雨でも外で遊んで育つバンクーバー
息子が学校に通い始めてすぐ、大雨の日がありました。「今日は雨だから教室で遊んでいるんだろうなぁ」と思っていたのですが、お迎えに行ってびっくり! 洋服は学校に置いてあった予備の着替えに着替えてあったものの、髪と靴がびしょびしょ。「こんな大雨で外で遊んだの?」というと、休み時間全員外に出されたというのです。
学校に通い出すまで日本育ちの両親に育てられた息子は、多少の雨なら外に出ていましたが、そんな土砂降りの日に外で遊んだことがなく、大雨の中何をして遊んでいいか戸惑ったようでした。
聞けば他のアジア人の子も同じように戸惑っていたそうです。私たちは小さい頃から雨が降ったらすぐ傘をさして、「濡れたままだと風邪ひくから着替えなさい」と言われて育っていますが、カナダで育った人の話を聞くと、雨で濡れたら風邪を引くという概念はないそうです。
そして学校にもよりますが、雨の日に外で遊ぶのは普通のことだそうです。雨の日にキャンプに行くと、大雨の中子どもとお父さんがサッカーをしたり、自転車に乗ったりしている光景もよく目にします。一年のほとんどが雨季のこの町で、こうやって小さいときから雨に慣れ、鍛えられていくのかと感心しました。
傘よりレインコート
カナダ人でも傘をさす人はいますが、日本に比べると随分少数派。カナダ人の友達に聞いてみると「持ち歩くのが邪魔だし、手が使えないし、合理的じゃない。それに防水のジャケットやフードや帽子をかぶれば濡れないし」ということでした。確かにレインパンツ、レインコート、長靴のセットは子どもが学校に持っていきますし、大人も大体の人が防水のジャケット(大抵はフード付き)を持っています。
日本で大人が着るようなザ・レインコートのようなものではなく、晴れた日でも着れるような形のジャケットです。我が家も家族全員このタイプの上着を持っていて、雨の季節になるとヘビロテしています。靴もみんな防水対応のものを持っていて、長靴、ゴアテックスの防水スニーカー、スノーブーツなどで雨の季節を乗り切ります。
フードや帽子を被れば頭も濡れないからそれでOKというわけです。とは言え、よっぽど長い丈のジャケットを履かない限りズボンは濡れますし、大人のレインパンツは売っていますが、そこまで普及しているわけではありません。ズボンも濡れたら結構不快ですが、こちらの人はそこはあまり気にならないようです。
あんなに傘をささないのが不思議に思っていた筆者も
カナダに住み始めた頃は、傘をささずに雨の中を歩いている人が不思議でたまりませんでした。日本みたいにデザインが可愛い傘を見つけられず、わざわざ日本から遊びに来る友達に買ってきてもらったりしていました。
雨の季節はいつもその傘を鞄に入れて持ち歩き、小雨でも傘をさしていました。ところが子どもが生まれてベビーカーを使い始めたら、急に傘が邪魔に感じるようになりました。片手で傘をさしながらカナダの大きなベビーカーを押すのは想像以上に大変だったのです。
そして周りが傘をささないのがあんなに不思議だったのに、気づいたら自分も多少の雨では傘をささなくなっていました。今でも大雨の日は傘を使いますが、多少の雨の日は傘を持たずに防水のジャケットを着たり、帽子を被ったりして雨を凌いでいます。多少濡れても慣れれば気にならなくなるものですね。
バンクーバーの長雨は、何年住んでも憂鬱で慣れることがありません。カラッと晴れた夏が終わって雨の季節が始まると「また今年もこの季節が来たか……」と気持ちも下向きになってしまいます。ただ傘を常に持ち歩く生活から防水ジャケットを使うようになり、普通のスニーカーからゴアテックスのスニーカーに変えてファッションをカナダ人寄りに近づけることで、グンと快適さが向上しました。
今は防水ジャケットや防水の靴にもおしゃれなものは沢山ありますし、高くて洗濯し辛い服を濡らさないように傘をさして必死に水たまりを避けるより、濡れても平気な服で身軽に出かけた方が気分も上向きになるものです。日本で傘をささない生活は難しいかも知れませんが、お手入れのラクな服やおしゃれなレイングッズで梅雨の季節も気分よく過ごせたら最高ですね!