教えてくれたのは……科学する料理研究家・キッチンまわり評論家さわけんさん
料理を科学的に考え、レシピを考えるレシピの達人。辻調理師専門学校では西洋料理を11年間教え、フランスのレストランに勤務経験がある元フランス料理のシェフさわけんさん。ユーチューブチャンネルの「さわけんシェフTV sawaken’s cooking ch」では、料理の役立つテクニックやレシピを発信。
衣がはがれないとんかつの作り方
とんかつを切ると肉から衣がはがれることがありますが、それは衣の固さに問題があります。
薄くしなやかな衣をつけると解決します。一番のポイントは、衣のつけ方です。
衣が分厚いと火を通したときに肉が縮みますが、衣が分厚く強度があると、肉が縮んだところについていかないんですね。衣は衣だけ固まる、肉は中で縮まる、すると間に隙間ができることになりますので、衣を薄くつけていこうと思います。
材料
・豚のロース肉……2枚(200g程度)
・塩……適量
・こしょう……適量
・小麦粉……適量
・卵(全卵)……1個
・生パン粉……適量
・揚げ油……適量
今回は生パン粉を使っていますが、生パン粉はさくっと揚がります。ない場合は乾燥でも構いません。
作り方
1.豚肉の下処理を行う
ハサミや包丁で筋を切って、変形を防ぎます。裏表から厚い筋を切る感じで、少々なら肉に穴が開いても問題なしです。今回はハサミで入れていますが、包丁でも構いません。2枚とも、裏表の筋を切ります。
2.塩・こしょうを振る
肉に塩とこしょうで味をつけます。
3.小麦粉を薄く肉につける
まずは、お皿に小麦粉を少量あけます。
ここが、衣がはがれない重要なポイントです。小麦粉をお皿に少量、振ります。小麦粉、卵、パン粉の順につけていきます。その方が薄くなります。ここは大胆かつ丁寧に行います。
次に、肉を小麦粉の上にのせ、さらにスプーンで小麦粉を薄く振りかけます。
トングなどで肉をはさみ、裏表しっかり小麦粉をつけて、手でよくはたきます。はたくことで、余分な小麦粉が落ちます。
肉に小麦粉がついていない部分がある場合は、もう一度小麦粉ををつけて、はたくを繰り返します。
肉の厚みのあるサイド部分にも小麦粉をつけて、はたくことをして、薄く小麦粉をつけます。
4.卵と小麦粉を用意する
卵は全卵を使います。卵白が固まっているとあまりよくないので、しっかりと溶きます。パン粉をお皿などに用意します。
5.肉に卵とパン粉をつける
肉・卵・パン粉を用意し、卵・パン粉の順に肉に衣をつけていきます。まずは、卵をつけます。卵をしっかり肉につけて、よく切ります。薄く卵を肉につけます。
パン粉をつけるときは、肉の上からもパン粉を手で振って、全体にぎゅっと手で押しつけてください。
中の肉が潰れるとか考えなくていいので、ぎゅっと手で押さえてください。
肉の厚みがあるサイドにも衣をつけます。下の肉が見えているようなしあがりになりますが、問題ありません。
6.ラップをして冷蔵庫で寝かせる
ラップをして乾燥を防ぎ、冷蔵庫で15分寝かせて、衣をなじませます。これはとっても重要なポイントです。寝かせることで、小麦粉と卵がなじみ、パン粉も定着します。一体感が衣に増します。
7.180〜190度の油で揚げる
180〜190度の油で揚げます。
色よく揚がれば、鍋の上で油をよく切ります。
8.油をよく切る
揚がったら縦にして置くことで、油がよく切れます。
9.盛りつける
しばらく時間を開けてから食べやすい大きさに包丁で切り、できあがりです。
衣が薄く、しなやかなので、肉の縮みについていかず衣がはがれることはありません。
いかがでしたでしょうか? 肉は火が通れば縮むので、衣と肉の定着がポイントになります。参考にして、おいしいとんかつを作ってみてください。
※こちらの記事は元動画の提供者さまより許可を得て作成しております。