教えてくれたのは……岩野上 幸生(いわのうえ こうせい)さん
東京で飲食店を複数手がける人気料理人。YouTubeチャンネルの「飲食店独立学校 /こうせい校長」では、さまざまな料理のテクニック、役立つ情報を発信。著書に『プロのコツでいつものごはんが100倍おいしくなるレシピ』(KADOKAWA)。
「シェフのチキンステーキ」の作り方
チキンステーキは、家で作ると皮がべちょっとしたり、身がパサついたりと、おいしく仕上げるのが意外と難しいですよね。そこでぜひ参考にしていただきたいのが、今回ご紹介するレシピ。
こうせいさん流のポイントを押さえるだけで、レストランで出てくるような、おいしいチキンステーキが作れます。皮はパリッパリ、身は肉汁があふれてジューシー。鼻から鶏肉の香ばしさがぬけて、幸福感で満たされるおいしさです。
まずは、あえてポイントを押さえずに作ったチキンステーキと比較してみましょう。見た目から、その差は歴然ですよ。
ポイントを押さえずに作ったチキンステーキ
皮に毛がついていたり、余分な脂、血合い、骨が残っていても、そのまま使います。厚さを均一にするため観音開きにし、塩とホワイトペッパーを両面にふりかけます。
フライパンにオリーブオイルを熱し、身の方から焼き、中心まで火を通して取り出します。
切ってみると、繊維がむき出しになって、ぱさついています。食べると、口に筋などが残って臭みを感じます。薄く切ったうえに、身の方を焼きすぎているので、かなり水分が蒸発しています。
左がポイントを押さえずに作ったチキンステーキ、右がポイントを押さえて作ったチキンステーキです。
ポイントを押さえて作ったチキンステーキ
それでは、ポイントを押さえて処理するチキンステーキを作っていきます!
材料
鶏もも肉……1枚
にんにく……1個
塩……鶏もも肉の総重量にたいして0.8%
ホワイトペッパー……適量
オリーブオイル……適量
コーンスターチ……適量
1.ニンニクの皮をむいて、半分に切る
繊維に対して垂直に切ると香りが移りやすくなります。
2.鶏もも肉の下処理をする
余分な脂、血合い、骨、硬い筋などを手でさわりながら包丁で取り除きます。
鶏肉の保水力を維持するために、あえて観音開きにはせず、分厚い部分を残したまま調理します。
皮が縮まないよう、しっかり伸ばしてから、満遍なくフォークで刺していきます。
ドリップを拭き取ります。
3.ニンニクの香りを肉に移す
ニンニクをフォークで刺し、断面を肉にこすりつけるようにします。
4.塩をして、鶏肉に浸透させる
鶏もも肉の総重量にたいして、0.8%の塩とホワイトペッパー適量を身のほうだけに振ります。
キッチンペーパーを敷いて身のほうを下にして置き、皮を伸ばして身を覆うようにして、2時間くらいおいて乾燥させます。
冷蔵庫に入れますが、焼く1時間くらい前に冷蔵庫から出して20度~25度くらいの室温に戻しておきます。食中毒菌が繁殖しないよう、冷蔵庫から出すタイミングは、室温によって見極めてください。
5.身のほうにだけ、コーンスターチをまぶす
コーンスターチをまぶすことで、水分が蒸発しにくくなります。
6.鶏肉を焼く
火をつけない状態で、フライパンに油をほんの少しだけ引き、鶏肉の余分なコーンスターチをはたいてから皮を伸ばし、皮目を下にしてフライパンに入れます。
皮全体に油が回っているか確認してから、火をつけます。
ときどき皮を裏返してみて、焼けていない白っぽい部分があれば、トングなどでフライパンの隅に押し付けるようにして焼いていきます。
皮がまんべんなくパリパリに焼けて、鶏肉に8割くらい火が通ったら、裏返し、身の方を焼いていきます。
身は焼きすぎるとパサついてしまうので、軽く表面を焼いてコーンスターチをかためてはがれないようにして、香ばしくなったら、すぐに皮目を下にします。
スプーンで高温の油をすくって身の方にかけながら、ゆっくり火を通していきます。
最後に裏返して、身の表面全体を20秒~30秒温めれば、完成。
フライパンに残っている汁は旨味そのものなので、ソースに使ったりパスタに入れたりするとおいしいです。皮がはがれないよう、皮を下にして切り、お湯などで温めた皿に盛り付けます。
断面を見るだけで、肉汁があふれてジューシーになっているのがわかりますね。
皮はパリパリ、身はジューシーなチキンステーキ。
ぜひ作ってみてください!