学校でも家でも褒められて育つカナダ人
カナダで子育てをしていて感じるのが、カナダ人は親も先生も子どもをよく褒めるということです。もちろん悪いことをしたら叱られますが、お友達におもちゃを貸してあげられたら"Nice sharing!"、音楽祭でよそ見をしながら歌っていても、"Great work!"、"Wonderful!"などと子どもを大絶賛します。
日本で育った私は、貸してあげられなくて「だめでしょ!」と叱ることはあっても、貸してあげてわざわざ褒めることはありませんでした。音楽祭でも、ポケットに手を入れたり帽子をかぶったりしてよそ見しながら歌っていて、「日本だったら怒られそう」、などと思いながら見ていました。
でも褒められた子どもの表情は自信と喜びに溢れて幸せそう。また、学校で悪いことをして叱られても、帰りには「明日は新しい1日だからまた頑張ろうね!」と明るく送り出してくれたり、翌日いい子にできた場合は、先生が親に「今日はとってもよくできてたよ!Good job!」とわざわざ言いに来てくれたりします。
この「褒める文化」が、自己肯定感を高め、大人になっても近い存在の家族やパートナーを尊敬し、お互いを褒め合えるのではないでしょうか?
海外の人から見ると、日本人の態度が不思議
以前、日本人の家庭に食事に呼ばれたときのことです。私と数人の日本人の他に、アメリカ人とカナダ人のカップルも招かれていました。ホストの奥様は、「うちの旦那本当に役立たずなのよー」「家事全然手伝ってくれないし、子どもとも遊んでくれない」「寝転がってテレビ見てるだけ」と旦那をディスりまくり。
旦那様はそれを聞きながら笑っていて、日本人の私たちも本当に嫌いで言っているのではないことがわかっているので笑って聞いていました。ところが食事会が終わって玄関を出た途端、カナダ人の女性が、「なんで旦那さんのことをあんなに悪くいうの? とっても素敵な人なのにかわいそう」「なんで旦那さんも怒らないんだろう?」と不思議そうに言いました。
日本暮らしが長く、それが日本の文化だとわかっているアメリカ人のボーイフレンドは、「本当に嫌いだから言ってるんじゃなくて、そういう文化なんだよ」と彼女に説明していました。そこで初めて自分も、「そうか! 他の文化の人にはそう捉えられるんだな。気をつけなくちゃ」と気づきました。
我が家でもカナダ流褒め方を実践!
日本で育った筆者は、カナダで子育てを始めた頃、子どもを褒めることより注意することが多かったです。それは、「他人に迷惑をかけてはいけない」という日本での教えや、自分が育った環境による影響ですが、最近はカナダ人の褒める文化に見習い、子どもや主人をなるべく褒めるようにしています。
息子は英語の読書が苦手ですが、他人と比べるのではなく、「前よりすごく上手に読めるようになったね!」「もうすぐママが教えてもらわないといけなくなるね」という声がけをしたり、友達のママに歌やバスケットを褒められたら「歌のリズムや音が上手に取れるから音楽やダンスの才能あると思うよ!」「バスケットパパといつも練習してるんだよね!」など、小さいことでもいいので口に出して褒めるようにしています。
そして、学校に送り出すときはカナダ人の子どもと同様に、ハグをして送り出します。友達に主人のことを褒められたら、素直に「ありがとう」と言います。そして友人や子どもの前で主人の悪口を言うことは絶対にしないようにしています。
家族を人前で褒めることが慣れないうちは小っ恥ずかしく感じたりもしましたが、今では自然と人から褒められたことに対して「ありがとう!」と答えられるようになり、子どもや主人のことを普段から褒める習慣もつきました。結局は褒めることも悪口を言うことも、「癖」だと思うんです。どちらを癖にしたいか、答えは言うまでもないですよね! 皆さんもカナダ人流褒め方で、自己肯定感を高めてみませんか? 毎日が幸せになりますよ!