完璧を求めすぎなのか、家事力があまりにもヤバいのかの違い
パートナーにお願いするのが不安、といっても状況はそれぞれです。
Aさん(女性)は家事にも育児にも自分なりのこだわりのある方でした。
身体への気遣いも楽しいし、ある程度気持ちのいい環境で暮らすことが大好き。
一方の夫は、そういうこだわりには無頓着。
特に散らかしたり、否定したりということもありませんし、Aさんの作る暮らしにも満足しつつ感謝もしてくれます。
ただ、自分が同じことができるかと言われればちょっと無理。
「自分が手を出すと、妻の家事に迷惑をかけるんじゃないか」
と、自分からは極力手を出さないようにしていたようです。
その代わり、頼まれたことに関しては安心してできるし、後で細々ダメ出しされるくらいなら、細かく指示を出してくれたほうがいいと思っていました。
同じようにお願いするのが不安と悩むBさん(女性)のケースはこうでした。
Bさん自身に家事育児に対するこだわりは特にありません。多少雑でも(いわく自分も雑だから)構わないし、とにかく手間をなくしたいと考えています。
ただ、それでも夫にお願いすることには躊躇があるとのこと。
洗い物はビックリするくらい時間がかかるし、しかも洗い残しが多い。
洗濯機の使い方も微妙で、乾燥をかけたつもりでかけ忘れ、濡れたままの衣類が臭くなってまた洗い直しなんてこともざら。
掃除にはいっさい関心がなく、掃除機掛けはもはや「やったよパフォーマンス」でしかなく、掃除後のビフォーアフターが間違い探し(笑)のような状態とのこと。
夫の意見としては「もう、(家事が)壊滅的に面倒くさい。たぶん上達しようって気持ちがなくて、いつも同じミスを繰り返しちゃう」とのこと。
自覚はあるのね、とBさんは苦笑いしていました。
Aさん、Bさんともに「パートナーに家事を任せられない」と悩んでいましたが、状況はまったく違います。
では、どのようなアプローチ方法があるでしょうか。
こだわりは一旦置いて、委ねるところはしっかり任せる
まずAさんのようなパターンの場合。
「全部わたしの理想通りにやりたいから、言われたことだけ手伝ってくれたらいい」というやり方も「あり」だと思います。
ただ、Aさんの場合は家事をもう少し手放したかった。
そうであれば、「夫を自分の思った通りに動くように教育する」のではなく「妥協できるところをお互いに見つける」方がいい。
なぜなら、人は自分が興味ないことに大きな労力を費やすことは難しいからです。
とは言え、夫の家事スキルにすべてを妥協する必要もありません。
まずは、どの家事ならお互いに妥協しやすいかを考えます。
たとえば、Aさんは料理は妥協したくない。でも洗濯なら洗濯機がやってくれるし、おしゃれ着などは自分で洗うからやってくれたら助かるとのことでした。
そこで洗濯は夫担当に。
洗剤などは妻が選びますが(こだわりあり)、洗濯のことを考えなくてよくなったのでだいぶ楽になったとのことです。
また、料理や掃除も。相手がやってくれた場合は、お互いにダメ出しや文句は言わない、と決めたようです。
感謝だけはしっかり伝え合う。そして、どうしても「これは改善した方がよくない?」ってことについては、その場で伝えるのはありとのこと。
(そうしないと、お互い我慢が積み重なってしまうから)。
コミュニケーションの作法まで話し合えたのは、大きな変化に繋がったようです。
「できる家事」をひとつ作ることから
次にBさんのパターン。夫の家事力が低すぎて、任せるほどにイライラが募る。
まずBさんの夫に伝えたのは「家事が面倒くさいのは、誰だって同じ」ということです。
面倒くさいからといって、自分だけケアしてもらっていては家族として関係性が歪になってしまう。
ましてやBさんだって、家事が好きなタイプではありません。
面倒くさいなんて言い出したら、家庭が回らなくなるだけなのです。
そうはいっても、できないものはできません。
これまでだって「やらない」と言っていたわけではなく「やっても適当になっちゃう」ということなのです。
そこで提案したのは、
「まずはひとつ。『できる家事』をつくろう」ということ。
料理、洗濯、掃除の中から選んだのは掃除。
Bさん宅では、掃除は週に1回。土日のどちらかにやるとのことで、頻度が少なくて済むのが理由でした。
その後は、ふたりで掃除のゴールを決めます。
家のどういう所に埃が溜まりやすいのか。居室だけじゃなく洗面所やトイレ、廊下もやること。
そしてそのためには、まずは出しっぱなしのおもちゃなどを片付けて、テーブルに椅子を上げて(もしくはどかしながら)など、工程も洗い出します。
「想像より、はるかに大変だ……!」とおののいていましたが「別にここまで完璧じゃなくても大丈夫。これはあくまでも理想」との妻の言葉を受けて安心した様子。
さて。面白いのはその後の変化です。
なんと夫が「おもちゃ片付けてから寝て」とか、床に落ちてるゴミなどを気がついたら拾ったりするようになったとのこと。
「だって、俺が掃除するのに邪魔だから」ということらしいです。
家事を委ねられない、と諦めないで色々と話しをしあってみると、ほどよい解決策が見つけられるかもしれません。
ぜひ、家事シェアを諦めないでもらいたいと思います。