多くの人が勘違いしている「幸せな人生」とは【心理学博士から学ぶ幸せな生き方】

家族・人間関係

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2023.11.03

あなたは今、自分のことを好きですか? そして自分が「本当にやりたい」と思うことをできているでしょうか。年齢を重ねてくると、やるべきことに毎日追われ、自分のことに目を向けることを忘れている人も多いかもしれません。心理カウンセラー古宮昇先生のもとには、自分が好きになれず、あまり幸せを感じないという40代女性も相談にいらっしゃるそうです。「自分のことを好きになる」。簡単そうで実はとても難しいこのテーマにどう向き合えば良いのか、古宮先生に詳しくお聞きしました。

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教えてくれたのは……古宮昇(こみやのぼる)さん

古宮昇先生

神戸市にあるカウンセリング・ルーム輝(かがやき)代表。心理学博士・臨床心理士・公認心理師。
前大阪経済大学 人間科学部教授。前ニュージーランド国立オークランド工科大学心理療法学大学院客員教授。
カウンセラー歴は、日・米・ニュージーランド通算28年間以上。来談者数はのべ約6000名を超える。
著書は『プロカウンセラーがやさしく教える 人間関係に役立つ傾聴』など多数。

40代は人生のターニングポイント

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――古宮先生から見て、40代女性の多くが抱える問題はどのようなものが多いのでしょうか。

大きく分けると、人間関係の断絶による孤独や苦しみといったものと、自分が好きになれず、生きていてあまり幸せを感じない。この2つで悩んでいる方が多いように思います。

――その悩みは、20代30代よりも、40代になったことでより強くなるという傾向があるのでしょうか。

20代の頃に何に悩んでいて、25歳は、30歳は……というデータを取っていなくては、その質問にお答えすることは難しいです。私はこれまでそのような調査をしたことはなくて、またそのような大規模な心理学の研究も知りません。ですので、ここからは、私がカウンセラーとして人々にお会いしている感覚のお話になります。

――確かにそうですよね。ご丁寧にありがとうございます。年齢ごとに悩みの種類が変わるということはありますか?

それはあります。例えば、20代は自分の外側のことで忙しい時期。就職のこと、恋愛のこと、メイクやヘアスタイルのこと。20代は、とにかくいろいろと考えたり悩んだりすることが多い時期です。30代は、結婚、出産などで忙しく過ぎる時期。そして40代は、これまで以上に自分に関心が向いてくる年齢なのではないのかなと思います。

――自分に関心が向いてくる年代ということは、自分に集中してより良くしようと思えばできるタイミングということですか?

そう思います。今や人生100年時代。40代ということは、折り返し地点ですから、そう考えると、40代というのは人生の大きなターニングポイントになると考えても良いですね。

幸せを感じるために必要なこと

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――先生が考える“幸せな人生”とはどのようなものでしょうか。もし多くの人が勘違いしていると感じることがあれば教えてください。

私たち人間は、幸せを感じるためにはそこに“意味”を求めます。例えば、犬は飼い主にかわいがられたら、それだけでうれしいわけです。でも、人間はそれだけで幸せだとは思えません。誰かの役に立てたからうれしいとか、生き甲斐や充実感というものが必要で、衣食住が満たされていたら幸せという単純なものではないんです。成長している、誰かの役に立てているということを感じることで、初めて幸せを感じられるんです。これは、人間だけが持つ非常に重要な“思い”です。

――“幸せ”と感じられない人たちは、成長や充実感が満たされていないということなんですね。

まわりから見ていると満たされているように見える人でも、幸せではないと感じている人はたくさんいます。それはその人自身が、成長や人の役に立っているという充実感を感じられていないということになります。

――それを感じるためにはどうしたらいいのでしょうか。

幸せを感じるためには成長をしたという充実感を得る必要があります。そのためには挑戦が必要なんですね。今までできなかったことに挑戦して、それを乗り越えたときに、人は自分の成長を感じることができます。安穏と暮らしているだけでは成長を感じることは難しいので、挑戦のない生活が続くと人は生きていることがつまらなくなるんです。

挑戦というのは、自分がこれまでにやったことがないことに挑むということなので、もちろん失敗や挫折にも直面するわけです。そして、それが必要なんです。トップアスリートがさらに上を目指していくのが良い例です。「この辺でいいや」という人は一流になっていませんよね。

自分にとって大事なことを知る

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――妥協をしてはダメということですね。

いえいえ。これは、「妥協してはいけません」「成長をしなくてはいけません」というメッセージではありません。私たちは、自分にとって本音で大事にしたいことがあるんです。大事に“すべき”ことではなく、本音で大事に“したい”ことです。人は本音で大事にしたいことがあると、成長したいと感じ、自らするんです。

例えば、メジャーリーガーの大谷選手の活躍、すごいですよね。彼は、“すべき”だからやっているのではなく、“したい”からやっています。成長するのが立派なことだからやっているわけではなくて、やりたいからやっている。私たちは、自分のやりたいことについては、自ら挑戦を求めるものなんですね。

――本音で大事なことに挑戦した場合は、失敗したり挫折したりしても自分自身の力で乗り越えられるということですか?

そうです。人は、本音で大事なことに挑戦した場合、もしもそれで失敗や挫折を経験してもちゃんと乗り越えられるんです。なぜなら人は、本当に大事なことは諦めないから。成功するまでやり続けることができるんです。
ですので、“自分にとって本音で大事なこと”を知って、それを人生の中心に置いて生きていくということがすごく大事だと思います。

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家事、育児、仕事をこなすことで精いっぱい。「これをやらなくちゃ」「こうすべきだから」という気持ちで過ぎていく日々の中で、「自分が本音でしたいこと」について考えたことなんてなかったなぁ……。そう感じた人は少なくないはず。「今、自分が一番したいこと」。せっかくこの記事を読んだのなら、そのことについて自分自身と向き合う時間を持ってみるのも良いかもしれません。
 

【心理学博士 古宮先生さんインタビュー連載】

第1回:(当記事)多くの人が勘違いしている「幸せな人生」とは【心理学博士から学ぶ幸せな生き方】
第2回
“自己肯定感を下げるもの”で溢れる世の中で人と比べず生きる方法【心理学博士から学ぶ幸せな生き方】
第3回【11月11日公開予定】
:自己肯定感の低さは幼少期の体験がキッカケに。自己肯定感が高まる「すべてうそ」の考え方
第4回
【11月15日公開予定】:「人に与えたものは返ってくる」のべ6千人の相談を受けた心理学博士が語る“自分を好きになる2つの方法”
第5回
【11月19日公開予定】:「あなたが幸せならまわりも幸せになる」6千人の相談を受けたカウンセラーが“40代女性に伝えたいこと”

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著者

山田かほり

山田かほり

フリーライター歴10年。読んだ人の心にふわっとした空気が流れるような記事や情報をお届けできるよう心がけています。

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