教えてくれたのは……洗濯ブラザーズの茂木貴史(もぎたかし)さん
毎日の洗濯を楽しくハッピーにするために活動するプロ集団で、茂木貴史、茂木康之、今井良の3人で洗濯ブラザーズを結成。横浜と東京都世田谷区の三宿で、クリーニング店「LIVRER(リブレ)」を経営するかたわら、劇団四季、シルク・ドゥ・ソレイユ、クレイジーケンバンドなどの国内外の有名アーティストの衣装クリーニングを行う。
大丸松坂屋百貨店が運営するサブスク型ファッションレンタルサービス「AnotherADdress(アナザーアドレス)」で貸し出される高級ブランド服のクリーニングを確かな技術で一手に引き受ける。オリジナルのナチュラル洗剤も開発し、好評を博している。
主な著書に、9万部突破のベストセラー『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』がある。
『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム刊)
著者:洗濯ブラザーズ
定価:1,540円(税込)
NGポイント1.毎回同じ「自動設定」で洗濯をしている
洗濯をするうえで意外とカギになるのが、洗濯機の「設定」です。
毎回ボタンひとつ押して自動設定で洗濯をしている方が多いかもしれませんが、じつは洗濯物の量や汚れ具合に合わせて、その都度「設定」を変えるのが正解なんです!
水量の設定
洗濯機は水の量が足りないと汚れがキレイに洗い流せないので、水量の設定はとても重要です。
家族の人数によって洗濯物の量が異なるので、それにともなって必要な水量も変わってきます。
洗いたい洗濯物の量によって変わってくるので、調整して手動で設定するのがおすすめですよ。
すすぎの設定
すすぎには「ためすすぎ」と「注水すすぎ」の2種類があります。ボタンがあるのは知っているけれど、使ったことがないという方もきっと多いですよね。
・ためすすぎ……洗濯槽の中にためた水の中で、すすぎをすること。通常はこちらの設定になっていることが多いです。
・注水すすぎ……すすぎながら水を足していくこと。「ためすすぎ」よりも水を多く使います。
しっかり汚れを落としたいときには、すすぎながら水を足していく「注水すすぎ」のほうが汚れ落ちがよくなります。
お子さんが部活で着たユニフォームなど、汗やニオイがたっぷり染みこんだようなものを洗濯する際には、いつもよりも「注水すすぎ」の回数を増やして設定するとよいですよ!
脱水の設定
脱水は、遠心力がかかることによって、水分だけではなく汚れもしっかり飛ばす役割があります。
脱水時間が長ければ長いほど遠心力がかかって汚れが落ちやすくなりますが、生地は濡れているときが一番弱っている状態なのでダメージが強くなってしまいます。
ガシガシ洗いたいものは脱水時間を長めに設定してもOKですが、デリケートなものは脱水時間は短めに設定してくださいね。
NGポイント2.洗剤を入れすぎている
洗濯洗剤は、洗濯物の種類によって適した液性を選び、適した量を守ることが大切です。
洗剤の選び方
洗剤を選ぶときに注目してほしいのが「成分表示」。液性を確認してから、用途に合わせて選ぶのが◎ですよ。
・日常的な洗濯物……弱アルカリ性
・デリケートな素材のものや色落ちが気になるもの……中性
皆さんによく聞かれるのが「粉洗剤と液体洗剤の違い」なのですが、より高い洗浄力を得るなら「粉洗剤」がベストです! 粉洗剤は、水分をすべて取り除いた有効成分のかたまりのようなもの。泥汚れやこびりついたようなハードな汚れに対しては、粉洗剤を選ぶとよいと思います。
粉洗剤は水に溶けにくいイメージがあって敬遠される方も多いですよね。
溶け残りが気になる方は、40度ほどのお湯に先に粉洗剤を溶かしておき、液状にしてから洗剤ポケットに投入する方法がおすすめです。
洗剤の量
「洗剤はたくさん入れるほどよく洗える」と思っている方も多いですが、それは間違いです!
洗剤は、適正量が一番効果を発揮します。
水量を設定したときにすすぎに使う水の量も決まっているので、洗剤を入れすぎてしまうと衣類に残ってしまいます。この洗剤残りは洗濯時の汚れを含んだものになるので、せっかく洗濯してもキレイになりにくいんです。
パッケージの裏側に「水量〇リットルに対して〇g」など、適正量が記載されています。よく確認し、必ず守るようにしてくださいね。
NGポイント3.洗濯槽の汚れを放置している
洗濯槽の掃除は、どれくらいの頻度でおこなっていますか?
あまりに放置しすぎると、ワカメのような黒い汚れが洗濯物につくことがあります。これは、主に黒カビの菌が正体です。洗濯槽を洗わずにしていると洗濯物にも菌が付着して繁殖し、生乾き臭などのイヤなニオイの原因につながります。
とくに湿気が多い夏はカビが発生しやすい時期になるので、月に1回程度は洗濯槽の掃除をおこないましょう。
洗濯槽の掃除方法
1.各洗濯機に対応した洗濯槽クリーナーを用意します。
2.洗濯機の機能で「洗浄コース」を選択し、クリーナーを投入して稼働させます。タテ型の洗濯機の場合は、50~60度ほどのお湯を使うと効果をより高めることができます。
3.洗浄コースが終わった後に、最後にポイントになるのが「空運転」です。洗濯槽の中が空の状態で洗剤も入れずに、キレイな水だけで洗い〜脱水まで1回稼働させて完了です。
このひと手間をすることによって、こびりついた汚れも遠心力がかかって水で飛ばしてくれるので、さらにキレイになりますよ!
見落としがちな“ココ”もチェック
洗濯機は、フィルター(糸くずフィルター・排水フィルター・乾燥フィルター)の汚れも、定期的にチェックしましょう。
そのまま放置してしまうと、ホコリなどの汚れに菌が付着し、ニオイの原因につながります。ホコリを取り除く、使い古しの歯ブラシでこすり洗いするなどして、こまめに掃除してください。
ドラム式洗濯機を使っている方で意外と見落としやすいのが、洗濯槽の上部の内側です。この部分は水に浸かっていないことが多いので、カビ汚れがとどまりやすい場所になります。濡らしたクロスなどで拭き取るなどして、汚れを溜めないようにするとよいと思います。
茂木さんに3つの正しい洗濯機の使い方を教えてもらいました。暑い夏は、洗濯機を回す機会も増えるもの。正しい方法で汚れをすっきりと落としましょう。