お話を聞いたのは……人力車の旅人 ガンプ鈴木さん
1990年、京都府生まれ。23歳の時に人力車と出会い、2016年から世界初となる人力車による世界5大陸走破にSNSで動画を発信しながら挑戦中。アジア、ヨーロッパ、オーストラリアを巡り、コロナの影響でアメリカ横断を中断。一時帰国し北海道から沖縄までの3000kmを縦断。その後ニューヨークからロサンゼルスの5100キロを横断達成。YouTubeチャンネル登録者数約6.3万人、TikTokフォロワー約35万人、Instagramフォロワー約13万人。
海外で出会った印象的な人たち
――海外を旅する中で、多くの人との出会いがあったと思います。そこで感じた、日本と海外の人々の違いについて聞かせてください。
海外で旅をしているときは、「何やってるの?」と聞かれて、人力車で旅をしていると答えると、「めっちゃいいね!」みたいな肯定的な反応が返ってくるんです。日本の場合は、否定的とはいかないけど、心配した感じの反応が返ってくることが多かったです。それはもう歴然とした違いですね。
――やはり、肯定的に反応されるほうがモチベーションは上がりますか?
「めっちゃいいね!」と言われると、人生を謳歌できているなって感じることが多かったです。あと、会話がシンプルですよね。人力車で旅してると言うと、「amazing!」って。それ以上のことはあまり聞かれないというか、「楽しんでね!」みたいな。日本だと、そこから質問攻めです(笑)。「お金とか大丈夫ですか?」とか「ごはん、食べられていますか? 泊まるところはありますか?」と。僕もいろいろ聞きたくなるタイプなのでわかるんですけど(笑)。海外の人はシンプルな考えの人が多いのかなと感じました。
――旅をしている中で、日本と海外の女性の違いについて感じたことはありますか?
海外を旅していると、一人で旅をしている女性が多いなと感じます。僕は人力車を引きながら歩いて旅をするんですけど、同じように歩いて旅をしている女性がけっこういるんです。最近だと、四国でお遍路をしているときに、ポーランド人の女性と出会いました。
彼女は、10年間で4万キロを歩いて旅したと話していました。4万キロって、地球1周分なんです。地球1周分を自分の足で歩いてきたという女性に「なぜやっているの?」と聞いたら、「人生は好きなことをした方が良い」って。すごい人だと思いました。
アメリカ横断中も、自転車の一人旅をしている女性に出会いましたが、歩いて旅している日本人女性には出会ったことがないです。海外の女性はパワフルで、野宿に対しての抵抗があまりないみたいですごいです。
――特にパワフルだと感じた女性はどんな人たちでしたか?
アメリカに住んでいる日本人のお母さんたちはパワフルでしたね。アメリカ人に負けていないくらいパワフルでした。シカゴでお世話になったふみかさんは、シカゴ生まれの日本人なんですけど、ガンガン値引き交渉をしていたし、理不尽なことがあったら英語で相手をめっちゃ詰めてました。「日本人はなめられるから。私、なめられたくないのよ」って。海外に住んでいる日本人女性はみんなパワフルでしたね。
ニューメキシコで出会ったようこさん夫婦とは不思議なご縁が
――海外在住の日本人女性とも、旅先でたくさん出会ったのですね。印象に残っている方はたくさんいますか?
ニューメキシコ州で、インディアンジュエリーショップをやっているようこさんという女性との出会いも印象的でした。旦那さんがネイティブアメリカンなんです。フォロワーさんが教えてくれて、そんな場所に日本人がいるなら、と会いに行ったら民泊もさせてくれたんです。
ようこさんの家を出た後、人力車が壊れてしまい旅が中断するトラブルが起きました。僕一人で考えても答えがでなかったので、ライブ配信でみんなからアドバイスをもらおうと思ったら、「インディアンジュエリーの職人さんだったら溶接できるのでは?」というコメントがきて、ようこさんに電話したんです。
――人力車を直してもらおうと?
「ボルトが折れちゃったんですけど、溶接とかできますか?」って聞いたら、「旦那に聞いてみるわ」って言ってくれて、ようこさんの家まで折れたボルトを持って行ったんです。溶接してもらい、無事に人力車が直りました。そのときに、ようこさんの旦那さんのスティーブンが、「ガンプのために、指輪を作ってあげるよ」とターコイズの指輪作ってくれたです。ターコイズには、“旅のお守り”という意味があるそうなんです。作っているのを見ているときから、「欲しい」という気持ちが湧いてきて、迷わず購入しました。
――ガンプさんのために作ってくれたジュエリーなんですね。すごくお似合いです。
実は、ようこさんご夫婦とは不思議なご縁があるんです。お二人から、「これを見てほしい」と携帯の写真を見せられたんです。そこに写っていたのは、3年前の僕。2019年にアメリカ横断に挑戦していたときのものでした。コロナで中断になってしまったのですが、なんと、そのときにもお二人に会っているんです。スティーブンがそのときに写真を撮っていて、指輪を作りながら「どこかで見たことがあるな」と思っていたらしいです(笑)。指輪を作ってもらい、人力車が直った後に、二人が「この写真はガンプじゃないか?」ってなって。「実は、3年前にも会っているんだよ」と言われたときは驚きました。こんなに広いアメリカで! って。ご縁ってあるんだなぁと。
――素敵なご夫婦にもたくさん出会うと、結婚願望が膨らんだりしませんか?
僕、今33歳なんです。もともとは、35歳までに結婚したいなと思っていましたが、最近その目標を40歳に上げました。これからアフリカとか南米に行く予定があるので、その間に彼女を作ったり結婚したりするのはどうなのかなぁと。今は、修行です(笑)。旅をはじめるとそっちに夢中になってしまうから、相手にも申し訳ないですしね。
実際、海外で旅している間は、何度もホームレスと勘違いされるぐらい荷物を積んでいて、「クレイジー」ってめっちゃ言われるんですよ(笑)。多分、アメリカで1番言われた言葉は「クレイジー」だと思います。でも、これはいい意味です。「最高だね!」みたいな。 僕、運はめっちゃ良いし、今を楽しみながら生きているので、きっと結婚とかも良きタイミングでご縁があるんじゃないかな。
お話を聞きながら、旅先での素敵な出会いもガンプ鈴木さんの人柄が引き寄せているんだろうなと感じました。お話をしているだけで、ポジティブなパワーを充電させてもらっているような気持ちになる人って、なかなかいません。旅先で出会った方たちは、みなさんそんな気持ちになったのではないでしょうか。次回は、ガンプ鈴木さんから、saita読者へのメッセージが詰まったインタビューです。
【ガンプ鈴木さんインタビュー連載】
第1回:人力車でアメリカ横断達成した「ガンプ鈴木さん」が旅をはじめるキッカケになった“母親の一言”
第2回:“人力車の旅人”ガンプ鈴木さんに聞いた。辛いときに背中を押してくれる「おかんの口ぐせ」
第3回:“衝撃的な失恋”と“世界を旅する目的”
第4回:(当記事)「一人で旅をしている女性が多い」人力車で世界を旅するガンプ鈴木さんが出会った“パワフルな人々”
第5回【11月6日公開予定】:「あなたが楽しければ家族も楽しい!」人力車の旅人ガンプ鈴木さんが40代女性に伝えたい幸せになる考え方