本を選んだ後が重要。「本好きな子ども」にするために親が家でできる“2つのこと”

家族・人間関係

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2024.06.26

子どもにもっと本を好きになってほしいと思ったとき、親にはどんなことができるのでしょうか? 子どもが読書にハマる習いごと『ヨンデミー』を立ち上げ、読書教育の広がりをめざす笹沼颯太さんに教えていただきます。

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教えてくれたのは……笹沼颯太さん

笹沼さん

株式会社Yondemy代表取締役。東京大学経済学部経営学科3年次に、筑駒中高時代からの友人とともに株式会社Yondemyを設立。「日本中の子どもたちへ、豊かな読書体験を届ける」をミッションに、オンラインの読書教育サービス「ヨンデミー」を提供中。

書影

『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』
著者:笹沼颯太
価格:1,760円(税込)
発行所:ディスカヴァー・トゥエンティワン

本選びのほかにも、親にできることはある

東大在学中に起業して、日本初の読書の習いごと「ヨンデミー」を立ち上げた笹沼颯太さんは、「本選びのほかにも、子どもが読書を楽しむためのサポート方法はある」とおっしゃいます。

笹沼さん 「『どんな本を子どもに読ませたらいいのか』というお悩みは、非常によく寄せられます。たしかに、子どもがハマる本を見つけるということは、読書を楽しむための大切な第一歩です。ただ、家庭でできることは、本選びだけではありません」

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笹沼さん 「読書が好きという大人の多くは、“運命の本”と出会って本が好きになったという成功体験があります。だから、子どもも運命の本に出会いさえすれば、本が好きになると考えやすいのですね。でも本人が気づいていないだけで、運命の本に出会うまでには、読書が好きになるためのさまざまな環境がそろっているはず。たとえば、小さいころから読み聞かせをたくさんしてもらっていたり、親が本好きで家にたくさん本が置いてあったり、本が好きな友達がいたり。そうした土壌があるなかで、“運命の本”という読書が好きになる最後の決め手があるわけです」

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笹沼さん 「子どもがサッカーを習い始めたとき、サッカーボール選びばかりをするでしょうか? きっと、プロサッカーの試合をたくさん観戦してお手本となるプレーを見せたり、憧れの選手を見つけてモチベーションを高めたりといったことを考えるのではないかと思います。読書も同じです。これを読めばハマるという本があって、それを手にとるきっかけがあって、読んでみたらおもしろかった。これが持続する環境をつくることが、子どもの読書の伴走ではとても大切になっていきます」

本好きな子どもにするために親が家でできる2つのこと

本を選ぶことのほかに、子どもが読書を好きになるために親ができることとは、どのようなことなのでしょうか。笹沼さんに教えていただいた2つのポイントを紹介します。

【POINT.1】声かけで子どもの読書モチベーションを高める

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本に慣れていない子どもにとって、「本を読むこと」は大きなチャレンジです。読み終わったら「がんばって読んだね」と、子どものがんばりに声をかけましょう。「さすが読書家だね!」という言葉を使うのも一案です。

ここで注意したいのが、本のレベルや長さなどにばかり着目しないこと。長編を読みきったとき「こんなに分厚い本を読めたんだ!」と驚くぶんには構いませんが、本のレベルや長さだけに着目して声をかけていると、「難しい本を読まなきゃいけない」という無言のプレッシャーになり、子どもにとって読書がつらいものになってしまいます。「読書は楽しい」を前提に、子どものモチベーションを高める声かけをしましょう。

【POINT.2】読んだ本の話をする

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子どもが本を読み終わって「楽しかった」「おもしろかった」と感じていそうなら、映画を見た後に友人とカフェで感想を話すような感覚で、親子でその本について会話をしてみましょう。「どこがおもしろかった?」「どのへんがよかった?」と質問したり、表紙を見て想像したことを伝えて「これって〇〇な話なの?」と聞いてみたりするのもいいですね。子どもが読んでいる本を親も読むと、会話はさらに弾みます。子どものお気に入りの場面を聞いて、その部分だけ読んでみるのもひとつの方法です。

こうして親子で本の話をするようになると、子どもの読書に対する「楽しかった」「おもしろかった」というポジティブな感情がより広がり、より長く、より深く楽しさを味わえます。

本を読んでいない時間も「読書体験」

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笹沼さんが運営するヨンデミーを利用中のある家庭では、毎日夕食のとき、本の話をする時間を設けたのだそうです。子どもが小さいころに読み聞かせていた本のこと、親が昔読んだ本の思い出話、今読んでいる本のおもしろさなど、1日1回、必ず本についての会話を親子でするようにしました。すると、1週間ほどして、子どもが自分から本を読むようになったといいます。

笹沼さん 「本について話す習慣さえあれば、『本っておもしろいらしいぞ』と子どもが思って、自分から本を読むようになります。読みたいと思うから読む。これは、何より強いモチベーションです。本について考えたり、思い出したりする時間すべてが『読書体験』。本を読む時間だけでなく、『本を読んでいない時間』をどう過ごすかも大事なのです」

本について親子で会話をする。そんな経験もまた、子どもにとってひとつの読書体験になるのですね。次回は、「動画視聴だけでは育たない、『本が好きな子』にある可能性」について教えていただきます。

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