「喧嘩がないから大丈夫」はあてになる?
子どもに問題行動があったり、環境への適応が難しいとき、背景に親子関係の問題が隠れているケースは少なくありません。
そんな中、「うちは喧嘩しないくらい仲がよいから大丈夫」と認識している親御さんは多いです。
もちろん、家庭全体の雰囲気が柔らかく喧嘩に至らないような家族や、ライトに互いの意見を言い合えている親子もいますよね。しかし、「喧嘩しない=親子関係には問題ない」とは言えず、むしろ喧嘩がないことが問題になっている親子もいらっしゃいます。
今回は、「喧嘩をしない親子」の中で、少し気をつけておきたいパターンとその対処について考えていきます。
喧嘩しない親子、注意したいパターンについて
子どもが親の機嫌を察している
親が怒りそうなときやピリッとした雰囲気を察していたら喧嘩に発展しませんよね。これにはよいパターンとよくないパターンがあります。
よいパターンは、「ママ忙しそうだから手伝おうかな」「疲れてちょっとイライラしているんだろうな」と、相手を理解して気遣っている場合。
よくないパターンは、「今言いたいことを言ったら怒るだろうな」「この話題はタブーだろう」と、機嫌をくみ取って要求や発言を控えている場合。
表面上で違いを区別するのは難しいのですが、ヒントになる質問があります。
子どもに対して、「ママ(パパ)の機嫌が悪いときとか疲れているとき、あなたからどう見えている?」と尋ねてみるのがおすすめ。
子どもがスムーズに答え、また、親自身の認識と子どもからの見え方がある程度一致していたら、無意識にコントロールしている可能性は低いでしょう。
一方、子どもが答えを言い淀んだり、親自身の認識と離れたことを言った場合は、少し客観的に振り返ってみるのがおすすめです。
お互いに本音を言い合わない
家族だからといって、なんでも明け透けに話すのがよいとは限りません。
しかし、コミュニケーションが少なかったり偏ったりし、本音を言い合えなさすぎるのは要注意。
表面的な会話が多い、または会話が少ないと、喧嘩になりませんが、必ずしも良好な関係とは言い切れません。
本音を言い合えているかどうかのヒントは、親自身が子どもに対して感じている気持ちに隠されています。
子どもに対して踏み込みづらさ、本音の引き出しづらさを感じていたら、子ども側も親に対して距離を保っているといえるでしょう。
もちろん、話題による聞きづらさはあるでしょう。
恋愛や病気、性的指向など、親子だからこそ話しにくいものもあります。
悩みの大枠、楽しい時間とそうでない時間、子どもは今何を大切に思っているのか。
思春期であると親に詳細な話はしたくなくなる子が多いですが、子どもの本音がどこにあるかはわかってあげられるといいですよね。
親の立場が圧倒的に上にある
親としての権威や立場は家庭それぞれであり、正解はありません。
ただ、時代の流れとして、親子の関係性がよりフラットになってきています。
そんな中、
- 家庭の中では「父、母、兄、弟」という順序の立場が絶対。
- 親自身、祖父母には言い返せないし、子どもは親の言うことを聞いておくべきと考えている。
- 大切な話は「パパに聞いてみて」と、何でもパートナーの判断に委ねる。
家族の中で明確な上下関係があると、喧嘩にはなりませんよね。
そのような家庭の方針が必ずしも子どもにとってマイナスに働くわけではありません。
しかし、周囲の子と比べて自身の家庭の窮屈さを感じたり、「家族の中では何を言っても変わらない」と思い自立してから距離を置く方は多いよう。
「なんでも言って」「あなたの考えも大事にしている」と表面上の言葉を変えるのではなく、まずは夫婦間の関係を見直してモデルを示していくのも大切です。
喧嘩や衝突を避けるのではなく、「雨降って地固まる」ような親子になっていけるといいですよね。