向き合ってあげなければ子どもは誤魔化しながらコミュニケーションすればいいやと、よくない学びを重ねてしまうかもしれません。 今日は、子どもが嘘をついたときのお話です。

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嘘の理由

「ちゃんとやったよ!」
小学2年になる娘は、しょっちゅうそう言います。

「トイレ掃除、やるって言ってたのにできてないよ?」
昨年、わが家の大掃除の日。娘の担当だったトイレ掃除ができていませんでした。
「え? やったよ!」
娘は怒り心頭って感じで言い返してくる。
だけど、どう見てもやった形跡の見当たらないトイレ。

「OK。それじゃ、本当に”今日”やったのかどうか、一緒に思い出してみよう」
「いいよ! わたしやったから!」
自信満々に言い切る娘と一緒に、一つひとつ思い出していく。
「まず、自分の部屋の片付けをして」
「部屋のどこを片付けしたの?」
「この棚。本をキレイに並べ替えた!」
「おおー! 本当だ! めっちゃキレイになってるね」
「でしょ!」

こんな調子で一緒に思い出していきました。

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「これで全部!」
「あれ、やっぱりトイレ掃除してないよ?」
「ああーー!!! 本当だー! おかしいな。やったはずなのに」
「きっと、この前やったときのことを思い出したんじゃない?」

これは、嘘じゃなくて「勘違い」。

また、娘とそのお友達と一緒に遊んでいたときにこんなこともありました。
お友達A君が、自分のSuicaで勝手に買い食いをしてしまったのです。以前から常習だったようで、お母さんが「困ってる」と言ってるのを僕も聞いたことがありました。

「ねえ、Aくん。勝手に買い食いしちゃダメってお母さんに言われてたよね」
「え? 言われてないよ」
「いや、おじさんはちゃんと聞いてたよ」
「でも、自分のSuicaで買ったんだから別にいいじゃん」

僕は少し考えました。
彼が抱えている課題はなんだろうと。

きっと「買い食いをする」ことよりも「誤魔化してしまう」ことだろうと思ったのです。
お母さんに「買い食いはしちゃダメ」と言われている。それを破ってしまったことを、まずは自分で受け入れられるようにならなくてはなりません。

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「お母さんに『ダメ』って言われたのは、覚えてるよね」
「え、知らない」
「OK。でも、おじさんはAくんがお母さんにそう言われてたのをちゃんと聞いてたんだ」
「…」
「じゃあ、ここで問題。いま、おじさんはAくんの何を直して欲しいとおもってるでしょうか? その1買い食いしないで欲しい。その2嘘をつかないで欲しい。どっちだ?」
「買い食いしないで欲しい?」
「ぶぶー! 正解は2の『嘘をつかないで欲しい』でした」
「ええー! そうなの? なんで?」
「嘘をつくと、どんな気持ちになる?」
「バレないかなって、思う」
「そうだね。バレないかなって不安になるともっと嘘をつくことになるし。相手をもっと怒らせちゃう。謝ろうと思っても謝れなくなっちゃう」
「…」
「結局、嘘をついて自分を守ろうと思っても、大抵はうまくいかない。自分も辛いし、嘘をつかれた人も辛い」
「…うん」
「嘘って、1の失敗を10にも20にもしてしまうんだよ。知ってた?」
「知らなかった」
「じゃあ、最後にもう一回聞くよ。『買い食いしちゃダメ』って言われたの覚えてる?」
「覚えてる」
「よし。よく言えたね」

結局、Aくんはお母さんに自分から謝ることに成功しました。

これは「保身のための嘘」。

嘘をついた理由はなんだろう?

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嘘をつくときには、必ず理由があります。
最初のケースのような、単なる勘違いのこともあれば、保身のための意図的な嘘もある。
誰かを守るための嘘もあれば、自分を大きく見せるための嘘もある。

ぼくは一律で「嘘をついてはいけない」とは、思いません。
ただ、嘘をつくことで背負い込んでしまうリスクは大きいのです。そして、正直でいることでスムーズに誤解を生まずに済むこともたくさんあります。「嘘をつかない!」とピシャリと言ってしまうのは簡単。
けど、その背景に目を向けなければ、結局「嘘をついて逃げてしまおう」「どうせ本当のことを言っても信じてもらえない」と思ってしまうかもしれません。嘘をつくことそのものよりも、自分と向き合う力を失ってしまうことこそが危険だと思うのです。

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