教えてくれたのは……管理栄養士・関口絢子さん
料理研究家・管理栄養士・インナービューティスペシャリスト。「健康な体と豊かな心を育む食卓」をテーマに、季節の体の変化や旬の食べ物にフォーカスした食の知恵をお届けします。YouTubeでも体に優しいレシピや知識を発信。
天ぷらは大量の油で揚げずに作れる
今回は、秋の食材で作る「大量の油で揚げない天ぷら」の作り方をご紹介します。天ぷらといえば、熱々の揚げたては最高です。
そのおいしさはそのままに、油の後処理などわずらわしさを解消した天ぷらです。その秘訣は、衣にあります。さっそくご紹介します。
秋野菜は体が喜ぶ!
今回は、秋の健康野菜を集めました。エビの代わりに、ちくわをおいしくプリっと天ぷらにしあげていきます。さっそく、野菜の栄養についてご紹介します。
れんこん
れんこんの切れ目は、少し茶色くなることもあります。これはれんこんに含まれるポリフェノールのタンニン、クロロゲン酸などです。
抗酸化物質でもあるので、れんこんを切ったときに水にさらさずに使ってください。皮がきれいな場合は、よく洗って、皮も一緒に使ってください。
なす
なすの紫色は、ナスニンという抗酸化物質です。疲労の原因になる活性酸素の除去にも役立ちます。
さつまいも
紫色は、アントシアニンというポリフェノールです。さつまいもの皮の周りに黒いベタベタとした、例えば樹液のようながモノがにじみ出てくるようなことがあります。
さつまいもを切ったとき、白い液状のモノが出ます。その成分が皮の外に出たモノが、黒いベタベタとしたモノなんです。ヤラピンといい、便秘解消に役立つ成分です。さつまいもは皮の周りに食物繊維が豊富に含まれています。皮もきれいに洗って、皮ごと使っていきます。
「秋の野菜とちくわの大量の油で揚げない天ぷら」
衣は薄めにつけているので油っぽさがなく、軽いしあがりになります。今回衣に加えるのは酢。酢は衣をサクサクにしあげるひと工夫なので、ぜひ加えてください。
材料
- なす
- れんこん
- さつまいも
- ちくわ
- 薄力粉大……大さじ4
- かたくり粉……大さじ4
- 酢……大さじ2分の1
- 水……80cc
- カレー粉……お好みの量
- こめ油(お好みの油をお使いください)
※こめ油は揚げ物に向いている油です。加熱調理にも強い油なので、油切れもよく、カラッとしあがります。
作り方
1.れんこん、なす、さつまいも、ちくわの下処理を行います。
〈秋野菜の下処理方法〉
・なす:実を回しながら、ヘタを包丁で取ります。ヘタを取ったあとは、縦半分に包丁で切り、さらに半分に切ります。
・れんこん:皮は黒い部分や悪くなった部分を包丁で取り除いて、皮をつけたまま使います。厚めの輪切りにします。
・さつまいも:薄い輪切りにします。
・ちくわ:斜め半分に包丁で切ります。
※れんこんの皮やさつまいもの切り口が多少変色して見えるのは、ポリフェノールなので気にしなくてもOKです。
※なすのヘタはトゲがついていますので、気をつけながらヘタを取ってください。
2.ボウルに小麦粉、かたくり粉を入れ、混ぜ合わせながら、少しずつ水を加えます。水を全て加える前に、酢を全て加えて、混ぜ合わせます。水を少しずつ加えて、さらに混ぜ合わせます。菜箸を衣に通したときに、まとっている固さを目安に水を加えてください。
※水を始めに全て加えると、衣がゆるくなってしまうことも考えられます。様子を見ながら少しずつ水を加えてください。
3.油はフライパンの底から2~3mmくらい入れ、中火にします。野菜を焼く前に衣を少し足して、油が温まったのを確認してください。油が温まったら、衣に通した野菜をフライパンに並べていきます。時々野菜を裏返しながら、頃合いを見て、両面焼いてきます。
・さつまいもは竹串を中まで通して、火の通り具合を確認します。スッと竹串が通っていたら、火が入った印です。
・油が足りなくなったときは、足してください。
・衣の周りに小さい泡が出てきたら油が温まった印です。
4.残った衣にカレーパウダーを加え、ちくわを入れ、全体を混ぜ合わせます。フライパンに残った油の部分にちくわを置きます。ちくわ全体に火が通るように、裏返しながら焼いてください。
全体に膜ができたら、フライパンの上で転がすように炒めます。炒めているとカサ、カサっとした音がします。衣がサクッとしてきた合図です。衣がサクッとしてきたら、火を止めます。
※衣が固まればくっつきませんので、最初はマメにちくわを回して全体を焼きつけるのがおすすめです。
5.油を切って、器に盛りつけたらできあがりです。
今回は「秋の野菜とちくわの揚げない天ぷら」をご紹介しました。衣がサクサクにしあがります。秋野菜のほかにも、ピーマンやにんじん、いつもの天ぷらの具材などを使っていただいても、おいしくしあがります。
▼詳しい作り方は動画で確認できます。
※こちらの記事は元動画の提供者さまより許可を得て作成しております。