様々な要因から増加していく「孤食」傾向
夫婦ともにフルタイムで勤務する家庭が増え続ける昨今。
平日の夜、家族一緒に時間をかけて食事を摂るのが難しい家庭は多いようです。
そんな中、TVや動画を前にして、親が作り置いたものや出来合いのものを食べる子が増えています。
中学くらいになると自分で好きな物を買ってきて食べられるようにもなりますよね。
「家族一緒に」となると、遅い時間帯になってしまい、就寝時間にも影響してくる。
かといって、一人で食事をさせ続けてもよいものなのか。
葛藤される親御さんは多くいらっしゃるようです。
孤食が与える影響と、孤食生活のフォローとなる対処法を考えていきます。
「孤食」が与える影響とは?
家族と向き合って話す時間の減少
「一緒に食べても大した会話はない」「家族でテレビを見ながら食べているだけだし」と感じる方は多いようです。
ですが、何気ない時間でも日々重ねているか、そのような時間が全くないかでは、将来子どもが思い描く家族像が大きく異なり、日々のコミュニケーションにも差異がでてきます。
例えば、何か話し合いをしたいとき、家族が集まる時間が決まっていれば自然と食事中やその前後にできますよね。
ですが、家族がバラバラで過ごしている時間が大半の場合は、改まって時間を作るように言い出さなければならず、少し敷居が高くなってしまうんです。
また、「食事の際に相手と目を合わせながら話す」「会話をしながら食事を進める」など、誰かと食事をすることで身につくコミュニケーションの力が育みにくくなるのもデメリットのひとつといえそうです。
食事に対する興味関心が偏る
「これちょっとしょっぱいね」「これ美味しいね。どうやって作ったの?」「好き嫌いしないで一口食べなさい」などの会話がある食卓だと、味覚を共有する時間を過ごせます。
一方、動画やTVを1人で見て食事をしていると、なんとなく口に入れているだけで、しばらく経つと何を食べたのかあまり覚えていないなんてときはありませんか?
また、孤食だと苦手なものを避け、好きなものだけ効率よく食べられる一方、どうしても偏った食生活に陥りがち。
そして大人になってから誰かと食事をする際、「何を食べたいか」「どんなものが好きか」答えにくくなってしまう人も多いんです。
また、満腹感や刺激物に対する味覚が独自の感覚にとどまり、過食や少食に繋がったり、味が濃いものを求めやすくなるともいわれています。
日々の食事に対する興味関心、食欲や味の感覚が、健康的に育まれにくいのは孤食の課題といえそうですね。
孤食生活をどうフォローしていく?
作る楽しさ・シェアする喜びを経験する
平日の流れで、週末もなんとなく各々が好きなものを好きな時間に食べた方が効率的と感じる方もいます。
ですが、週に1日、2日だけでも家族で食卓を囲む時間を作るのがおすすめです。
そして余裕があったら、作る楽しさやシェアする喜びを経験できるとよいでしょう。
例えば、
- ホットプレートで焼肉をしたり、鍋を囲む
- 餃子を一緒に包んだり、デザートの準備を一緒にする
- 献立やメニューを当番制で順番に考える
ただ栄養を摂取するだけではなく、食事に付随した楽しみを経験できると食べる喜びを感じやすくなりますよ。
食育を意識した休日を過ごす
日々の食事以外でも、食事に対する関心を培う経験はできます。
例えば、
- 旅行先で地元の名産を味わう
- 工場見学などをして生産過程を学ぶ
- 品種やメーカーで食べ比べをしてみる
必ずしも食に興味を持たなければいけないわけではないですし、関心を持たずとも健康に生きられる時代でもあります。
ですが、食を通じて学ぶ知識や食事を介して得られる人との繋がりは人生を豊かにするものです。
無理のない範囲で子どもの食体験を充実させていけるといいですよね。