夫が食器洗いしたあと、シンクが汚い…。「雑家事問題」の意外な“根本的な原因”と“解決法”

家族・人間関係

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 夫が食器洗いしたあと、シンクが汚い…。「雑家事問題」の意外な“根本的な原因”と“解決法”

2023.05.01

「やってくれるのは助かるけど、雑すぎて手直しが逆に手間」 最近、こんなご不満を色んなところから立て続けに聞きました。この問題にあえて名前をつけるなら「パートナーの雑家事問題」でしょうか。 saitaの読者さんは女性が多いと思うので、ここでは思い切って「夫の雑家事をどうやって改善すればいいのか?」について考えてみたいと思います。

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雑とはどういうこと??

意外に思われるかもしれませんが、じつは「雑」であること自体はちっとも問題ではありません。

多少食器に洗い残しがあろうと、ホコリが溜まっていようと、洗濯物がしわくちゃだろうと。
それは人それぞれです。(ゴミ屋敷化してるとか、部屋中に虫が湧いて近隣にまで迷惑かけてるなど極端な場合は別です)
ある家では毎日掃除機がけをするかもしれないし、週に1回の家もあるかもしれません。

家事の「質」を問題としてしまうと、この「雑かどうか」問題はずーっと平行線のままです。
それぞれが考える「ここまでできてれば充分」には、当然差がある。だから、妻は食器洗い後はシンクまでキレイにして欲しいけど、夫はお皿さえ洗ってあれば充分だろ、なんてことが起こります。

これを「雑」と決めつけてしまうと、明らかな上下関係が生まれてしまう。
「あなたのやり方は間違ってる」「君の家事は隅々まで行き届いてない」なんて具合に。
こうなってしまうと、家事が雑かどうかより、夫婦の関係性の方にまで問題を抱えることになりかねません。

問題は「家事工程のギャップ」

「雑家事」が問題じゃないとしたら、問題は何でしょうか。
それはお互いの家事工程にある「ギャップ」です。

どうしても丁寧にやっている人が正しくて、それに足りてない方が間違ってる意識になりがちです。
でもそうじゃない。お互いの間にある「ギャップ」そのものが問題なのであって、そのギャップをどうやって縮めていくかが大事なのです。

食器洗い出典:stock.adobe.com

「でも、丁寧にやっている方に合わせてくれないと困る。雑なままなんて我慢できない」って思いますよね。
相手もきっと同じなんです。

「そんなに丁寧にやる必要ある? 別に困らないし、生活できるし、問題なくない?」と。
この場合、自分より家事に丁寧な人に自分が合わせることになったら、を想像するといい。

「食事はお惣菜とかレトルトは辞めて欲しい。簡単でもいいから一汁三菜くらいは最低限そろえてもらわないと、食卓としては寂しいな」
それくらいやってるって人もいるかもしれませんが、僕はこれを求められたら「いや〜、ちょっと無理。やるなら自分でやって」と思います。

大事なポイントは、そこまでやる必要ないと思ってる人に高い質を求めることの難しさなのです。

それを一応、理解した上でお互いにとっての最適解を探っていく
それが夫の雑家事問題を解決する手段になります。

お互いの”当たり前”を可視化する!「家事工程の洗い出し」

問題はパートナーの家事が「雑」なことではなく、「家事工程に差があること」です。

だから、まずはその家事にどんな「差」があるかを書き出してみましょう。

食器洗い出典:stock.adobe.com

例)食器洗い

* * * * *

【妻】
食器を軽く水洗いして大きな汚れを落とす→スポンジに洗剤を付ける→汚れの軽いものから洗っていく→箸などは洗い忘れがないように洗い終わったらコップなどに立ててわかるようにしておく→鍋やフライパンは後で洗う→食器類を洗い流す→フライパンなどを洗う→生ゴミを捨てる→食器を拭く→食器をしまう→水切りカゴを洗う→シンクをキレイにする

【夫】
スポンジに洗剤を付ける→食器を洗う→フライパンを洗う→水で流す→水切りカゴにしまう→カゴに入らなかった食器は拭いてしまう

* * * * *

上記は実際に家事シェアのワークショップで家事工程を書き出してもらった、あるご夫婦の例です。
妻側には途中、こだわりや気をつけてるポイントも含め、多くの工程が出てきました。でも夫側の工程は、かなりシンプルです。

こうやって洗い出しをしてみると、「どこを雑と感じるのか」「なにが足りていないのか」がハッキリと分かります。

洗い出しが終わったら、次は「期待値と現実値」を合わせていきます。

お互い自分のやり方に固執してしまうと、うまくいきません。夫側は今のままではなく、足りない部分を補う努力が必要になります。
妻側も100%自分と同じようにやって欲しい、と期待値を高く持つのではなくある意味での妥協点を探らなくてはなりません。

その結果、このご夫婦は下記のように工程を改めました。
妻側はべつに自分がやるさいに妥協する必要はないのでそのまま。夫側は「生ゴミ捨て」「シンク掃除」「食器を拭いてしまう」までが追加されました。

* * * * *

【夫】
スポンジに洗剤を付ける→食器を洗う→フライパンを洗う→水で流す→水切りカゴにしまう→生ゴミを捨てる→シンクを洗う→食器を拭く→食器をしまう

* * * * *

これまでは「油汚れとか最初に洗い流してからやりなよ」など結構細かく指示されていたのですが、それがなくなり気持ち的にも楽になったとのことでした。

食器洗い出典:stock.adobe.com

こうして工程表を洗い出してギャップを可視化することで「あ、そうすればいいのか」と注意ポイントを理解して自分の家事に組み込んでいく夫さんもたくさんいます。
でも、どこまでをゴールとするか。それを夫婦でちゃんと話し合えるとお互いにとっての心地よさを担保していけるようになります。

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