教えてくれたのは……李 滝二さん
医療法人藍整会 なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック 理学療法士。
理学療法士免許取得後、スポーツ整形外科で勤務。バレーボールVリーグ(サントリーサンバーズ)のトレーナーも務める。プロスポーツ選手のトレーニング、一般の方のボディメイクなど、幅広く活動している。
時短トレーニングを始めるなら「HIIT(ヒット)」がおすすめ
みなさんは、「HIIT(ヒット)」というトレーニング方法を耳にしたことはありますか? 李さんによると、痩せやすい身体づくりにおすすめなうえに、忙しい人でもチャレンジしやすいトレーニングなのだそうです。
李さん「HIITとは、「High Intensity Interval Training(高強度インターバルトレーニング)」の略で、負荷の高い運動と小休憩を繰り返すトレーニング法のことです。限界まで体を追い込むことで、常に脂肪が燃焼しやすい状態(アフターバーン効果)をキープし、基礎代謝の向上、体脂肪減少、持久力の向上が期待できます。
HIITのやり方は、20秒間の運動と10秒間の休憩を8回繰り返す(1セット2分を2セット行う)だけ。トータルで5分に満たないため、時短トレーニングとしても注目を集めています。」
メニューに決まりはなし!短期間で効果を実感できることも
せっかくトレーニングをするなら、短期間で効率よく効果を得たい人が多いと思います。
HIITを行う際に、どのような運動をするとよいのか、どれくらい継続すると効果を実感できるのかを教えていただきました。
李さん「HIITに、トレーニングメニューの決まりはありません。短時間で追い込める無酸素運動メニューであれば、どのようなメニューを選択しても問題ありません。
例えば、スプリント(足の筋肉を鍛えるトレーニング)だけで8セット行ってもよいですし、スクワットを混ぜても構いません。あくまでも自分を限界まで追い込めるメニューを選択すればOKなので、もしも引き締めたい部位がある場合には、その部位を狙ったメニューを選択してHIITを行うことができます。
HIITによる変化が目に見えてわかるようになるのは、2~3ヶ月からと言われています。ただし、この目安は食事管理(糖質制限など)を行わなかった場合です。食事管理も同時に行った場合、早ければ2週間ほどで結果が出る場合もあります。」
“たった4分”で、ウォーキング約2時間分と同等のカロリー消費に
ダイエットのためのトレーニングを行う際に気になるのが、カロリーの消費量。HIITを2セット(計4分)行った場合とウォーキングでの消費カロリーとを比較すると、大きな差があるようですよ。
李さん「消費カロリーの計算方法としてMETsを使用します。METsとは、運動や日常動作が体に与える負荷を数値で表した指標です。安静時の状態を1とし、そこからどの程度の活動量があるかで負荷を設定します。
METsを用いた消費カロリーの計算式は以下の方法で算出できます。
(METs×体重(kg)×運動した時間(h)×1.05)
HIITの運動強度は、7.0~10.0METsが目安と言われています。従って、HIITの一回あたりの消費カロリーは、運動する人自身の代謝とトレーニング内容によって変動しますが、およそ100~400kcalを消費します。
ふつうのペースのウォーキングで、HIITと同じ消費カロリーを消費しようとすると、体重50kgの人の場合で1時間半~2時間は歩かなければなりません。」
HIITを行うベストなタイミングはいつ?
「効果をより高めるためには、行うタイミングもポイントのひとつになる」と、李さんはおっしゃいます。HIITを行うベストなタイミングはいつなのでしょうか?
李さん「HIITのおすすめのタイミングは、朝が効果的です。HIITにはアフターバーン効果と言って、トレーニング後も脂肪燃焼を高い状態に保つ効果があるため、朝にHIITをすると、1日を代謝の高い状態で過ごすことができます。
ただ、HIITはかなり強度の高いトレーニングになるので、朝から高強度のトレーニングを行うのが難しい方は、お昼や夜に行っても問題ありません。どのタイミングで行ってもしっかりと効果は現れます。また食後に行う場合は、90分以上時間を空けてから行う方が効果的です。」
1日4分のトレーニングで身体に変化を感じられるなら、今まで時間がないからと諦めていた方も「私にもできるかもしれない……!」と、期待が高まりますね。
次回の記事では、自宅でもできる「HIITのおすすめトレーニング」について、具体的な方法をご紹介します。