トイレも常に一緒。特定の友だちに対して「独占・依存」する子どもの理由と弊害

家族・人間関係

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2023.10.13

臨床心理士・公認心理師のyukoです。小学校高学年から、深く密な関係性を友達に求める子が増えてきます。中でも、クラスや部活でいろんな子と仲良くしながら、少数の子と深く関係を築いていける子もいれば、1人の子にべったり執着してしまう子もいます。その違いはどこにあるのか、なぜ狭く深い関係に執着するのかを考えていきます。

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トイレも移動教室も、四六時中一緒に行動する子たち

女の子同士のトラブルに多いのが、「友達の独占」や、「特定の子への依存」から始まるもの。
小学校高学年あたりから、トイレに行くのも常に一緒を求めたり、お揃いのものを持ったり、秘密を何でも共有できるような友達を作りたい子が増えてきます。

子ども同士の友だち出典:stock.adobe.com

他のクラスメイトとも上手に仲良くできる子もいる一方、特定の子との関係に執着してしまう子もいます。

お互い親密な関係を求め、四六時中一緒に行動し、楽しめている間はよいのですが長くは続きにくいもの。
閉鎖的な関係の中にいると、相手への違和感や苦手なところを見つけるとあっという間に離れたくなってしまいます。

どうして一人の子に執着してしまうのでしょうか。
思春期に突入するときに陥りやすい、依存や執着心について考えてみます。

なぜ一人の子に執着してしまうのか

一人でいるのは恥ずかしいと感じている

一人でいる子は「ぼっち」と言われ、休み時間や昼食時に居心地の悪さを感じやすいようです。
たしかに集団性を重んじる思春期を過ごす中で、一人で行動するのは相当勇気がいるもの。

加えて、「一人でいるのは寂しいこと」と根強く思う子には家庭の価値観が反映されている子も多いです。
親や兄弟が、社交性をよしとし、友達といるのが当たり前と思う環境にいたら、一人にならないよう誰かに執着しやすくなるんです。

「その子と親友の自分」に価値を感じている

おそろいのものを持ったり、常に連絡を取り合っていたり、隠し事は一切なかったり。
わかりやすく「一緒」であることを求めやすい子も執着心と繋がりやすいんです。

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また、魅力を感じる子や周囲から人気のある子と仲良くなると、「その友達と親友である自分」に自信を持つ子もいます。
そう感じると、「親友といない自分」に価値を見出しにくくなり、親友が離れていくと行き場を失ってしまうんです。

誰かの一番にこだわっている

誰かの一番でありたいと強く思う子も特定の子に執着しやすいです。
”お互い数人仲の良い子がいる”などのふわっとした居場所ではなく、”常にこの子の隣は私”という絶対的なポジションにこだわるんですね。

彼氏やパートナーができる年頃になると、親友のポジションはまた変わってくるのですが、その子の世界が「家族」か「友達」に限られるとき、特定の友達に依存しやすくなるもの。

「人間関係における曖昧さ」を受け入れる力を養っていく必要があるんですね。

特定の子への依存による弊害

長く深く付き合っていける親友関係を続けられる子はいますが、そのような子たちははた目から見ても依存関係には見えないケースが多いもの。
二人とも他のコミュニティでの付き合いも大切にしていける子の方が関係性は長続きします。

二人の世界に没頭してしまうと、相手の消極的な面を見たら離れたくなったり、他のコミュニティに目移りしていきます。
そうすると、元のような関係には戻りにくく、気まずい形で別れてしまったり、取り残された方が孤独感を感じてしまうんですね。

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友情においても、恋愛においても、「二人だけの世界」には不都合もつきもののようです。

依存先を増やしていくのが必要

特定の子とくっついては離れ、新たにまた特定の子と「にこいち」になり、離れてしまう。
そのような友人関係を築きやすい子には、友人以外の「依存先」が支えとなります。

好きなアイドルや、没頭できるゲーム、打ち込めるスポーツなど。
相手の気分や感情、環境の変化によって左右されない依存先を複数持っておけると、安定した友人関係を築きやすくなります。

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また、「趣味や没頭できる何かを持っている子」は「友人のみに執着する子」よりも魅力的に思われやすく、相乗効果で新しい人間関係を築きやすくなります。
友人関係を指摘して直させるのではなく、全く違う側面に目を向けさせるのが大切なんですね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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