「ひとりっ子はかわいそう?」気にかかる親に伝えたいこと

家族・人間関係

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 「ひとりっ子はかわいそう?」気にかかる親に伝えたいこと

2023.09.09

臨床心理士・公認心理師のyukoです。一人でテレビやゲームばかりしている姿が気になったとき、外で兄弟姉妹同士で遊ぶ子を見かけたとき、「一人っ子だと寂しい思いをさせてしまってるのかな」と気にかかる親御さんは多いよう。一人っ子ならではのよさや一人っ子の子育てで気に留めておきたいことを考えてみます。

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一人っ子と、兄弟姉妹がいる子。どっちの方が子どもにとって幸せ?

女性の過半数が働く中で、多くの子どもを育てるのが難しくなっていることも関係して、一人っ子の割合は年々右肩上がりに。
現在は約五人に一人の子が一人っ子のようです。

一人っ子出典:stock.adobe.com

一方、地域や世代によっては「一人っ子って寂しくないの?」と感じる方もおり、そのような指摘を受けて悩まれる親御さんも多いよう。
また、昔は「一人っ子は自由気ままでわがままになりやすい」などの偏見もありました。

ですが結局のところ、家庭それぞれの育て方や本人の気質によるので、根拠はありません。

一人っ子の家庭、兄弟姉妹がいる家庭それぞれに善し悪しはあるもの。
今回は一人っ子のメリットと、一人っ子を育てる中で気にかけておきたいことを考えてみます。

一人っ子のメリット

親の手も目もお金も十分にかけられる

物価が全体的に高騰しているこのご時世。
ほとんどのご家庭では収支のやりくりを工夫されているのではないでしょうか。

子育てと金銭的な悩みは切っても切り離せません。
まず一人の子を育てるにあたり、小学校までにかかるお金は平均440万円。
その後成人までにかかるお金は約2000~4000万円と言われています。
(*小中高と私立か公立かによって、学費が大きく異なるので幅があります。)

計算出典:stock.adobe.com

単純に考え、兄弟姉妹がいると出費は2倍・3倍と膨れ上がっていくので、どこかで支出を減らしていくしかありません。

また、子育てする上での意識にも影響があります。
下の子がいると、上の子を育てる中でも常に下の子にかかる出費を念頭においておく必要がありますよね。
一人っ子であれば極端な話、老後の資金を確保しておけば、その子にかけられるお金はより作りやすくなるでしょう。

また、習い事の送迎やクラブチームや部活のバックサポート、友達と遊びに行くときの付き添いなど、手をかける余裕も作りやすくなります。

家ではその子のペースでゆっくり過ごせる

兄弟姉妹がいれば一緒にゲームをしたり、遊んだりできる時期もあるかもしれません。
一方で、自身のペースを乱される不満や兄弟げんかのストレスも避けては通れません。
人数が増えれば、遊びを共有する楽しさもあれば、思うようにいかない時間も多いもの。

一人っ子であれば、家では思う存分自分の好きなように過ごせますよね。
それに、旅行や外出もその子の希望が叶いやすく、興味関心に沿った経験をさせてもらいやすくなります。

のびのびと無理ないペースで過ごしていけるのは一人っ子のメリットと言えそうですね。

一人っ子を育てる中で気にかけておきたいこと

子どもの巣立ちにくさを理解しておく

良くも悪くも、一人っ子は心配事も愛情も一身に受けやすくなりやすいもの。

親は「好きにしていいよ」と言っていても、子どもが親の身を案じて親離れしきれないケースをよく見かけます。
また就職先や結婚相手に関しても、親が考える「こうあってほしい」「こうするべき」を察して、身動きが取りにくくなる方もいます。

考える子ども出典:stock.adobe.com

ひいては、親の老後について一人で考えていかなければならない負担も生じます。

近くなりやすい距離感を自覚し、少し放任すぎかな?と感じるくらいの気持ちで自立を後押しできるとよいでしょう。
また同時に、「自分のことは自分で」という認識を親子それぞれの間で育んでいけると負担を感じにくくなります。

長く深く付き合っていける子が作れると尚よい

親同士仲が良く同年代の子がいると、子ども同士で幼馴染になりやすくなります。
また、従兄弟姉妹の年齢が近く、兄弟姉妹同様の関係性を築いている方々もいます。

幼馴染出典:stock.adobe.com

誰か一人でも、深く親密な関係をもてると、一人っ子特有の寂しさを感じにくくなります。
それに、家庭の話や親の相談もできる相手を作っておけると、いざというときの安心にも繋がりますよね。

長く同じ地域にいたり、親同士が連絡を取り続けたり、仲良くするきっかけを作り維持していけるとよいでしょう。
 

参考資料:
国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査Ⅱ部 夫婦調査の結果概要:第2章 夫婦の出生力」

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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