日本とカナダのTPOの感覚の違い
学校の参観日、先生との面談などの日は、日本だと先生も親もきちっとした格好で参加しますよね。ジーンズにTシャツなんていう人はまずいないでしょう。ところがカナダでは、これがありなのです。ジーンズにTシャツ、上下ヨガウェア、ショートパンツにトレーナーのようなラフな格好の人の方がむしろ多く、スーツを着た人はまず見かけません。ワンピースやスカートの人もいますが、それも多くの場合は、その日特別な格好をしたというよりは、普段からそういう格好の人です。日本に比べてずいぶんカジュアルですよね。
カナダではファッションは個性
もちろん日本でもファッションは個性なのですが、学校やオフィスで仕事をする人は、ある程度きちっとした格好をしなければいけないという傾向がありますよね。学校にもよりますが、小学生で髪を染めたりピアスをしている生徒や、短パンTシャツで会社に出勤する人は、あまり見かけません。
日本でスーツ以外の服で会社に行ったり、大ぶりのアクセサリーをつけて出勤した先生が職場でお叱りを受けた話を聞いたことがありますし、学生の頃はスカートの丈を短くしたり、化粧をしている生徒が呼び出されたりしていました。
しかしカナダの小学校ではピアスをしている生徒も普通ですし、髪を染めたり、化粧をしている生徒もいます。ピンクの髪の先生や鼻ピアスをしている先生もいます。
業種にもよると思いますが、うちの主人は普通の会社員ですが、ハーフパンツやジーンズで出勤しています。日本で育った筆者は、ときどき「え? これいいの?」と驚くこともありますが、個人的な考えとしては、服装はカナダスタイルの方が個性が出て素敵だなと思います。
移民の国ならではの服装の違いも。
カナダは移民の国です。そのため、いろいろな国からカナダに移ってきた人がいます。息子のクラスメートだけを見ても、香港、アフリカ、フランス、スペイン、メキシコ、ウクライナ、日本など、とても国際色豊か。日本で育った私たちが学校行事や会社にはきちんとした格好で行かなければと思うように、その子の親の育った文化によって服装も違うように思います。
北米の人は学校や会社にはカジュアルな格好の人が多いのに対し、アジア系の人は北米の人に比べるとそういう場には正装率が高く感じます。また、ヨーロッパ出身の人は普段からおしゃれ度が高い傾向にあります。TPOの意識の違いも出身国によって違うのではないでしょうか? 北米の人は普段はカジュアルですが、パーティーのときはとびきりおしゃれをして、女性はバッチリ化粧をして出かけます。
カナダに来て筆者自身のファッションはどう変わった?
元々カジュアルなファッションが好みですが、バンクーバーで暮らすようになってから、ますますカジュアル度が高くなりました。普段はジーンズがチノパン×Tシャツかトレーナ×スニーカー、ヨガを教えているのでレッスンがある日は一日中ヨガウェアで過ごすことが多いです。
周りがカジュアルということも要因の一つではありますが、他にもクリーニング代が高いのと、冬はとにかく雨が多いので、必然的にお手入れが簡単な服を選ぶことが多くなったように思います。その中で色合わせや形、ちょっとしたアクセサリーで変化をつけておしゃれを楽しんでいます。ミュージカルを見に行ったり、友達とご飯に行くときはもう少し気合いを入れておしゃれをしますが、毎日きちんとした服装でなければいけないというプレッシャーはないので気がラクです。
日本への一時帰国中に子どもを幼稚園に入れたとき、学校の送迎にもきちんとした格好で来ているお母さんが多くて驚きました。カナダでは送り迎えどころか、学校行事や面接にもカジュアルな服装でいいので少し味気ない気もしますが、日本でフォーマルな服を買っても特別なときしか着る機会がなくてもったいないと感じていたので、お金もかからず気楽なカナダスタイルは筆者には合っています。日本のファッションも大好きなので、ファッション誌で今の流行などをチェックしつつ、ゆるーくおしゃれを楽しんでいます。