教えてくれたのは……新見正則先生
オックスフォード大学医学博士(免疫学)。新見正則医院院長。
外科医×免疫学者×漢方医。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙者。最新刊『しあわせの見つけ方 予測不能な時代を生きる愛しき娘に贈る書簡32通』。
免疫力が低下する50代以降は要注意
帯状疱疹は私たちがよく知っている“あるウイルス”が原因だと、オックスフォード大学医学博士の新見先生は解説しています。
新見先生 「帯状疱疹は、水疱瘡のウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が引き起こす病気です。水疱瘡のウイルスに初めて感染すると水疱瘡になりますが、水疱瘡が治った後も、ウイルスは神経細胞に潜んでいます。ふだんは免疫力で抑え込んでいるけれど、免疫力が下がるとむくむくっと起き出して、帯状疱疹を発症します。」
新見先生 「帯状疱疹になりやすいのは、免疫力が低下している人です。免疫力は、加齢とともに低下します。『帯状疱疹は50代以降に多い』といわれるのは、そういうわけなんです。」
赤いポツポツした発疹や痛みが、帯状に広がるのが特徴だといわれる「帯状疱疹」。発疹が出たときに、家庭で帯状疱疹だと見極めることはできるのでしょうか?
新見先生 「帯状疱疹の発疹は、神経に沿ってからだの片側だけにあらわれることが多く、左右均等にあらわれることはほぼありません。一般的に、赤いポツポツとした発疹が出て、皮膚科を受診して、帯状疱疹だと診断されるケースが多いようです。
見極めが難しいのは、痛みが先にあらわれるパターンです。まさか帯状疱疹だとは思わず受診を迷いがちですが、もし『帯状疱疹かな?』と思うような痛み、発疹があるようなら、すぐに皮膚科を受診するのがおすすめです。皮膚科が近くにないようなら、内科へ行きましょう。病院で相談するほどではないものの気になるときは、遠隔診療を活用してもいいでしょう。疑わしい症状があるときは、とにかく早めの受診がおすすめです。」
早めに受診すれば、特効薬で治療できる!
新見先生がこれほどまでに早めの受診を勧めるのは、理由があります。
新見先生 「帯状疱疹には、特効薬があるんです。飲み薬、場合によっては点滴薬で治療できます。抗ウイルス薬は、発疹が出てから3日以内に服用するとよいとされています。早くスタートしたほうが、早く治りやすく、後遺症にもなりにくいんです。」
帯状疱疹の後遺症のひとつが、「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と呼ばれる、長期間続く痛みです。国立感染症研究所の資料によると、帯状疱疹になった人の10〜50%がこの後遺症に悩まされています。
新見先生 「痛みって個人差が大きくて、非常に強く感じる人もいれば、それほど強く感じない人もいます。もし帯状疱疹になったあと、日常生活に支障が出るような強い痛みがあるようなら、受診して、痛み止めなどのオプションを相談してみるといいですね。
帯状疱疹後神経痛は、温めて楽になると感じる人もいれば、冷やして楽になると感じる人もいるので、もしなってしまったときは、どちらが楽になるか試してみるといいですよ。」
「帯状疱疹は、とにかく早めの受診が肝心」と新見先生。疑わしい症状があるときは、家庭で悩まず、早めに医療機関に相談しましょう!