「白い炭水化物」より「茶色い炭水化物」が圧倒的に健康にいい理由

心と体

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 「白い炭水化物」より「茶色い炭水化物」が圧倒的に健康にいい理由

2023.09.21

自身の健康のため、家族の健康のために、食事内容を見直したいと思っている方も多いのではないでしょうか? 中でも食事のメインとなる“炭水化物”の選び方は健康面を考えるうえで重要なポイント。「おすすめは茶色い炭水化物を摂ること」なのだと、医学博士、循環器内科専門医の藤井崇博先生はおっしゃいます。そこで今回は「茶色い炭水化物が体によいと言われる理由」について教えていただきました。

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教えてくれたのは……藤井崇博(ふじいたかひろ)先生

藤井崇博先生

医学博士、循環器内科専門医。
専門領域は循環器内科で、2021年までの約10年間大学病院、関連病院で臨床、研究、教育に従事。最近では循環器疾患含む内科外来の他にも、SNSやその他コラムなどでの健康に有益な情報の発信にも力を入れている。

健康を意識するなら、炭水化物の「色」に注目

体のエネルギー源となる、ご飯やパンなどの炭水化物。ふだん何気なく摂っている方も多いかもしれませんが、「ご飯やパン、麺類といった炭水化物を食べ過ぎれば、糖尿病をはじめとしたあらゆる病気にかかりやすくなる可能性も。ただし、免疫力を保持するためには適切な量の炭水化物は必要なので、“どのように摂るか”がポイントになる」と藤井先生はおっしゃいます。

藤井先生「まず、炭水化物は『白い炭水化物』と『茶色い炭水化物』に分類して考えます。

  • 「白い炭水化物」:パン、パスタ、ラーメン、うどん、白米など
  • 「茶色い炭水化物」:全粒粉、大麦、オート麦、ライ麦、キヌア、玄米、雑穀類、そば粉など

炭水化物の色に注目
 出典:www.photo-ac.com

結論から言うと、白い炭水化物はおすすめできません。その理由は、白い炭水化物は本来の米や小麦に含まれていたビタミン、ミネラル、食物繊維という大切な栄養分が取り去られ、ほぼ糖質のみとなっているからです。カロリーがあるだけで、栄養がないということになります。

78万人を対象とした研究では、1日に70gの茶色い炭水化物を摂っている人は、ほとんど摂取しない人に比べて死亡率が22%も低いという結果が出ています。
白い炭水化物は、血糖値を上げ、脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化による病気が起こるリスクを高める可能性があることが、数多くの研究から報告されています。

その一方で、精製されていない茶色い炭水化物の多くは食物繊維や栄養成分を豊富に含み、複数の研究で肥満や動脈硬化のリスクをむしろ下げると報告されています
つまり、すべての炭水化物が悪者なのではなく、どのような炭水化物を食べるかがポイントになるのです。

茶色い炭水化物は低GI食品出典:www.photo-ac.com

茶色い炭水化物を摂取すると動脈効果や糖尿病のリスクが下がる理由としては、茶色い炭水化物は低GIであることが多いことが一因にあります。
GIとはグリセミックインデックスの略で、食品ごとの血糖値の上昇の度合いを示す指標を表します。GI値が高いと血糖値が上昇しやすくなり、この血糖値の上下が血管に負担をかけて血管疾患のリスクとなることがわかっています。そのため、低GIである茶色い炭水化物を取り入れることで、動脈硬化による病気のリスクを下げることができるのです。」

健康を意識するためには、「炭水化物の選び方」に注目するとよいのですね!

「白い炭水化物」を食べるときには「量」に注意

とはいえ、「白い炭水化物」をすべて避けることは難しいのが実情……。「白い炭水化物」を食べるうえでの注意ポイントについて教えていただきました。

「白い炭水化物」を摂るときに注意すること
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藤井先生「白米を主食とする日本人からすれば辛い話ではあるのですが、日本人を対象とした白米と糖尿病リスクを検討した研究によると、白米の摂取量が多ければ多いほど糖尿病になる可能性が高くなることが報告されています。こちらの研究論文の中では、下記のような報告がされています。

・男性……白米を食べる量が1日お茶碗2杯以下(お茶碗1杯=160g換算)のグループと比べて、1日2〜3杯食べるグループでは5年以内に糖尿病になるリスクが24%高い。一方で、白米を1日2〜3杯食べる人と、3杯以上食べる人たちで糖尿病のリスクは変わらないことがわかっているため、1日に2杯程度の量が糖尿病のリスクが上がりはじめる境界だと考えられる。

・女性……単純に、白米を食べる量が多ければ多いほど糖尿病のリスクが高くなる傾向にある。白米を1日1杯しか食べないグループに比べて、1日2杯食べるグループでは15%、3杯食べるグループでは48%、4杯食べるグループでは65%も糖尿病になるリスクが高くなる。

こちらは白米に関する研究ですが、他の白い炭水化物でも同様のことが言えるかと思います。炭水化物は控えめに、食べるなら白い炭水化物ではなく、極力『茶色い炭水化物』で摂取することが健康にとって大切だと考えます。現在はコンビニや外食でも炭水化物のバリエーションが増えており、自身で選べる機会が多くなっていると思います。将来の健康のためにも少しずつ白い炭水化物を減らし、『茶色い炭水化物』に置き換えるように意識しましょう。」

「ジャガイモ」を炭水化物のバリエーションのひとつに

野菜の中で炭水化物が多く含まれるのが「ジャガイモ」。藤井先生によると、ジャガイモも上手に食事に取り入れることで、メリットがあるそうですよ。

ジャガイモを上手に取り入れるのがおすすめ
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藤井先生「ジャガイモは栄養価が高く、使いやすい食材です。食べ過ぎには注意が必要となるものの、ジャガイモを使った料理の多くは、糖尿病の方にも安全と研究で報告されています。糖尿病や肥満を予防・改善するためには、ジャガイモを他の野菜と分けて考えるべきですが、白い炭水化物をジャガイモに置き換えれば、ジャガイモは良質な炭水化物の供給源になり、食物繊維やその他の栄養素も豊富に含まれているので、食事の質を向上できます。

ただし、フライドポテトやマッシュポテトは、高カロリー(100gあたりのカロリーの目安は、フライドポテト=237kcal、マッシュポテト=357kcal)で脂質も多く含まれるので、避けた方がよいでしょう。」

「白い炭水化物」から「茶色い炭水化物」へシフトすることが、健康を維持するひとつのカギになるようです。白米を毎日食べている方は、まずは週に数回の玄米から始めてみてもよいかもしれませんね!

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著者

shukana

shukana

小学生、幼稚園児の男の子のママ。出産前まで紳士服業界に携わり、TES(繊維製品品質管理士)の資格を取得。 暮らしをより楽しく、よりラクに過ごすための方法を日々模索中です。

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