教えてくれたのは……エマ・ヘップバーンさん
神経心理学を専門とする臨床心理士。
15年以上の実務経験をもち、私的・公的の両面でメンタルヘルスの問題に取り組んでいる。
『幸せスイッチをオンにするメンタルの取り扱い説明書』
著者:エマ・ヘップバーン
訳:木村千里
価格:1,870円(税込)
発行:ディスカヴァ―・トゥエンティワン
やっかいな感情を無視すると、さらに嫌な気分になりやすい
イライラしたり、モヤモヤしたり、怒りや不満を感じたときに「私さえ我慢すれば丸くおさまるから」と、気持ちにフタをしてしまっている方も多いかもしれません。
しかし、嫌な感情は追い払えば余計にぶり返しやすくなり、感情を抑えようとすると生理学的なストレスマーカーが増加することが研究でも明らかになっているのだとか。
エマ・ヘップバーンさんは「さまざまな研究によれば、感情は長い目で見て受け入れたほうが、心の健康に良い」のだと言います。
感情は「分類して名前をつける」と理解しやすい
感情に折り合いをつけやすくするには、まずは感情に気づくことから始めるのがよいとのこと。
自分の気持ちを「活性・快」「活性・不快」「不活性・快」「不活性・不快」の4つのグループに分類し、感情に名前をつけることで理解しやすくなるのだそうです。
1.「活性・快」グループの感情
ワクワク……畏怖、驚き、夢中
嬉しい……喜び、誇り、楽観
2.「活性・不快」グループの感情
怒り……苛立ち、嫉妬、憎しみ
恐怖……罪悪感、緊張、心配
3.「不活性・快」グループの感情
思いやり……愛、なつかしさ、大切にされている感覚
くつろぎ……充足、満足、落ち着き
4.「不活性・不快」グループの感情
悲しみ……恥、拒絶されている感覚、落ち込み
退屈……疲れ、無関心、寂しさ
上記の感情語がすべてではないので、他にぴったりな言葉がないかを探してみたり、さまざまな言葉を合わせたりしてもOKです。
ネガティブな気持ちを細かく区別できる人のほうが、感情の調節能力が高いとされる研究もあり、感情に具体的な名前をつけるほど、自分がもっている感情を理解する効果が大きくなるようですよ。
感情を吐き出して対処する「6つの方法」
自分の感情に当てはまる言葉を見つけて名づけたら、次は感情をコントロールする段階です。
自分に合った方法で感情を吐き出すことで消化しやすくなり、やっかいな感情の乗り越え方が身につけられるのだそうです。
書籍では、下記の6つの方法が紹介されています。
- 気持ちを紙に書き出す
- 信用できる人に気持ちを洗いざらい話す
- 自分はどう感じたか、また、自分にできることは何か、じっくり考える
- その感情の要因を図にしてみる
- 気持ちを絵で表す
- 気持ちをストーリー形式でつづる
「自分は今、感情を抑えて我慢しているかもしれない」と感じたときに試してみて、自分が取り入れやすいと感じる方法を採用してみてはいかがでしょうか。
フツフツと湧いてしまった、やっかいな感情を無視してしまうのではなく、“認識して言語化する”方法がとれるようになると、今よりもラクに過ごせるかもしれません。心の健康を保つために、これから意識してみませんか?