お話を聞いたのは……みきママさん
ブログフォロワー74万人、インスタフォロワー40万人、YouTubeチャンネル登録者数44.5万人と大人気のおうち料理研究家。アイデア満載でつくりやすいメニューに定評がある。
『みきママの東大合格弁当』(扶桑社)
著者:藤原美樹
定価:1540円(税込)
子どものやる気スイッチを入れるのは親
――みきママは、お子さんたちに「勉強しなさい」と言ってきましたか?
わが家はどちらかと言うと、体育会系の部活のような育て方をしてきました。「おはようございます」「ごめんなさい」「ありがとうございます」がちゃんと言える子になってほしいなと。ただ、宿題は常に一緒にやっていました。私が仕事をしている隣で子どもたちが宿題をやるんです。開成の先生も言っていました。「子どもに勉強させたいんだったら、親が隣で勉強しなさい。そしたら、子どももやるから」って。
――それだけで勉強のやる気スイッチって入りますか?
子どもってスイッチが入るときがあるんです。ただ、待っているだけではスイッチは入らないので、スイッチの入るタイミングは親が見極めなくちゃいけないのかなとは思います。
次男は最近やっとスイッチが入りました。この1月に「塾に入りたい」って言ってきたんです。その直前に、長男が中学からずっと仲良くて、一緒に東大に入った子と会わせたんです。そしたら、その日に「〇〇くんみたいになりたい」って言ってきたので、「東大に行くの?」って聞いたら、「東大じゃない! マサチューセッツ大学に行く! 2年後にアメリカに行く」って(笑)。
――すごいですね! スイッチが入るとわかっていて、息子さんの友達に会わせたということですよね。
実は、長男のときも同じことをしているんです。入学したのが第二志望の高校だったので朝起きなくなってしまって、1年で留年しかけたんです。どうしようと考えて、何人かの成功者と呼ばれる人に会わせたんです。その中の1人に遥人がなりたい理想の人がいたようで、「この人みたいになりたい!」という目標ができたんですよ。
子どもは目標を自分で見つけちゃったら、あとは自分で頑張るんです。「その人みたいになるためには東大に行くしかない!」と言って、本当に東大に合格しました。
一緒に食事をして子どものことを知る
――やる気スイッチを入れる天才じゃないですか! それ以外に意識してきたことはありますか?
ごはんは必ず子どもと一緒に食べることですね。小さい頃は、好き嫌いを観察したり、不足してそうな栄養素を考えたりしていました。子どもたちも大きくなって、一緒に過ごす時間は減っているけど、夕飯は一緒に食べるんです。思春期の時期でも、ごはんを食べながらだと、結構いろいろな話をしてくれます。毎日、何かしら悩みを抱えて帰ってくるんですよ。私は、その話を聞くだけです。話を聞いて、明日のお弁当には、精神的に落ち着くチーズを入れてあげようとか。煮物ばかりじゃなくて、気分が上がるおかずを入れてあげよう! とか、お弁当のおかずをそこで決めたりしています。
――親と話したくない年ごろでも、ごはんを食べながらだと話してくれるんですね。
そうなんです。さっきまですっごいケンカをしていても、ごはんを食べた瞬間すごくいい子になります(笑)。「ごめんなさい」とかは言わないんですけどね。
――ケンカすることもあるんですね。
ありますよ~! 私、一度ほっぺを殴られたことがあるんです。ぷくって腫れちゃうくらい。もうすごいショックで泣きました。それでも、ちゃんとごはんを作って出しました。そしたら、遥人がものすごく申し訳なさそうな顔をして、「今日は、俺がママの代わりにYouTubeを撮る」と言って、一人で出演してくれました(笑)。私の顔が腫れているから、遥人一人の動画を撮ってアップしてました。その時に「ママも弱いんだ」ということを感じたようで、そこから一度も手をあげてないです。
食べ物が親子の絆を深める
――そんな親子ゲンカがあった後に、ごはんを作ってあげられるのがすごいです。
自分の子どもだったら我慢できませんか? 周りでは親子ゲンカをして、2週間子どもと会話をしないという話を聞くことがあるけど、私はそれは逆効果な気がするんですよね。子どもには、何があっても親は味方だと思わせちゃった方が良いと思うんです。
――そんな風に思ってくれていたら、お子さんたちもその気持ちに応えてくれそうですよね。
遥人は、私のためにも頑張ってくれたんじゃないかなと思うんです。毎日ごはんやお弁当を作ってくれてるから頑張るか! みたいな気持ちもあったんじゃないかなと。子どもの胃袋を掴んじゃったらぜったい逃げられないんですよ。お腹すいたら絶対に帰ってくるから(笑)。わが家は食べ物で親子の絆を深めてきたのかもしれません。
――思春期は料理で乗り越えたという感じですか?
むかつくこともあったけど、ごはんだけは作りましたね。子どもが思春期のときは、親がサンドバックになるしかないんですよ。しょうがないこれは。だって、自分もそうだったじゃないですか。そういう子ども時代を経てきているわけだから気持ちがわかるんです。親にやたらとむかつく時期があったけど、そういう態度でいても親って自分を見捨てなかったなぁって。だから私も見捨てちゃだめだなって。本当に帰ってこなくなっちゃったら悲しいですもんね。
遥人くんが東大に合格したというニュースを見たとき、みきママは料理の仕事をしながら子どもたちの勉強も見て、勉強をする環境も整えていたなんてすごいなと思っていたのですが、「勉強しなさい」と言ったことがないというお話は意外でした。でも、子どものことを普段からしっかり見ているみきママだからこそ、スイッチが入るタイミングを「ここだ!」としっかり見極めるのでしょうね。みきママの子育てのお話、まだまだ続きます!