50歳以上に多い「帯状疱疹」発症から“3日以内に受診”したほうがいい理由

心と体

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2023.07.21

最近、病院に掲示されているポスターやさまざまな広告で、「帯状疱疹」という病名を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。帯状疱疹はどんな人がなるのか、原因や症状、治療法について、オックスフォード大学にて免疫学を学んだ医学博士・新見正則先生に教えていただきます。

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教えてくれたのは……新見正則先生

新見先生出典:niimimasanori.com

オックスフォード大学医学博士(免疫学)。新見正則医院院長
外科医×免疫学者×漢方医。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙者。最新刊『しあわせの見つけ方 予測不能な時代を生きる愛しき娘に贈る書簡32通』。

免疫力が低下する50代以降は要注意

帯状疱疹は私たちがよく知っている“あるウイルス”が原因だと、オックスフォード大学医学博士の新見先生は解説しています。

新見先生 「帯状疱疹は、水疱瘡のウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が引き起こす病気です。水疱瘡のウイルスに初めて感染すると水疱瘡になりますが、水疱瘡が治った後も、ウイルスは神経細胞に潜んでいます。ふだんは免疫力で抑え込んでいるけれど、免疫力が下がるとむくむくっと起き出して、帯状疱疹を発症します。」

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新見先生 「帯状疱疹になりやすいのは、免疫力が低下している人です。免疫力は、加齢とともに低下します。『帯状疱疹は50代以降に多い』といわれるのは、そういうわけなんです。」

赤いポツポツした発疹や痛みが、帯状に広がるのが特徴だといわれる「帯状疱疹」。発疹が出たときに、家庭で帯状疱疹だと見極めることはできるのでしょうか?

新見先生 「帯状疱疹の発疹は、神経に沿ってからだの片側だけにあらわれることが多く、左右均等にあらわれることはほぼありません。一般的に、赤いポツポツとした発疹が出て、皮膚科を受診して、帯状疱疹だと診断されるケースが多いようです。

帯状疱疹出典:stock.adobe.com

見極めが難しいのは、痛みが先にあらわれるパターンです。まさか帯状疱疹だとは思わず受診を迷いがちですが、もし『帯状疱疹かな?』と思うような痛み、発疹があるようなら、すぐに皮膚科を受診するのがおすすめです。皮膚科が近くにないようなら、内科へ行きましょう。病院で相談するほどではないものの気になるときは、遠隔診療を活用してもいいでしょう。疑わしい症状があるときは、とにかく早めの受診がおすすめです。」

早めに受診すれば、特効薬で治療できる!

新見先生がこれほどまでに早めの受診を勧めるのは、理由があります。

新見先生 「帯状疱疹には、特効薬があるんです。飲み薬、場合によっては点滴薬で治療できます。抗ウイルス薬は、発疹が出てから3日以内に服用するとよいとされています。早くスタートしたほうが、早く治りやすく、後遺症にもなりにくいんです。」

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帯状疱疹の後遺症のひとつが、「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と呼ばれる、長期間続く痛みです。国立感染症研究所の資料によると、帯状疱疹になった人の10〜50%がこの後遺症に悩まされています。

新見先生 「痛みって個人差が大きくて、非常に強く感じる人もいれば、それほど強く感じない人もいます。もし帯状疱疹になったあと、日常生活に支障が出るような強い痛みがあるようなら、受診して、痛み止めなどのオプションを相談してみるといいですね。
帯状疱疹後神経痛は、温めて楽になると感じる人もいれば、冷やして楽になると感じる人もいるので、もしなってしまったときは、どちらが楽になるか試してみるといいですよ。」

「帯状疱疹は、とにかく早めの受診が肝心」と新見先生。疑わしい症状があるときは、家庭で悩まず、早めに医療機関に相談しましょう!

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