教えてくれたのは……心理カウンセラー・気功師範 佐藤城人さん
過去にアルコール依存症を患った経験があり、克服する過程で40代に再度大学に入学、心理学と出会う。
インナーチャイルドを抱える方々を中心に、これまで10年間で約5000名様の悩みをサポート。特製タロットカードやカラー&アートセラピー・NLPを取り入れたセッションを得意とする。2019年(令和元)カウンセラーを養成する一般社団法人インナークリエイティブセラピスト協会を設立。
1.「自分だけ」「みんなは~だ」「いつも~だ」
たとえば、意に反して残業をしないとならないときに「残業をやらされるのは、いつも私だけだ」と思っていませんか?これは「今この瞬間に起こっていること」に意識が向いていません。
心理学者セリグマンは、ストレスフルな人の話し方として下記の3点を挙げています。
1.個人的:「私だけ」「自分以外」「みんなは」
この言葉は、自分だけ異なると捉えているため、受け身の被害者意識が生じます。
2.永続的:「いつも」「常に」「絶対」「必ず」
3.広汎的:「すべて」「どれもみな」
2と3に共通することは「自分の置かれた状況は変えられない」と思っていること。「変わりたい」と願っていても、この言葉を使っていては変わることができず、自己肯定感もなかなか上がりません。
上記の言葉を口にするときは、いったん立ち止まってみてください。落ち着いて考えると、「そうではない」ことに気づけるでしょう。
2.「してはダメだ」「だと困る」「してはいけない」
「子育てを間違えてはダメだ」と「子育てがうまくいくといいな」。同じ意味合いのように見えるかもしれませんが、2つの言葉には違いがあります。
前者を「問題回避型」、後者を「目的志向型」といい、自己肯定感が低くなりやすいのは「問題回避型」のほうです。
目的志向型
「子育てがうまくいくといいな」のように、目標・目的達成に向かって進もうとする話し方。「成功・合格・安心・リラックス」などをゴールとすることもあります。
問題回避型
「子育てを間違えてはダメだ」のように、起きてしまうと困る問題点を挙げて「ダメ」だと否定(回避)する話し方。「失敗・不合格・不安・緊張」などの問題について、「困る・嫌だ・してはいけない」と否定的に捉えます。
「動物園のパンダをイメージしてはいけません」と言われても、ほぼ全員パンダをイメージすることでしょう。このように「××してはいけない」と言われても、××に意識が向いてしまうのです。
「ミスしてはいけない。緊張してはいけない」と言われても同じようにミスをしてしまい、緊張感が取れない理由です。これではなかなか自己肯定感もアップしませんよね。
「××はダメ」ではなく「〇〇をしよう」と言い換えてください。
自分に「OK」を出すことで自己肯定感を高める
ただし、自己肯定感を高めるためには「この言葉を使うからダメなんだ」と捉えないことが大切です。
「××はダメ」ではなく「〇〇をしよう」と言い換えることをお伝えしましたが、「××はダメ」といった話し方が問題回避に最適である場面もあるため、どちらかだけに限定する必要はないのです。
自己肯定感が低いと、どうしても「〇か×か」の白黒二択になりがちですが、「〇もOK、×もOK」と捉えると、肩の力が抜けると思います。
「自分にOKを出すこと」が安心や余裕となり、自己肯定感を高めるでしょう。