教えてくれたのは……浅川ふみさん
衣料洗剤の製造販売やクリーニングを手がける、株式会社ハッシュの代表取締役。創業62年のクリーニング専門店の3代目でもある。今までにない新商品を開発し、「洗濯を通じて新しいライフスタイルを提案」している。(第35回大田区中小企業新商品コンクール受賞)(国家資格クリーニング師)
「漂白剤」と「染み抜き剤」の違いとは
ここでは、混同しがちな「漂白剤」と「染み抜き剤」の性質による使い分けについて教えていただきます。
生地へのダメージの違い
- 「漂白剤」
色素を取り除く作用があるので、生地の色や柄ごと落としてしまう可能性があり注意が必要です。またデリケートな繊維には使用不可な場合が多いです。
デリケートな繊維とは、シルク、ウール、カシミア、アンゴラ、モヘアなどの主に天然繊維のこと。
また、ベルベット、レーヨン、テンセルは基本的には天然繊維を使用していますが、より機能的な繊維製品をつくるため、一部合成繊維も混紡しているとのこと。これらも繊細な繊維のため扱いに注意が必要です。
- 「染み抜き剤」
シミの成分を分解するので、生地に与えるダメージは少ないと言えます。その分洗浄力は弱く、汚れを落とすのに時間がかかる場合があります。
「汚れの種類」による使い分け
- 「漂白剤」
全体が汚れている場合や靴などの汚れがひどい場合は、「漂白剤」を使って衣類丸ごとつけ置きすることで、効率的に汚れを落とすことができます。
- 「染み抜き剤」
部分的な食べ飲み物のシミや血液、皮脂汚れ、時間の経った古いシミなどには「染み抜き剤」を使用することで、面倒なつけ置きをせず確実に安全に落とすことができます。
「目的」による使い分け
- 「漂白剤」
色落ちの心配のない衣類全体を漂白したい場合や除菌消臭効果を求める場合、複数の衣類を同時に手入れしたい場合には「漂白剤」が適しています。
- 「染み抜き剤」
頑固なシミ、丸洗いできない布製品の部分的な染み抜き、色柄物やデリケートな素材にはピンポイントで使えて安全性の高い「染み抜き剤」が適しています。また、携帯用の染み抜き剤なら外出先でのうっかりシミにも対応できます。
やってはいけないNG行動とは
つぎに、「漂白剤」と「染み抜き剤」を使う上で、生地を傷めてしまうおそれのある”やってはいけない行動”について教えていただきます。
「漂白剤」を使うときに、やってはいけないNG行動
- 生地が弱くなり破れやすくなるので、長時間つけ置きしない。
- 漂白剤を毎日使うと衣類の傷みが発生してしまうので、毎回ではなく汚れが気になるときにだけ使う。
- 金属つきの衣類に使用すると、金属部分だけ反応が早まり生地や金属が変化する可能性もあるので注意する。
「染み抜き剤」を使うときに、やってはいけないNG行動
- 天日干しすると日光や紫外線で化学反応を起こし変色する場合があるので注意。
- 染み抜き剤にはさまざまな種類があるので、説明書を読まずに使うのはNG。
- 使用する衣類の色や素材に対応するかわからない時には、販売元に問い合わせるとよい。
次回は、「冬物のニットやデニムを長持ちさせる洗濯術」についてご紹介します。