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“自己肯定感を下げるもの”で溢れる世の中で人と比べず生きる方法【心理学博士から学ぶ幸せな生き方】

家族・人間関係

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2023.11.07

“ありのままの自分を肯定する感覚”という意味の「自己肯定感」という言葉をよく聞きますが、あなたの自己肯定感は高いでしょうか。自分で自己肯定感が低いと認識している人は、なぜそう感じてしまうのでしょうか。心理カウンセラー古宮昇先生のインタビュー、2回目となる今回は「自己肯定感」についてのお話です。自己肯定感を上げるために、まず最初に意識するべきことについて聞きました。

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特集:40歳からの「自己肯定感」の育てかた

教えてくれたのは……古宮昇(こみやのぼる)さん

古宮昇先生

神戸市にあるカウンセリング・ルーム輝(かがやき)代表。心理学博士・臨床心理士・公認心理師。
前大阪経済大学 人間科学部教授。前ニュージーランド国立オークランド工科大学心理療法学大学院客員教授。
カウンセラー歴は、日・米・ニュージーランド通算28年間以上。来談者数はのべ約6000名を超える。
著書は『プロカウンセラーがやさしく教える 人間関係に役立つ傾聴』など多数。

世の中は、自己肯定感を下げるもので溢れている

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――「自己肯定感を上げる」ということをメディアなどでよく目にしますが、自己肯定感が低いと感じている人が多いように感じます。それはなぜでしょうか。

私たちが生きているこの社会は、とにかく「今のあなたではだめです」というメッセージで溢れています。子どもの頃からあまりにそれが当たり前にあるので、みなさん気がついていないかもしれません。そういったメッセージを受け取りながら育ってきているので、自己肯定感が低いと感じる人が増えてしまうのは仕方がないんです。

――社会にメッセージが溢れているというのは、どういうことですか?

例えば、化粧品売り場に行くと、肌がつやつやで唇がぷるぷるな女優さんのポスターが貼ってあります。これは、「あなたもそうじゃなくてはいけない」というメッセージになります。「今のそのままのあなたじゃダメですよ。ほら、こんなに美しい肌じゃないでしょ?」と。

――私たちは、無意識にそういう捉え方をしているということですか?

そうなんです。「私もあんな風にきれいになれるはずだから、無理してでもこれに近づかなければいけない」「こういう女性こそが立派」だと思い込んでしまうんです。でも、これはまだ良い方。日常ではさらに、ママ友がSNSにアップしている上手に作られたキャラ弁や豪華な夕飯を見て、「私も同じママとして、こうでなくてはならないんだ」という気持ちになる。見えている一部分を見て、自分にスーパーウーマンになることを課してしまうんです。でも、そんなことは誰にもできないことなんですよ。

人と比べることをやめたいと思う人ができる“2つのこと”

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――なぜ人は、他人と自分を比べてしまうのでしょうか。

子どもの頃から常に自分と人を比べたり、自分が上か下かを気にする環境の中で育っているからです。まず、小学校に入ったら成績で人と比べられるわけですね。「算数で50点をとったけど、隣の子は70点だ。私は劣っているんだ……」という気持ちになる。このとき「今回は50点だったけど、次は頑張ろう」と、他人と比べず自分の結果だけを見られないのは仕方がないことなんです。なぜなら、今のままじゃダメだと言われて育った親に育てられ、今のあなたじゃダメだと言われて育てられた教師たちに育てられてきているのですから。

今の世の中は、本当に「今のあなたじゃダメだ」「もっと良くならなきゃダメだ」「ほら、あそこにあんなすごい人がいる」「こんなに立派な人がいる」「あなたもそうじゃないとダメだ」というメッセージに溢れてるわけです。

――人と比べてしまうことをやめたいと思っている人は多いはずです。まず自分で取り組めることはありますか?

2つあります。まず、“今のあなたじゃダメだ教”にさらされているということを知ること。そしてそれは、達成不可能なプレッシャーであるということを理解することです。
みなさんが人と比べて自分に課した目標をすべて達成するのはそもそも不可能です。だって、そんな目標を達成できている人は誰もいないから。人の一部分だけを見て、それを同じように達成しなければならないわけではない、ということをまず知ってほしいです。

何があっても自分に優しく

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――「達成しなくてもいい」、「こうでなければならない」をやめるというのはとても大事ですね。

あなたにとって、とても大切な親友が傷ついていたらどうしますか? 例えば、離婚を切り出されたと親友が泣きながら電話をかけてきたとします。あなたはなんと声をかけますか? 「わかってたわ。自分磨きもしてないんだから、そうなっても当然よ」とは言いませんよね? 「辛いね……。大丈夫?」と話を聞き、落ち込む親友をなぐさめると思います。そうではないですか?

――そうだと思います。

ところが、自分自身に対してはどうでしょう。「自分磨きもしてない私なんて、こうなっても当然よ」と、自分を叩き潰すようなことをする人があまりに多い。そうではなくて、大事な人が傷ついたときにするように、自分自身にも優しくしてあげてほしいんです。

――確かに、自分自身に対してはそんな風に優しくするという発想がなかったです。

これができない理由のひとつに、“自分を否定しないとダメ人間になる”という心理があります。「自分がダメだ、自分がダメだ」と言い続けなければ成長しない。自分をもっと追い込まなくては怠惰に、ダメ人間になるという信念を持っている人が多いんです。でもね、それはうそなんですよ。自分を否定すればするほど、いつか肯定できるというのはうそなんです。それは幻想です。

――スポ根のように、きつく苦しくではなくても良いんですね。

そうです。私たちは、今の自分を認めて愛すれば愛するほど、もっと良い自分になりたいと思うんです。ということは、怠惰になんてならないんですよ。自分を否定して追い込まなくても、私たちは成長をやめたりしないんです。
だからこそ知ってほしいです。何があっても、自分に優しくしてください。きっとこれも、完璧になんてできませんので、自分に優しくしてみようと、まず思うことが大きな1歩です。それに、人はできないことがあって良いんです。私は、人が自分のために努力すること自体が、とても尊いことのように思います。

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今の自分を認めて愛する。それを難しいことに感じますか? 簡単にできると感じますか? 頭ではそうするべきだとわかっていても難しいですよね。ただ、古宮先生のお話を聞いて、自分を否定して良いことなんて何もないんだということはわかったので、できるだけ自分を認めてあげる、愛してあげるということを強く意識してみようと思います。
 

【心理学博士 古宮先生さんインタビュー連載】

第1回多くの人が勘違いしている「幸せな人生」とは【心理学博士から学ぶ幸せな生き方】
第2回
:(当記事)“自己肯定感を下げるもの”で溢れる世の中で人と比べず生きる方法【心理学博士から学ぶ幸せな生き方】
第3回
自己肯定感の低さは幼少期の体験がキッカケに。自己肯定感が高まる「すべてうそ」の考え方
第4回
【11月15日公開予定】:「人に与えたものは返ってくる」のべ6千人の相談を受けた心理学博士が語る“自分を好きになる2つの方法”
第5回
【11月19日公開予定】:「あなたが幸せならまわりも幸せになる」6千人の相談を受けたカウンセラーが“40代女性に伝えたいこと”

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著者

山田かほり

山田かほり

フリーライター歴10年。読んだ人の心にふわっとした空気が流れるような記事や情報をお届けできるよう心がけています。

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