“衝撃的な失恋”と“世界を旅する目的”【人力車の旅人・ガンプ鈴木さんインタビュー】

家族・人間関係

2023.10.31

人力車を引きながら世界を旅する「人力車の旅人」ガンプ鈴木さんを知っていますか? インスタグラムのフォロワー数は約13万人、TikTokは約35万人のフォロワーがいます。2022年にNYタイムズスクエアを出発し、153日かけて約5100kmのアメリカ横断を果たしたガンプ鈴木さん。SNSを通じて発信されるその旅路を見た人たちは、ただ旅を応援するだけではなく、そのひたむきな姿や魅力的な人柄に心を掴まれていきます。今回は、そんなガンプ鈴木さんのインタビュー3回目です。

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お話を聞いたのは……人力車の旅人 ガンプ鈴木さん

ガンプ鈴木さん

1990年、京都府生まれ。23歳の時に人力車と出会い、2016年から世界初となる人力車による世界5大陸走破にSNSで動画を発信しながら挑戦中。アジア、ヨーロッパ、オーストラリアを巡り、コロナの影響でアメリカ横断を中断。一時帰国し北海道から沖縄までの3000kmを縦断。その後ニューヨークからロサンゼルスの5100キロを横断達成YouTubeチャンネル登録者数約6.3万人、TikTokフォロワー約35万人、Instagramフォロワー約13万人。

人力車の旅に出会うきっかけになった失恋

ガンプ鈴木さん

――常にポジティブなイメージがあるのですが、そんなガンプさんが落ち込むときってどんなときですか?

落ち込むことはほとんどないんです。失恋したときとかかな(笑)。今は旅が中心になっていて、プロの独身みたいになっちゃっているので、落ち込むこともないですね。

――最後に悩んだのが失恋をしたとき、ということですか?

人力車の旅をする前ですが、当時付き合っていた彼女に300万円を取られてしまったことがあるんです。3年間付き合った彼女と世界一周に行くために貯めていたお金です。急に世界一周に行きたくないと言われて、1回離れることになりました。僕は、一人でも世界一周に行くつもりで準備をしていたのですが、「結婚資金でもあるからお金を管理したい」と言われてお金を預けたら、音信不通になったんです。

――3年も付き合ったのに!?

当時は、3年間付き合った女性に裏切られたっていうことにすごく落ち込みました。お金というよりは、裏切られたということに。ただ、人間ってどん底まで落ちたら本当に這い上がるしかないんですよね。しかも僕、どん底まで落ち込んだらなんか楽しくなっちゃったんです。ここまでボロボロになったら逆におもしろいなって(笑)。ここから人生楽しめば、この辛い経験って全部おもしろい話に変わるなと思ったんです。

――底抜けにポジティブですね。

「300万円取ってくれるような人に出会えてありがとう」とまで思っちゃったんですよね。人生の中で、300万円取られる人ってあまりいないと思うんです。落ち込むとか怒るとかではなく、逆にありがとう! というマインドに変えてネタにしちゃおうって。そのおかげで、人力車の旅に出会えたので、結果オーライです。

――お母さまはそのときもやはり「しゃあないやん」と言ったんですか?

さすがに300万円って金額が大きいから、「取り返しに行こう!」とか、「裁判とかしたほうが良いんじゃない?」って言うと思ったんですよ。でも、安定の「しゃあないやん」でした。しかも、「あんたが悪いんやで。あんたの責任やで」と僕が怒られました。

ガンプ鈴木さんの“旅の目的”

ガンプ鈴木さん

――お母さま、さすがすぎますね。

僕、1人っ子母子家庭で育っていると言うと、「なんでこんな風に育ったんですか?」という質問がめちゃくちゃ来るんですよ。ライブ配信をやると、毎回必ずこのコメントがきます。おかんもライブ配信を見ているんですけど、以前おかんが、「子育ては放置プレイ」ってコメントしていたことがあります。確かに、ずっと放置されていた感じはあります(笑)。

――言葉通りの「放置」ではないように思うのですが。

僕のアメリカでの人力車の旅が「JUST FOR FUN」という映画になって、その上映会におかんがきたんです。おかんに、「どんな気持ちで見ていた?」と質問をしたら、「自分の息子と思わないようにしていた。ガンプ鈴木という人がいて、人力車の旅をしているんだなという目線で見ていました」と答えていました。息子という気持ちで見ると感情が入ってしまうからって。おかんの言う放置っていうのは、そういうことだと思います。

――ガンプさんの気持ちを尊重しているんですね。どんなときも大きな気持ちで見守ってくれているお母さまに対して思うことは?

僕は、おかんが困ったときはすぐに助けるという気持ちでいます。33歳になったからこそ、そう思えるようになったというのはありますが。あんまり褒められたこともないし、「しゃあないやん」っていうような感じで育てられてきたからこそ、自分でどうにかしようっていう気持ちは強く育ちました。

何かが起きたときにどうやって前に進むか。いろいろな人に相談したとしても、最後に決めるのは自分だから、自分で考えて自分で前に進もうと決めて生きられる強さが身についたことに感謝しています。

ガンプ鈴木さん

――「しゃあないやん」の他に、お母さまがよく言う言葉ってありますか?

人力車で世界一周に行きますと言ったときに、「それって何の目的でやるの?」と聞かれました。「目的と手段を履き違えるな」ということをずっと言われ続けてきたんです。「目的と手段を履き違えてるときが多いから、ちゃんと目的と手段を理解してやった方がいいよ」って。そのおかげで、僕はわりと素直な人生が送れているのかなと思うことはあります。

――「目的と手段」ですか。改めて、人力車の旅の目的はなんですか?

これまで何度も聞かれてきましたが、今は「JUST FOR FUN」。楽しいからやっていますと大きな声で言えるんです。最初の頃は、「人力車で異文化交流をして、伝統文化を広めていきます」なんて、きれいごとを述べていたこともあります。もちろんそういう気持ちもあるけど、人力車の旅をやっている1番の理由を聞かれたら、それはもう「楽しいから!」でしかないんです。

――楽しいから! と胸を張って言われると、すごく刺激を受けます。

人生は楽しんだ方が良いよね! ということを自分自身が感じているし、それを僕の活動を通じてたくさんの人に気づいてもらうことが目的。その手段が人力車の旅なんです。目的と手段をしっかり分けられたのも、おかんのおかげです。

ガンプ鈴木さん

どんなお話を聞いても、底抜けにポジティブなガンプ鈴木さん。持って生まれた才能でもあると思いますが、こんな風に考えられたら、人生をより楽しめそうだなぁという気持ちにさせてくれますよね。そして、やっぱりお母さまも素敵! 次回は、人力車の旅を通して感じたことについてのお話です。

【ガンプ鈴木さんインタビュー連載】

第1回人力車でアメリカ横断達成した「ガンプ鈴木さん」が旅をはじめるキッカケになった“母親の一言”
第2回
“人力車の旅人”ガンプ鈴木さんに聞いた。辛いときに背中を押してくれる「おかんの口ぐせ」
第3回
:(当記事)“衝撃的な失恋”と“世界を旅する目的”
第4回
「一人で旅をしている女性が多い」人力車で世界を旅するガンプ鈴木さんが出会った“パワフルな人々”
第5回
【11月6日公開予定】:「あなたが楽しければ家族も楽しい!」人力車の旅人ガンプ鈴木さんが40代女性に伝えたい幸せになる考え方

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